810セブンス。嵐の後には。

「まあ!そんな事が?」
砂の家。
ザナラーンはベスパーベイ。西部にある地方の町。
そこに拠点を置く、秘密結社「暁の血盟」
その根拠地が、この砂の家。
そして、盟主とも言える妙齢の女性、ミンフィリア。
そして、彼女の横に居たエレゼンの男性が「どうしました?」と、声をかける。
「ああ、ウリエンジェさん!実は、蛮神イフリートが降臨して・・・」
「!!」
「それが・・、ミーラン達で撃破したんですって!」驚きと興奮を隠せない。
「本当ですか?」
「ええ、今さっきパールからの伝心で、サンクリッドから。帰るまでに少し時間がかかる、とも。」
興奮を抑えきれないのか、頬が上気している。
「そうですか。それで、トリコロールの方は?」
「あ、そうね・・・彼女は今ウルダハ、か。でも、どうかしら?魔女の後継はもう普通の主婦になってる、って聞いたし。」
「では、その女騎士の相手にすれば?」
「妥当、よね。」
「ですな。彼女にはそう伝えておきます。」
「よろしく。」



「ねえ、エリ!」オレンジ色から徐々に赤色に変わりつつあるグラデーションの髪。
ミーランは相棒であるヒューランの女性に。
「なんや?ミー?」短い黒髪だが、それが似合う少しワイルドな、それでいて女性らしさも損なわない。

二人はもう数年来のパートナーとして、冒険をしてきた。が、今回は格別だった。
なにせ「神を屠る」のが結果的には「仕事」だったから。
本来は調査だけだった、はずなのに。それでもこなしてしまった、というのは、仲間に恵まれたからだろう。
後ろでブツブツ文句を垂れながら歩いている、長いブロンドの少女。
少し年下ながら、とんでもなくクチが悪い。
その妹も、だ。
姉はハイランダーながら、背が低い(とは言っても、160ほどか)20センチくらいはある厚底ブーツに、それを悟られまいと(バレバレだが)丈の長いローブ。
金髪碧眼なのを意識したのか、ローブの色は暗い目で、所々に入っている刺繍はかなりお洒落を気にしている。
そして、妹はというと、こっちはハイランダーらしく長身で、厚底ブーツでもないのに2メートル近くある。もしかすれば超えているかもしれない。
そして、背中にある大斧。しかも、一見華奢かもしれないが、それは無駄な脂肪が無いからで、筋肉量は相当なもの。でなければ、あんな武器を軽々と振り回すなどできない。
しかしながら、顔つきは優しげで、タレ目なところが少女らしさを出している。
鎧も革鎧で、女性らしいラインもしっかり出ているが、本人にはその意識はないらしい。

そんな姉妹から「なあ、ドライボーンで報告すましたらよー、もう夕飯だろ?一泊、またあの宿でいいんじゃね?」

「そうよねえ。祝杯の一つも上げないと。それと、彼らの鎮魂のために。」
エレゼンの女騎士、ミーランは。
それに応え、エレディタ。「ま、報告はあの兄ちゃんがしてくれてんのやろ。急がんでええんとちゃう?」
「せやろ?どうせ、ベスパーベイて、移動術式で飛べへんやんか。あ、飛べたっけか?」
「ユーリ、この際どうでもええ。まずはメシ。な?」
姉妹はとことんマイペースだ。

ゆっくりと、夕暮れを迎える荒野をのんびりと歩いていく。
「そういえば、お昼食べ損なっちゃったね。」と振り返り、ミーラン。
「何いうとんねん。一番オイシイとこ持っていったやろが。あはは!」呵呵大笑のユーニ。
「「こりゃまた。」」と、エレディタとユーリ。

ドライボーンまでの移動術式は「お金がもったいない」との意見(おもにミーラン)で歩いての帰還だが。
どうせ食費にかなり使うだろうな、とはその他の意見で承認されて。

彼女達はキャンプに向かう。

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