777セブンス。出発点との邂逅・・・か?の続き?

レイ、と呼ばれる女性に引きつられ・・・
憧れでもあり、敷居の高いどころか、雲上の存在であった場所、弓術士ギルド。それもマスター付き。失礼。
まさかのハプニングでは済まされない事態だが・・。
ミコッテの女性、エフェメラ、ことエフィは、緊張で尻尾も耳もペタンとするしかなく・・。

元はといえば、黒衣森の中にある数ある中の集落の一つの出自で、狩りとは名ばかりの練習の最中、とある男について行ってしまい、運命の出会いを果たし、現状に至るワケで・・。
「あの?」と営業スマイルしかできない。

「ふむ・・。おい?アリアポー?」と、女性を呼ぶ。
「はい、マスター。」
「彼女は、確かにいい弓をお持ちだ。商売だけでなく、いい技術も持っているだろう。ミコッテ同士、気さくな付き合いもできるかもしれないしな。
では、弓を持つ同志よ。我らの同志と輪を広げられよ。私は済まないが、これから鬼哭隊の隊長殿とお話があってな。席を外す。では、よろしく。」と。
去り際にポンと肩を叩き(すまない。彼女は今スランプなのだ。頼む。)と、ぼそり。

え?という表情のエフィをアリアポーは、どこか嬉しそうに手を引き「マスターがあんなに優しそうなのは久しぶりにゃ!」
「え?」
そうかもしれないが・・・この豹変?戸惑いをおぼえつつも、彼女に引っ張られるままに。
「あの・・・ワタシは・・・。」
「うん、大丈夫。で!」と、肩に下げているカバンを「預けておくから!」指差し・・「だ、だいじょうぶ・・。」そそくさ、と退散するために・・・。

そこに。

「あの!」と一人のギルドメンバーが走り込んできて、声を大に。
「どうした!?」と面々。
「その!白面が現れました!」
「ドコだ!」と叫んだエレゼンの男性。
駆け込んできた男性は地図を片手に、話しかける。
「わかった。」とだけ。
一人、大きな弓を持ち、「俺がケリをつける。マスターにはそう伝えておいてくれ。」
数々の声を背に受けながら、彼は走りだしてしまい・・

「あ?あの?」とおいてけぼりをくらった感のあるエフェメラは・・
「アイツ・・。いつもそうなの。なんでも一人で・・。」そんなセリフとは裏腹に、憂いの表情のレイ・アリアポー。

ああ・・ライバル、なんだな・・なんとなく。そんな気がした。かつての最愛のカップルみたいな。なんだか、放っておけない・・気がしたら、自然と・・「追いかけよう!」と言ってしまった。



衝動に駆られて・・・来たはいいものの・・。もう、既に森は夜を迎え・・
暗がりの中の追走劇となって・・・
ダメ、だ。
なんといっても、追う相手は森の狩りのエキスパートであり、自分は・・・言うまい。としか。
そんな中、「こっち!」
と、ショートヘアの彼女が走り出す。

木々を抜けるようにかき分け、枝葉に頬をなぶられながら、草木には何一つ傷を残さず、夜を咲くミコッテの女性。
待って、との声も届かないのか、彼女はひた走り・・。
その動きを止める。

荒い息を整えながら、エフェメラは追いつき。一人の男性が倒れて、その傍らにさっきまでの女性が泣きながら手当てをしているのが見えた。
「・・・ばか・・・。」と。言いながら・・。

目に熱いものがこみ上げてくる。既視感?見たわけでもないのに・・遠い過去の二人を見ている。
そんな気が。

「大丈夫?」と声をかけ、「うん・・・手当ては・・」
「ぐ・・。俺とした事が・・。」
「パワ?彼女なのね?」との問いかけに。
「お前ごとき、出る幕はない。」矢傷の手当てもほどほどに・・彼は立ち上がり、駆け出す。

「シルヴェル!」レイ・アリアポーの呼び止めも聞かず、走り出した彼を追う。
必然的に、自身も走りながら・・

明け方も近い時間。
懐かしいな、なんて感慨は無い。

二人の狩人の背中を見ながら。
森の中の泉のほとりに立つ。


「リーナさん。ワタシを、二人を守ってください。」弓を手に。
エフェメラは、そっと囁く。





かちゃん。
カップとソーサーが触れ合う音。しかしながら、上品ではない。音を立てずに、というのがマナーである。
「どうしたの?ルシアヌ。」鬼哭隊の隊長は気さくな笑顔だが・・
「申し訳ない。忙しい最中。」
「大丈夫よ?」
「そう・・」エレゼンのギルドマスターは、友であり、強敵でもあるスウェシーナに。
「まだ・・確認できたわけじゃないから・・なんともだけど・・。レティは、手をだすな、とだけ。」
「そう・・・魔女がそう言うなら・・。帰って、あのバカ共の躾をし直さないと。」

「シャン!」の声に。
「あい!マム!」とオレンジの髪のミコッテ。
「急変よ!いま、何時?」
「陽が傾いて・・2コクってとこですにゃ!」
「ルシアヌ!」
「どうしたっていうの!?」
「今、レティから!いけない、その二人、今すぐに連絡取れる?」
「ちょっと!」
「マム、あたい、走ってきますにゃ!」
「シャン、待って!」
「どういう事?ねえ?スウェシーナ!」
「・・・。黒猫が・・・。」
「え?」
「知らない方がいい話・・その二人にとって・・」

鬼哭隊、隊長スウェシーナは栗色の髪を掻き毟るように・・・気遣わしげな義娘を見つめ・・
「ネルケは?」
「今はキャンプ・クォーリーミルで盗賊団ベリーの警戒夜勤かにゃ。」
「そう・・間に合わない・・か。」
「あたい、テレポで・・」
「近くにレティがいるから・・たぶん、今の話だと・・。」
「近くに天魔の魔女が?」
「うん。だから・・大事ない、とおもう。」
「く・・・。」何もできない自身に唇を噛むギルドマスター。

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