745セブンス。剣聖に至るまで・・・

ベスパー・ベイから、4半日ほどか。キャンプ・ホライズンまでの徒歩の移動。
「なあ、にいちゃんよ?」目つきの悪い術士、ユーニ。
「どうかしましたか?レディ?」こちらは、なにかと気障な仕草が目立つ青年サンクレッド。
「なんで移動術式でいかへんのや?」
「ああ、経費削減ですよ。霊災前は霊触媒(アニマ)というエネルギーを利用してたみたいですがね。
その構造(システム)が地脈の乱れにより使えなくなったとか。
代わりにギルを使うシステムにしたらしいですね。なんでも、ギルにマナを染みこませてあるんだとか。」
「あー、なんかアレやな。ギルの価値がいきなり上がったヤツな。ほんでか。」
「みたいですね。以前の10ギルが1ギルですから、10倍ですか。」
「ええ、というわけで距離があると数百ギルかかるわけで。前のレートだと数千ですからねえ。」
「まあ、しゃあないな。」

「ねえ、エリ今の話、知ってた?」
「なんや、ミー。知らへんかったんかいな?」
「うっ」
「ほんまにお嬢やなあ。」

「あ!お姉ちゃん!エーテライト見えてきたで!」背の高いユーリは目もいい。
「じゃあ、みなさん。軽く休憩してチョコボを借りるとしましょう。」
「は~い。」
陽も傾きだし、夕暮れまでにはウルダハに着ければいいだろうとか。やいやいと休憩を。
「では、チョコボ乗り場に行きましょう。」

「う・・。」
「あ。ミー、チョコボ苦手やったなあ・・・。」
「おや?大丈夫ですか?」心配気な青年。
「ああ、うちの相方なあ、チョコボが苦手やねん。」
「その、酔うとかですか?」
「ちゃうねん、手綱がちゃんととれへんから、何処行くかわからへんねん。」
「ちょっ!そんな!バラさないでよぅ!」顔が真っ赤になってる。
「はは、だいじょうぶですよ。ポーターサービスといって、あらかじめ行き先を教えてあるので、振り落とされない限りちゃんと運んでくれますから。」
「ほう、便利なのがあるんやなあ。」
「では、手続きを済ませましょう。」
受付に歩いていく。
「ううう。エリひどい・・・。」涙目で訴える。
「なんや、そんくらい。それともあれか?ミー、あんなのが好みなんか?」
「なっ!ちっ!ちがっ!なにっ!!??」
「まあ、ええわ。ウルダハの宿でな。」「・・・・うん。」


特に事件らしい事も無く、ウルダハに。
「ではクイックサンドで夕食と行きましょう。」サンクレッドはカウンターへ。
「宿の予約をしてきますよ。二部屋でいいですよね?」
「じゃあ、適当に頼んどくわ。」「てぃんくは肉がいいですぅ。」「俺は・・・給仕がかわいいミコッテならなんでもいい。」「さよけ。」



食事も終わり、5人の女子部屋にて。
「なあ、エレディタ、やったっけ?そういやあんた、その訛りってうちらみたいなん、なんかいわれとかあったりすんのか?」
「あん?ああ。そういや、あんたら姉妹はハイランダーやったなあ。うちも半分だけハイランダーの血がはいってるねん。
どっちかしらへんけど。物心ついたころにはこの言葉使いやったし、しばらくして捨てられたからなあ。
ほんで、拾うてくれたんもハイランダーの姉ちゃんやったし、この言葉使いはそのまんま、か。」
「ほうか、いらん事聞いて悪かったな。」「かまへん。隠すほどのことやないし。」
「うちらは、親父が傭兵やっとってなあ。おかんの葬式にもでてけえへんバカを殴りに出てきたら、まあ成り行きで見ての通りや。」
「なるほど。」「お互い、親には恵まれへんなあ。」
はははははは。
(う、ミー、ここではアウェーもいいとこだよう・・・。)
「てぃんくは、押しかけ弟子やってるですぅ。」
「はいはい・・・あんなんのドコがいいのかねえ?」「いい武器持ってるですぅ。」
(パクる気だ・・・・。)
「そういや、エレディタ、あんたの師匠って?有名らしいじゃないか。」
「まあね、あのオッサンがそこまで有名って知ったのは弟子になってからしばらくしてからやけどな。それと、うちのことはエリでええで。」
「あ、そだ。エリ。ユパさんのお話聞かせてくれるって。(やっと発言できた・・・。)」
「ほう?」
「ミー・・・。まあ、ええわ。知られても困るもんやないやろ。」

どきどき

「あれはなあ、うちがオッサンとやり合って負かされて、最初の夜やったか。簡単な自己紹介かなあ。「おいらは、ユパ・ボレーズという。改めてよろしくだ。」やって。」
「あら、ユパ様そんな名前だったんだ?」
「ミー、あんた知らんかったんかい。」
だって・・・・もごもご・・・
「ほんでまあ、あちこちと行きながら、互いの身の上話とかしとったんや。」
「へえ。」
「ああ、いつやったか。オッサンな、もともとは狩人やったらしい。そんな話しとったなあ。」「え?じゃあ剣は?」「さあ?若い頃の話らしいからなあ。」「へえ~」

・・・・・・・・・
木々の合間。ゆっくりと呼吸を整え・・・。
手にはショートボウ。軽装のシャツからは赤銅色の肌が見えている。
「ふぅ・・ふぅ・・・・。」じっくりと狙いをつけていく。
ローエンガルデの青年、ユパ・ボーレーズは今夜の食卓に乗せる獲物の狩に。
陽はそろそろ中天から陰りだす頃だ。早めの昼食を済ませ、狩場に。
ウルダハから北に3日ほどの山岳に集落がある。ただ土地柄、樹木の類はほとんどないため、クルザス方面の谷間か、黒衣森方面まで足を運ばなければならない。
ただ、クルザスは危険な魔物も多いので熟練の狩人しか外出は認められていない。
ユパはまだそちらには行けないため、黒衣森方面までいかなければならないのだが、往復でかなり時間がかかるため、早めに出て、早めに帰らなければ。
時には森で2泊3泊することもある。しかし、今日は帰らなければ。
少し焦る。
なんせ、嫁いだ姉が今日明日には出産する、との事だ。どうしても食卓を彩ってあげたい。
ルガディンは人口としては女性が圧倒的に少ない。体力がある種族ゆえ、固体数が少ないのだ、と以前集落に来たララフェルの学者が言っていた。
ただ、女性の比率が少ないのは何らかの要因が別にあるのかも?と。だが、現に自分には姉がいるし、出産ともなれば、集落全体でお祝いをする慣わしもある。
そこにやはり身内としては華やかにしたい。
「!」
来た・・・・・。
あれは・・・ボア種か・・・。ずんぐりとした体型の気性の荒い動物。稀に魔物化して旅人を襲ったりするらしいが、今目の前にいるのはそこそこの大きさの野生種のようだ。
魔物化する理由はよくわからないが「エーテル酔い」が原因とかなんとか。よくわからないが。
こちらには気づいていない。 よしっ!心中で喝采を。
弦を引き絞る。
放つ。ひゅん。        とす。
ぴぎゃああ!ボアはびっくりして逃げ出す。矢は確かに中った。が、尻のところだ。
尻は脂肪が多く、走る際に少々速度が落ちる程度で逃げ切られることが多々あるポイント。
そして、走り出したボアを見送るように青年は・・・にやり。と。
しばらくして、またしてもボアの悲鳴。今度は悲痛な泣き声だ。
どすん、という音と共に聞こえてきた悲鳴の方に駆け足で向かう。
すると、浅く掘られたところに鉄製の顎ががっちりとボアの前足を挟み込んでいる。そして勢い余って転んだ拍子にもう一本の前足も折ったらしく虚空をむなしく引っ掻こうとしている。
「すまんな。」ナイフを取り出し「楽にしてやる。」首元に一刺し。大人しくなる。
罠を外し、腰にぶら下げるとロープを取り出し、4つ足をしばりあげ、担ぐ。
(この森では無闇に血をながすべからず、という条件で狩を認めてもらっているため、止めを刺した後は急いで森をでて血抜きをしないとせっかくの獲物が傷んでしまう。)
「よしよし、上出来だな。」担いだボアはかなりの重さだ。これなら自分と姉夫婦、両親、ご近所と、振舞ってもおつりが来るだろう。残った肉は干して、弁当用にするとしよう。

その夜、元気な赤子が生まれた。女の子だった。集落全体でお祝いも盛大に行われた。

翳りは密やかに近づいていても気がつかないくらいに・・・・。


----------コメント----------

あ、この先、鬱展開や・・・。

リアル座談会でユパさんが冒険者になったきっかけが皆を守る力が欲しいから
って事だから何か起きる・・・。


ボーレーズ じゃなくて ボレーズ じゃなかったっけ?
Marth Lowell (Durandal) 2013年11月05日 17:00

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>マルスCEO,ほんとだwなおしました。

鬱展開になるかどうかはまだ未定w
でもまあ・・・ね?どうなりますやら・・・。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月05日 19:24

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イメージピッタリですw
実際に連日ボア狩りに行ってたからねーw

読んで直ぐ、テキストコピーして永久保存版にしました!
なんか、始めてテレビに出た時の興奮に近いかもw
続きを楽しみにしています(^ ^)
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年11月05日 22:05

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>ユパ様、それは嬉しいお話です♪

それでは、せっかくですし、姉君と姪っこさんのお名前をかんがえていただきましょうかねw
期限は今夜中にw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月06日 14:13

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ぶっw
考えますwちょっとまってーw
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年11月06日 20:57

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スッと思い浮かんだ名前がこれです。

姪がタリア・ボレーズ
姉がモニカ・ボレーズ

どうでしょう(^ ^)
Yupa Boleaz (Ragnarok) 2013年11月06日 21:07

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>ユパさま、ありがとうございます♪
では、登場までしばしおまちをw
姉君の夫はこちらでネーミングしますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年11月06日 23:29

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