761セブンス。東方の味覚について。

「レイ?」
仕事の合間、パールからの呼び出し。

グリダニアにある、アリティア産業の子会社にして、その社長職を任されたレイ・ローウェルは、その勤勉さと、人当たりのよさで順調に仕事をこなしている。
デスクにて書類の束にサヨナラを告げ、ようやっと昼食に。
彼女はほとんど休憩室を使う事無く、社長室で昼食を食べるのだが(男性社員からは何故ですかっ?的な魂の叫びがあるという・・)そのタイミングでの呼び出し。
そこはかとなく、イヤな予感だが、ローウェル家のパールなので出ないわけにはいかない。
「はい。レイですがセネリオさん?」「レイ?ちょっといい?」「どうかしましたか?」「ん、ちょっと人探しなんだけどね。」「はい?」
「ほら、コロセウムで黒髪の女性がいたでしょ?って、そっか。レイはお留守番だったわね・・」「あの?話がみえませんけど?」
「うーん、私が行けばいいのだけど。仕事で手が離せないし。」(私もですが・・)という返しはナシで・・「黒髪の女性といえば、例の葬儀屋ですか?」
「いや、そうじゃない。東方風の服で、髪はひとつに束ねている。以上だ。」「へ?もしかしてそれだけの情報で探し出すんですか?」「まあ、がんばれ。以上だ。」
「ちょっとおっ!」が、パールの輝きはすでに失われつつ・・
ひえええぇぇぇ・・・  コロセウム。かの大会では留守番を任され、本社の仕事もまわってきて、ロクに寝ることすらゆるされない激務をこなした記憶が蘇る。
もはや、トラウマと言ってもいいこの単語関連で、髪型、服装、性別しかヒントのない人物を探し出せ、とな?
「無茶苦茶だぁっ!!!」絶叫。
秘書を呼ぶ。「はい?どうされました?さっきも何やら大声をお出しでしたが?」ミッドランダーの女性は丸眼鏡越しに社長を心配げに。
「あら、お食事もまだですか。食べないとダメですよ?」と食事の乗ったトレイを見つめ。
「さっきまでは、食べるつもりだったんだけど・・。いきなり、食欲が・・・。」
「さようですか。ですが少しでもお召しに。それで、なんでしょうか?」
「あ!そう。あのね、レルヒェ。人探しを頼まれたんだけどね。」
「はい?」
「それがね、長い黒髪の女性、東方の服、コレだけの情報で探せって・・」
「それは・確かに難問です・・・ですが、東方の服というだけでかなり絞られるのでは?」
「そうかもだけど。コロセウムだけそんな衣装ってコトも十分にありえるじゃない。」
「まあ、そうですね・・それでなくとも、服装は年々新しいスタイルが出てますしね。とりあえずはウチの社員にそれっぽい服装を見かけたか聞いてみましょう。期限はお決まりです?」
「ん・・とりあえずは聞いてないから。でも、会社用ではなくローウェル家のパールだからね。セネリオさんからだけど、おそらく社長のお達し、とくれば急かされてる、よね。」
「まあ、そのへんの事情はなんとも言えませんが。そうですね・・知己に情報屋もいますし。そっちでも聞いてみます。」
「お、さっすが!頼りにしてるわレルヒェ。」
「ありがとうございます。ですが・・彼女の情報は確かなんですが、報酬の方が。その、社長。なんとかしていただけます?」
「それは大丈夫。経費で落す。」
「あ、それはいいんですが・・彼女には、美味しくて珍しいスイーツが一番効果があるので。そのへんを入手してもらえれば。」
「な、なんと・・。どうしろと・・・あ、エリス先輩にウルダハの美味しいの送ってもらおう!」
パールで連絡っと・・・


「よし、今モグに配達を頼んでおいたから。社の近くにたしかレターモーグリいたでしょ?あの子に届けてって。んじゃ、その情報屋さんによろしく!」
「はい。微力ながら、お手伝いさせていただきます。社長も体調にはお気をつけて。」
退出していく秘書を見送りながら、エリス先輩、何を送ったのか少し気になるレイである。


社屋から出て少し先に赤いポスタルバッグを肩から下げたモーグリがいる。昼下がりだが、やや肌寒い。
比較的温暖なグリダニアだが、街中に川が流れているだけあってか、この時期は冷え込む。
そんな中、レルヒェは上着をはおるのももどかしく、たたたっとモーグリに近づき、ねえっと。「何か用クポ?」と白くてふわふわした精霊?は細い目を向けてくる。
「えと、アリティアのレイ・ローウェル宛の荷物を受け取りに。これ、代理委任状です。」
「ほむほむクポ。了解クポ。・・・・・・コレクポね。はい、印鑑をよろしくクポ。」
「はいはい、・・・ありがとね。」いまさらだが、このモーグリ同士の移動?とかどうなっているのだろう?とか、考えるのも何度目かだが、便利なのでまあ、いいや。
と。無償なのを感謝ってことで何度目かの疑問は結局そこで終わってしまう。

「えーっと・・お昼過ぎだからなあ・・ショコラさん、どこだろうなあ・・。」
考えながら受け取った荷物を見てみる。
なんだか、丸い、いや、円筒の缶だろう。金属製で錫製。少し高級感がある。
ただ、地金むき出しで、ラベルだろう緑色の紙が貼られ、そこに字?らしきものが。まったくなんだか分らない。ついでに言えば、やや冷たい。
ケーキの類が入ってる、というのでも無さそうだ。
「???なんでしょうね?これ。」と不思議そうにアレコレと眺めながら近場の屋台を目指す。
「よっ!」と、いきなり背中を叩かれ、「きゃあっ!」と缶を取り落としそうになり、あたふたと抱きしめると、
今度は自分が前のめりにコケそうになり、慌てて両手でバランスをとろうとして・・・・缶が手から曲線を描くように離れていく。「うぇぁ?」と年頃の女性らしくもない悲鳴。
それを、ぽん、と受け止めた青年は「おいおい、見知らぬ女性に何してるんだ?」と背中を叩いた連れに一言。
「あ、ありがとうございま・・・あ!」眼鏡の女史は目の前の缶を救出してくれた青年に見覚えが。
「見知らぬ、ってこと無いんだけど・・・キーさんこそ覚えてないのは失礼かと・・。」
「む?ん?ああっ君は。悪い。眼鏡かけてるから一瞬わからなかったよ、レルヒェさん。」
「え?あ。キーファーさん。と、いう事は?」後ろを見る。
「おひさしぶり。仕事は順調?」と茶色づくめのミコッテ。瞳のグリーンが印象的な女性。
実は、第七霊災で家族と家を失い、途方に暮れていた彼女を励まし、今の会社を紹介したのは彼女、ショコラだった。
父母を早くに失い、幼馴染の家にやっかいになり、そのまま結婚したのだが、夫はカルテノー戦役で還らぬ人となり、
そのショックで流産してしまい焼けた家の前でただ泣き続けていたのだ・・・。
そこをキーファーという青年が通りがかり、引き合わせてもらったのがショコラである。

「あ、そうそう。ショコラさんにお願い、というか。依頼があるんですが。」
「ん?何かな~?」
「実は人探し、なんですが。」
「ほう。どういう?」
「はい。実は会社の方からの依頼なんです。その、特徴?というのが少ししか情報が無く・・ただグリダニアに居る、らしいという。
・・・で、その特徴なんですが、長めの黒髪、東方風?の衣服の女性、とだけ。わかります?」
ショコラは一瞬、キョトンとすると、キーファーと目を合わせ。
「大丈夫。」と微笑む。
「ホントですか!助かります!」ぺこり、とお辞儀。
「ぶっちゃけ、今からソコに行こうって。」
「ほ、本当ですか!?あ、そうだ。これ、報酬なんです。」と未だ青年の手の中の缶を。
「ありゃ、気使ってくれてありがとにゃん。キーさん、それ見せて。」
「ん、ああ。何だろう?俺にはわからんな・・。」
受け取ったショコラは・・・「わお!」
「へ?」異口同音の二人を尻目に。「すっごーうぃ!これ、本物の東方産だよっ!」
小躍りするショコラに質問を。「あの、それ?」
「うん、お茶だよ。」「ティー?」「あ・・うん、そうなんだけど。東方の独特のやつね。滅多に飲めないよ、コレ。」
「そうなんですか?あの、スイーツとかじゃなく?」「そうだね、スイーツや、お料理にも応用が利くレシピあるし。」
「ふぇ?(エリスさん、どういうコネ?)」「おけおーけー!お釣が来ちゃうよこんなのもらったら。よし、一緒に行こう!」
「え?」「おい、ショコラ?」「パールで連絡するよ。黒サンならOKだすでしょ。」
「ただ、秘密の場所だから目隠ししてね。」
「あ、はい。」

かくして、3人で「家」に向かうのであった。


----------コメント----------

会社が全国展開してるって便利ねw
独自のネットワークがあるからw

そしてレイの秘書の名が明らかにw
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月30日 09:11

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>マルスCEO、ほんとねw
さて、今回のお話は後々活かせるかどーかが、ポイントになってくるかもw

レイの秘書、イメージとしては、ハリポタ女性版w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月30日 10:14

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エリスってわかるよーでわかんないねー。ふしぎなミリョク。
Ephemera Mitoa (Durandal) 2013年12月01日 09:29

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そういえば炬燵ってかなり昔の話にも出てた気がする、
ショコラが使ってたと思うw
Marth Lowell (Durandal) 2013年12月01日 11:26

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>えふぃたん、エリスは・・・・

ニュータイプだったり、デスクワークの鬼(神?)だったり、モノグサだったり、ヘンなところにコネもってたり、多才だとw
かなりピーキーなキャラになっておりますw
その点、セネリオは真面目すぎかな?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月01日 14:47

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>マルスCEO、ちょっとネタバレだw

じつは・・・なトコロは勿体つけるべく、今はまだコメできませぬw
ただ、コタツ使ってたシーン、どこだっただろう?(描いてた?w)忘れていますwww
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月01日 14:52

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http://lodestone.finalfantasyxiv.com/rc/diary/entry?e=459551

”褐色の肌に、茶色の髪。そして碧い目の少女は。”

この話では”茶色づくめのミコッテ。瞳のグリーンが印象的な女性。”

新生して目の色変わった?w
Marth Lowell (Durandal) 2013年12月04日 19:32

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>マルスCEO、それは・・・
実は、書き直しw
ショコラの本名でフュ・グリューン(緑の独語でしたw)
碧眼、紺碧、と言いますが、「あおい」「へき」で、意味合いは「あおみどり」エメラルドグリーンですかねw
で、何故に兄妹そろってリムサ出身なのに独語なのかは、元々グリ出身の予定だったショコラに後付けでリムサ出にしたからw
なので伊語「ヴェルデ」になってないwクォもシュバルツは独語だけど、伊語にすると「ネェロ」になるので、おそらくそれじゃダサいし、
みたいなトコロが元凶かもしれません・・・(´・ω・`)反省。まあ、パパに嫁いだ人がグリ出身だったりするとかアリな方向で・・・
設定のサルベージ、恐ろしく時間かかるね・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月05日 00:53

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>マユリさん
たまーに読み直すからこういった発見があるw
保存した後の修正は面倒だから見直ししっかりよろw
Marth Lowell (Durandal) 2013年12月05日 09:47

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>マルスCEO、すんますん・・・
しかし!碧い=グリーンはまちがってないよぉ(´;ω;`)
たまに読み返すのはするんだけどねw
設定と齟齬がないように。でも、全部の文を読み返すわけじゃないから、というか、目的の「設定」がどの話に描いてあったか、探し出すのがすげームズいw
というわけで、引き続き校正のほどをよろしくwww
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年12月05日 14:15

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