791セブンス。嵐。

ぎおアアアあぁぁぁぁ!

青い。そう。なんだか暗い。

視界を埋め尽くすこの光?いや、炎?でも
「青い・・」

意識がそこで吹き飛ぶ。

あれ?わたし・・・。
何してたんだっけ?
確か・・・。うん。お母さんの手伝いをして、パンを焼くためのオーブンに火を入れたんだった。
そう。火。
薪に火をくべるべく、クリスタルの欠片を使って。
シャード(欠片)に念を込める。
こういう術式のやり方は習ったから大丈夫。
ちゃんとできるのだ。
自分でも。

「・・・・・・ー!」
ん?お母さん。ちゃんとできるよ、わたし。

ほら。
右手が青い炎に変わっている。

「大丈夫だって。」

「ミー!」
あれ?おかしいなあ?どうかしたの?エリ?


頬に痛みが走る。
「ミー!起きろや!」
相棒であり、親友と呼べる顔が目に映る。
あれ?

「そっちは起きたんか?」
ぶっきらぼうな少女の声。
彼女も妹を叩き起しながら声を張り上げてくる。

「エリ?」
意識がなんとなく、いや、大分マシになってきた・・・。
「ミー!」抱きつかれ、なんだか不思議な感覚。

「おいおい、お前らな。そんな悠長にしとってええんか?」
宝玉を埋め込んだ杖を振りかざし、術式を展開しているハイランダーの少女。

改めて周りを見渡す。

ミーランは絶句するしかない。
先程までの遺跡は何処へやら、暗く昏い「陣」はどうやら・・・
「結界?」
「ああ、そうやで。騎士様。おはようございます。や。」呪術士からの皮肉。

「エリ?これは?」
「ああ、うちもさっきまで寝てたんや。悪夢の中に放り込まれてな。たたき起こされたけどな。」
「ふん。起きろ!ユーリ!」
コートを翻し、今の言葉で術式を展開する。

「ぎしゃあ。・・・・お前ら。・・・・・浄化の炎に・・・ぐぶぶ・・。なぜ・・・焼かれない?」

赤くて昏い獸が声を発する。

「な!」
蛮神。
その異形は、人の理解を超えるという。
ミーランは周りを見る。
倒れた人達。不滅隊の面々だが・・・
「神よ!」と。
叫び、次々と立ち上がり始める。

「な?どういう事?」
赤い髪を振り乱し、叫ぶが・・・
「そういう事らしいで。」と冷たい返事。
ハイランダーの術士を見て、「そんな・・」としか言えない。
「ミー。ええか?あのバケモンをやっつける。今はそれしかあらへん。わかった?」
相棒が優しく語りかける。
「わかった。」
立ち上がる。

ジュワユースを掲げ。
「神だからといって、何をしてもいいはずがありません!その所業、問うて見せます!」
駆け出す。

エレゼンの女騎士は一答を叩きつける。

「ふしゅう・・・・・単に単を発すれば、是れ、何なり也?・・・」
赤い昏い獸。

「一ですっ!」

「・・・・是非もなかろう・・・ぶふう・・・・蛮族風情が・・・ようも言いおったな・・」

ジュワユースを切り下ろす。
斬。

「ふん・・・・・・」
「敢えて言わせてもらおう!アマルジャの神、イフリート!我らを蛮族と謗るなら、命の贄でもって現出しているそちらの方が野蛮だとっ!」

「・・・・不遜なり。・・・我が現出するは、まず対価を用意せねばならん・・・じゃろう?」

「問うべき筋を違えたかもしれません!ですが、今は御身の出番ではありません!このまま還ってくださいっ!」
蛮神の左手首を切り落とす。
「・・・・不埒な・・・・」
一声と共に膨大な構成が展開していく。

「あかん!」「ミー!」

結界の中央に巨大な火柱、いや剣?楔か。
突き立つ。
「・・・弁えよ・・・・」

赤い昏い「神」が吠える。そして煉獄の炎が・・・

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