752セブンス。胎動・・・

「ああ、こっち・・・よね。」
水車四辻。
グリダニア新市街の通りの名前。
「ふーむ。なーんか、こじんまり、としちゃったなあ。」
レティシアはかつての修練場所を感慨深く眺め回し。ぼそっとこぼす。
少女時代、ここで走り回った(周らされた、というべきか。)
しかし、第七霊災で被害を受け、復興された後のここはやはり過去とは違う。
言っても栓ないコトだし、復興後も名前が残ってるだけでもありがたい話だと納得はしたが、やはり思い出の場所だけに・・・・
「いやいや、まず双蛇党に赴かなければ。よね。」後ろ髪引かれながらも、党本部へ。

芥子色のコートの制服の党員が忙しそうに動いているのが右手に見えてくる。
どれどれ・・・
一角であれこれと指示を飛ばしている党員を見つけ「おお居たいた。」
ゆっくりと近づき「あのー、すみません。ちょっとよろしいでしょうか?」と声を。
今の服装は街用の普段着。控えめな草色のワンピースにサンダル、帽子はつば広の麦わら。
穏やかな気候のグリダニアなら、割とポピュラーな服装といえる。
呼びかけにボルセル大牙佐は、「ん?」と振り向き、「お嬢さん、申し訳ないが今は忙しいのだ。用事があるなら、そこのカウンターで受付を。
ただ、案件が多くて今日受け付けできるかわぁっ!?は、あ、あの・・・その?」帽子を取ったレティシアの顔を見て、態度が急変する。
「あら?今日は無理なの?」と小首を傾げる。
「あ、あ・あ。そ・そ、そのう?もしかして、いや、失礼いたしましたあっ!レティシア様!ご用件はなんでしたでしょうかっ!」
「ん?いいの?」と少し意地悪く。
「はいぃ!」直立不動で敬礼。
「なーんか、キナ臭い話があるっていうじゃない?よければ聞かせてくれない?」
「はいっ!ですが、レティシア様、ここでは・・。人目もあります。中のほうに。立ち話ですませるわけにもいきませんし。」
「そう?じゃあお邪魔するわね。」



「実は。・・・・蛮神というのはご存知ですよね?」
「そりゃあね。」
大牙佐はお茶で口を濡らし、「ここグリダニアでもその問題で今揺れているところなのです。」
「ガルーダ、だっけ?」
「はい。蛮神の中でももっとも凶暴とされる風纏う荒ぶる神です。しかし、そちらの方はカンパニー、鬼哭隊、神勇隊などでなんとか。
ところが、そこにもう一件。ラムウ、です。かの蛮神は、ここしばらく見かけた、という話がありません。ですが、以前に「神降ろし」がなされたのは間違いの無い証拠が出てきまして。」
「へえ?どんな?」
「信仰者、というのはご存知ですか?」
「それは、普通のじゃないってことよね?」
「はい。そうです。蛮神は神降ろしで降臨するときに、大量のエネルギーを要します。属性にまつわるクリスタルと、生命の。
その時に「贄」となった信者たちは、自我を失い盲目的に蛮神に従います。」「なるほど、それが信仰者、ってわけね。」
「そうです。そして、森の中にラムウの信仰者が出るとの報告が上がってきました。」
「というと・・まさか、シルフ族?」
「はい。彼らはグリダニアと友好的な関係ですが、蛮神を降ろした、となれば討伐すべき、という意見と、いや和解でもってこれまで通りの関係を、と二派に割れてしまって。
カンパニーの総指揮官であらせられるカヌ・エ様も激務の中、二派のとりもちをされていまして、カンパニーのタカ派は抑えが利くのですが、
鬼哭隊、神勇隊のタカ派とその上位の議会にはそれほど影響を及ぼせなくて、心労のあまり、夕べから臥せってしまわれて。
わたしもタカ派の連中には睨みを利かせてはいるのですが、臥せってしまわれた事実がばれてしまえば、いつ暴走するやら・・。」
「ふうん・・・スゥのやつ、なにしてんだ・・・。」
「あ、スウェシーナ隊長も、タカ派には睨みを利かせていただいています。彼女もおそらく
ここ数日は寝ておられないようで。食事もロクに摂ってないみたいで、たまに部下に差し入れを届けさせてはいるのですが・・。
前回の差し入れが手付かずで置いてあったりと、かなりの無理をしているみたいで。彼女まで倒れられると・・」
「そういう貴方も寝てないでしょ?いいわ。何からすればいい?」
「助かりますっ!レティシア様。それでは、シルフ族のところに使者として赴いていただけますか?」
「いいわよ。でも前の集落って・・」
「ああ、そうなんです。その集落に例の信仰者が居たらしく・・。一度そうなってしまえば、元には戻れないみたいな報告も上がってきています。
ですが、普通のシルフも居たらしいのです。でも、見かけない人には彼らは敏感になっていまして。追い払われたとか。」
「んじゃとりあえずはマトモなのと話して、どうなってるのか報告あげればいい、ってことね?」
「はい。その報告書があれば、少なくとも貴女を知る者は信じるでしょう。カンパニーの連中なら尚の事。カルテノーの戦いで貴女の勇戦を知らない者は居ないでしょうし。」
(あはは・・・その辺の記憶がいまいち、思い出せないのよね・・でも使えるものは・・。)
そんなコトはおくびにも出さず、「わかったわ。明日イチで向かうとしましょ。チョコボの手配だけよろしくね。」
「はい。わかりました。それではお願いいたします。天魔の魔女。」
「任せて。じゃ、カヌ・エ様ンとこに挨拶行ってから、宿に行くわね。」
「はい。案内をつけさせますので。しばしお待ちを。」
「ほい。」



こんこん。
「どうぞ。」
「お久しぶり、カヌ・エ。具合はいかが?」
「あら、珍しいお客様。そちらはお元気?」
「ほどほどにね。っと、寝台から出ちゃダメよ?」
「こんな格好で失礼させていただくわ。」
「気にしないで、養生してね。」
「わざわざ挨拶なんて。もしかして?」
「そう、ね。そんなとこ。」
「いつも頑張ってるのね。」
「気のせいよ。それじゃ、ちょっくら張り切ってくるから。大人しく寝てるのよ?」
「そう、ありがとう。お言葉に甘えるとしましょう。無理はしないでね?レティ。」
「大丈夫よ。任せて。じゃあね。」
「いってらっしゃい。」

ばたん。 ドアが閉まり、遠ざかる足音。
「そう言って、あの人はカルテノーでも瀕死の重傷を・・・。ノフィカ様、かの英雄にご加護を。」手を合わす。


「たっだいまーミュー!宿の手配しといて。」
「はいはい。レティさん、何時まで泊まるんです?」
「とりあえず今晩だけ泊まれたらいいわ。スゥは・・もう仕事か。アレも大変だね。」
「そうね。だからケーキはおかわり自由にしてあげてるんだけど。」
「そうか、それで・・(差し入れ食ってないのか、あのやろ)」くす。
「どうかしました?」
「いや、スゥらしいな、って。」
「ですよね。そろそろ夕食ですけど?」
「ああ、そうね・・・悪いけど、部屋まで持ってきてくれる?もう一刻ほどしてからでいいし。」
「はい。大丈夫ですよ。ドコに居ても忙しいんですね、レティさんは。」
「そうかもね。」
「それでは、ごゆっくり。ナオ、後でレティさんのお部屋に食事ね!」
「はあい!」


部屋にて。
「シルフ、ね。バスカロンが詳しいかしらね?とりあえずはそっちから行くか。」
装備の点検をしながら、明日の行動を決めていく・・・・
「スゥも休ませてあげないとね。」
そこに、ノックと食事が・・・・


----------コメント----------

大牙佐はお茶で口を濡らし、ここグリダニアでもその問題で今揺れているところなのです。」

この文章、鍵括弧がおかしい気がする・・・。
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月16日 15:01

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>マルスCEO、ほんとだ・・・
なおしときますたw校正係、感謝っす。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月16日 15:25

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ウルダハ庶民のはずのレティだけど、
普通に他国(グリダニア)の国家元首に会えるって言うw
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月18日 15:55

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>マルスCEO、だねw

でも、生まれはアラミゴ(幼年期まで)その後、グリダニアで少女期を過ごし、裏のコネもでき、森にも親しむ、結婚を期にウルダハというか、
ザナラーンで過ごし、カルテノー戦での作戦立案時におそらくは顔合わせしていると。
で、戦後重傷の彼女にお忍びで一度くらいは見舞いに来ていても不思議じゃないかなあと。
それと、国家元首とはいえ、議会が今まで牛耳ってきた部分もあるから、発言権はGCならともかく、議会派には目の上のタンコブだろうと。
息抜きも欲しいところだろうね。カヌ・エ様も。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月18日 23:55

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>マユリさん
レティはエオルゼアで一番コネがあるんじゃないかなw
表裏どっちにも名が知れてるw
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月19日 10:51

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>マルスCEO、そーねw
実はクォの密偵も引き受けてたりするしねw
ウルダハには、ホライズン師のコネも継いでたりするし。
いろいろと、敵に廻すとコレほどヤヴァイ人物はいないんじゃないかなあw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月19日 11:40

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