744セブンス。少女達の追憶。

わいわい、がやがや。港町ベスパー・ベイはリムサ・ロミンサからの海運の玄関口であり、物流などで物がごった返しになっている。
霊災以前の旧フェリードック時代はそれほどでもなかったが、やはり復興や、その他で物流が活発になっているのであろう。人の数もそれなりだ。
その中を一団が通り過ぎる。
「さて、チョコボが仕えるかな?」とは、先頭を行く青年サンクレッド。
言葉巧みに二人の少女を組織のトップに引き合わせ、引き入れることにも成功させたわけだが、なんとなく調子がいつも通り、という訳じゃない。
というのも・・・・今回スカウトしたメンバーは6人。その内5人がまだ少女といっても通じる?ぐらいの娘達ばかりだから。一人だけベテランがいるが、これまた特異な性質のようで。
今回の仕事を請負ったはいいのだが、実際のところ腕前までは確認していない。
どうなるかな・・・。


その後ろには赤毛のエレゼンの少女、いや女性か。鎖帷子に剣と背中には盾。柔和な顔立ちはその装備に合っていないような。
本当なら年頃の娘らしく華やかなワンピースや、ふわりとしたスカートに純白のブラウスが似合うだろうに。相棒のヒューランの女性はいつもそう言っている。
そして、そのヒューランの女性。黒髪を雑に短めに切ってしまっている。伸ばせば綺麗なんだろうな、とは相方の弁だが、本人にはその気は無いとの事で落ち着いている。

さらに後ろには姉妹と、謎のコンビが続く。

「さて、行程なんだが。」青年は歩きながら簡単に説明を。
「このまま、ホライズン、ウルダハと行って一泊、そのあとベント・ブランチまでだ。詳しい作戦は不滅隊と打ち合わせをしてから、だな。
それで、だ。チョコボを使おうかとおもったんだが、どうにもレンタルは無理っぽい。仕方が無いからホライズンまでは徒歩だな。」
一同「はーい。」

しばらく徒歩が続く。自然といつも通りの区分けができて・・・
ミーランはエレディタと肩を並べながら。
「ねえ、そういえばお師様何してるのかしら?」
「あん?あのオッサンやったら、どうせまたなんか修行とかいうて、はっちゃけたマネしてんのとちゃうか?」
「エリっ!そのオッサンってヤメなよ!」
「なんや、ミーはオッサンが好きなんかいな?」
「なっ!なななななぁっ!!」顔が真っ赤になる。
「判りやすいやっちゃなあ。」
「ちっ!ちがうっ!!いきなりなんでそんな話になるのよっ!」
「オッサンの事になったら、いっつもムキになるからなあ、ミーは。」
「ち、ちーがーいーまーすー!」
「ほな、なんでや?」
「そ、それは・・・やっぱり師匠として尊敬してるのに、エリが小バカにしたような事言うからじゃない。」
「そんな事言うたかて、ミーの反応がいちいち面白いからに決まってるからやんけ。」
「うっわ、性格ワル。」
「もとからじゃ。」
「ほっほーう。コレだけは黙っておこうと思ったけれどね。」
「なによ?」
「聞きたい?」
「だから、なによってんでしょ!」
「今から顔隠す準備しておいたほうがいいわよ?」
「はぁ?」
「1年ほど前かな?野宿じゃなしに、ちゃんと宿で寝たときにさ。」
「ああ、あの時の依頼、かなり報酬出たって喜んでたやつか。」
「その時、寝てる時ちょっと催してね、厠に行こうとしたときに、エリが枕を抱きながら「ユパさま・・」って、寝言言ってたのだよ!」
「・・・・・・ぇ?」
「普段はつんけんしてるのにねぇ・・・。実は、ってやつね。」クス。
エレディタは右手を握り締めたり開いたり、ワキワキと音がしそうな・・・・・・・
「ミーランさん。その話、誰にもしてないよね?」
「エリ?うん、もちろんよ?だから、その手を音がしそうな勢いでこっちの首に狙い定めるのはヤメて?」
「誰かから聞いたらコロス。」目は笑っていないが口元にはニンマリとした笑みが張り付いている。
「ちょっ、コワひから・・・。」
「フン。まあいいや。あのオッサンと出逢った時の話はしたっけか。その後も二人で色々あちこち行ってなあ。
修行っていうか、生き残る術みたいなものを習ったよ。もちろん格闘だってそうだし、幻術だって。でさ。なんで身よりも無いうちの世話なんて焼いてんだ?って。
ある時疑問が出てな。そりゃそうだろ?で、あのオッサンがガラにも無く自分の過去を語りだしたんだ。辛気くせえ話だったよ。」
「ど・・・どんな?」
「聞きたいならいいけどよ。うちも全部が全部覚えてるわけじゃねえ。ところどころはしょったり、時間が前後してるかもしれねえし。ま、宿に着いたら暇つぶしに話してやるよ。」
「うん・・・・。」

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