774セブンス。少女達の出発。もしくは・・・

蒼天の下、と言いたいが黄色い?砂埃が漂い、日光さえ霞んで見える。
高い城壁に囲まれ、あるいは監獄と勘違いしがちな。
しかして、そうならないのは、ひとえに「活気」ゆえであろう。

「ねえ?」背の高いハイランダーの少女、とも呼べる童顔の娘。ブロンドは少し茶色目で短く。
その体格は、そんじょそこらの男くらい軽くひねってしまえるような。
革鎧から見える肢体は、年頃の娘らしくしなやかだが、危険な獰猛さも垣間見える。
背におった両刃の斧も気にすることなくぶらぶらと歩く彼女に。
「なんや?なにが言いたい?」と。
似たような顔つきではあるものの、どちらかといえば小顔の彼女は美人で、もう少し明るめのブロンドはくせ毛ながら、長く伸ばしており周囲の男が寄ってきそうではあるのだが・・だが。
目つきは剣呑そのもので、ヤブ睨みがさらに近寄りがたい雰囲気を醸している。背丈は、どちらかといえば高いのだが、それはおそらく厚底のブーツによるものだ。

その後ろから、「はあ。またかいな。」と。軽口の女性は、黒髪を短く乱雑に切り、今はピンクのリボンを前髪から少し後ろのところで結ばれている。
そして、後ろ頭に手を組み、串焼きの名残の串をくわえながら。
「エリ。お行儀悪い。」とは。
翳りのある中天の日差しであっても、オレンジの髪はキラキラとして。
エレゼンの女性は快活な表情ながら、相棒の「いつもの」事に苦言を。軽装ながら、盾を背にして通りを歩き・・・
「みーらんさん、てぃんく、次はアレ。」と露店を指差す、ララフェルの少女?女性?どちらにしても、取れそうな。
腰には不似合いとも取れるナックルを持つ彼女は、後ろの師匠!と呼び習わす黒いエレゼンの男性を気にせず、今回?のメンバーにタカっている。


銀髪、黒いシャツの青年サンクレッドは。「元気がいいね。」と和やかに。
答えて、黒いエレゼン、フィズは。「そっかあ?」と。

彼、彼女たちは、ウルダハに宿泊し、少し遅めの、いや、早めの昼食をすまし、次の目的地に急ぐはずなのだが。

「仮面の男」を追う、という、どこか得体の知れない、そして目的地も定かではない・・。
この事態を重く見た組織「暁の血盟」の一員として、参加したはいいが・・アマルジャ族という蛮族くらいしか今のところ、有力な情報もなく。
正直、観光してるだけじゃないか?なんて、青年は思ったが。
いやいや。これは、彼らの実力を知るまたとないチャンスでもある、と。
そう考えてもいる。そのためには、ある程度の「彼ら」の実力を見る事もまた、一つの仕事ではないか?とも思えてくる。

・・・・・・・・思いたい。
サンクレッドは、少し・・・いや、かなり、自分に負荷がかかっていることは承知している。
していた。した。

「ユーニさん!」先頭を行く女性に声をかける。
すると、その後ろの女性が振り返る。「なんや?」
あ。まちがえた・・・
「今日の行程、大丈夫ですよね?」なんて、取り繕って。
笑顔が少し凍りつく。「あ?」と返事が来て・・・「お前。今、間違えたやろ?」と。
「いや。そうじゃないですよ?だって、お姉さんに声かけないと。でしょう?」
姉妹で、ユーニ、ユーリ。発音もさる事ながら、声はとても似ている。ほんの2,3日過ごしただけで、見た目以外の区別はつけにくい。

「ええやんけ。兄ちゃん。姉妹が堂々と行くさかい心配したんやろ?」と、黒髪の。
こちらも似たような喋り口調ながら、どこかチンピラのような・・・。
「もう!エリったら!」と。相棒?のエレゼンの少女・・いや、もう年頃か。の女性が唯一の清涼剤として、心を潤わせる。
「てぃんくとしては、もう少し・・。」と串焼きに夢中であったり・・このララフェルの女性も、可愛いのだが・・。

ぽんぽん。と肩を叩く、唯一の男性メンバー。「・・・。」無言なのは、きっとミコッテの女性がいないから。

「ふう・・」あ、聞かれたか・・・なんて。何度目かは知れないため息をつきつつ・・
サンクレッドは、今日の日程をもう一度頭に入れ直す。

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