833セブンス。冒険者達。2。

「ふう。」以前に攻略した経験があるとはいえ、では万全か?と。
そう問われれば、そうにもいかない。
以前に攻略したときは、初見だったとは言え、仲間にも恵まれた。
今は妻であるシャン、幼馴染?のマユ、そして親友と呼んでもいいマリー。

他の男性からすれば、かなり恵まれた環境ではあったが・・・
ネルケは思い出に浸る間もない事に。
「じゃあ、次次!」ピンクの髪のミコッテの青年が走り出している。
! この先には確かサハギン族は見張り、というか何かしらの魔物を見張りというか、そういうのに使っている。この貝にしても自然の魔物を利用しているだけで・・・
ネルケはすでに走り出しているミコッテの青年に追いつくべく走り出して。
「ね!」
エレゼンの少女が声を。
「あの人、だいじょうぶ!?」
「さあ?でも前に、似たような、子を思い出したよ!」
「え?」
「とっても短気で、天真爛漫。いっつも無茶しては、周りを騒がせる。そんな子。」
「ふーん、で、その子と一緒に?」
エレゼンの娘は遠慮がない、というか好奇心いっぱい。
「いや。僕じゃあ釣り合わなかった、かな。職場の先輩と、まあ、その。ね?」

「恋愛トークもいいんじゃがな~。」カボチャ頭が告げてくる。
そうだ、そろそろ・・・・

るるるるるるるるるるるるるるるるる・・・・・!!!!!!

「コイツは!」
「クァール!」
「まったく、まいどまいど、どこから仕入れてくるんじゃろうの~」
「あ、ぼく、前はみてたんだけど。麻痺させられたよ。」
(逃げろよ。オイ。)2人の心の中のツッコミ。
範囲で麻痺を与える咆哮は、クァールならではの。それを知っていれば耳をふさいで、できるだけ離れて音を聞かないように。
これは対戦したことがあれば常識とも言える。それを・・
アーティファクトを着こなすような白魔道士が知らないわけがない・・・・
(天然にも、程がある・・)は、ネルケですら。
ヴァイオレットは(なんかやばい・・・私、死ぬのかしら?)などと・・

「ワシがなんとかするんじゃよ~」カボチャ頭の剣王。クァールに対峙。そして、その剣の冴えを。
「なにあれ?」とりあえず術式。構成を編んでいくが・・・
「うっわー。すごいね。あ。プロテス張るの忘れてたや。」構成を展開。
(裏を取りに、と思ったけど。さすがの剣王ですね・・・)横手から、裏手に回って槍を。

きゃうん・・・
クァールは倒れ・・「次、行きましょう。」ネルケは。

大きな広場。
そこにロウソクや、カンテラが灯され、それなりの明るさ。
テーブルには二人の男がカードゲームに興じていて。
「んだ?」「くそ、手入れか!」「船長!」
立ち上がる。

「出ろ!紫電の槌!」構成が彼女の意思で編まれていき、周りの静電気を凝縮、身体の静電気を連結させて海賊の一人に。
「危ないよ、まずは剣王さんに!」槍を振りかざす。
「ワシが相手するんじゃよ~?」すでに抜き放った剣、ブレイズエッジ(刃にまとわり付く炎)。
「あ、出遅れた。」のんきな声。


「この!クソ共っ!おぼえてやがれっ!」
船長?は手下二人を無くして逃げていく。

「ねえ。」少女。
「どうしたの?」青年。
「前も・・・確かあんなふうに逃げ出した、と思うんだけど。男の人って、そうなの?」
「さあ・・わからないな。僕は・・・、まあ、逃げた事はあるけど。でも、そのおかげで?婚儀ができたというか・・・何いわせるんだよ!」
「それはそっちの都合でしょ?」
「・・・まあ、そうだね。後は彼がまた顔を出すか、だ。前回来た時はリベンジ、とか言ってたけどね。」
「あー・・・それってあれよね。私達が何度もチャレンジできる、って言う意味で、向こうも同じくチャレンジしてるっていう・・。」
「なるほど。君は学院出身だけあって、頭の回転が早いね。」
「・・・・そんな・・・」頬が赤くなるのが分かる・・・
「イチャイチャはその辺までじゃよ~」
「え?イチャイチャしてたの?ぼくもまぜてよ~」

「してません!」「いや、誤解だよ。」
「なら、海賊の部屋、じゃな~」そろそろ明かりが。
「え、なーんだ。てっきりそうかなって。」
「いいから、貴方は仕事をしてください!」つい大声に。

「なんだ!てめえら!」「あ!さっき船長が!」「こいつらか!」「殺っちまえ!」

(あ、やっちゃった・・・私・・・。)
「大丈夫。なんとかする。」少女の細い肩を叩き。ネルケが槍を。
「ワシはの~!」柵の上でカボチャ頭のララフェルが屹立。敵味方入り乱れる前だが、双方が引きつる。「剣王なのじゃ~。」飛び降りる。
「じゃあ、ちょっとよろしくぅ!」パチン、と指を鳴らし、同時に防御術式。にっこり笑顔のミコッテの青年。

横に居たヴァイオレットは。(こんな・・・あるの?今の、声じゃなくって、指を鳴らした音で構成を展開させた・・・。
声と同時に鳴らせた・・か?何故?私には分かった、けど・・多分、術式に詳しくなければ、今のは声で呪を紡いだとしか見えない・・・。)
学年首席のヴァイオレットは、なんとか認識できたとはいえ、自分では到底真似できない、と。
(この白魔道士、見た目通りじゃない・・・。)


予想通り、というか。サハギンなど蛮族の片棒を担ぐような輩は、大したことはない。
問題は別にある。
分析は自分の得意分野。
ヴァイオレットは、なぜこの洞窟に蛮族か固執しているのか、そして海賊共が絡んでいるのか。
考えは・・・

出た。

「資源。」

海賊共は鉱物に、蛮族共はクリスタル。
共に「違う所での美味しい」がマッチすれば、手を取り合うのは分かる。
「やるわね。」少女は苦笑い。

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