737セブンス。社長の苦悩。

「あふ・・・・・。」
「エリス社長、ヘンな声ださないでくださいよ。」
執務室のデスクに突っ伏して、夜の情事かと思えるような声が・・・。
秘書のエレゼンの女性があきれ返ったかのような声で。
「そんなコト言ってもねえ。」
もちろん、デスクには女社長のミコッテしかいない。
これで男でもいれば就業中にとんでもないことだが。
ついさっきまで男が居たのは事実である。
ただ、そういう関係では全く無く、本社の社長の実の弟だが。
彼は、なんというか。
全く悪意の無い、怪物のような存在だった。
まず、社長から「弟を本国から呼んだ。物見遊山させてから本社で使おうと思う。ついては、エリス。ウルダハについて教えてやれ。商いするには他の街も知らないとな。」
との要請に、気軽に「はい。任せてください。」
なんぞと返事をしたのがそもそもの間違いだったのかもしれない。
エレン、と名乗った彼は、ピンク色のちょっと愛らしい、といえばそうかもしれない笑顔の青年で、マルス社長よりいくつか年下という。
ということは、自分よりも少し下、という事になる。
「ふうん。」などと、最初は思っていたのだが。

「よろしくね!えーっと・・・。」
「エリス、よ。よろしくね。」
と挨拶を済ましたつぎの瞬間。
「今夜一緒に寝ない?」
と抜かしたのだ。
「は?はぁああ?」
「え?だめ?」
「なああに言ってんのよおおおおおっっ!」
あまりにもさらっと言われて、おもわず絶叫してしまった。
「え、お姉とはいっつも一緒に寝てたのに。」
なんだと!?
(いや、まて。それってまだ子供の頃よね・・。)
「とにかく!ダメです!もういい年なんだから、そんなコトはできません!」
キビシ目に。
「ふうん、エリスさんって厳しいね。」笑顔で。
(なんじゃ、こいつは・・・マルス社長、押し付けたな・・)後悔先に立たず。

そして、宿の手配をしたから、と言って案内すると。
「あ、エリスさん。あれ食べたい。」
屋台を指差す。
「今はまだダメよ。先に宿に行って荷物を下ろしてから。」
「えー。」
「いいから行くわよ。」歩き出し・・・
振り返ると、彼がいない。
「え?」
そして、屋台でいきなり注文をしている。
「ちょっ!」
慌てて戻る。
「あ、エリスさん。僕お金足りないって。お願い。出してくれないかな?」
両手にはかなりの串焼きが。
「こ。この・・・・・。」
この男が社長の弟じゃなければ殴り倒しているところだ。ナックルつきで。
結局、一番高そうな串を20本ほど買ったらしく、ポケットの小銭では少し足らなくなり、バッグから財布を取り出すと支払いを済ませる。
「わ、お金もちだね。」と天真爛漫な笑み。
そりゃそのくらい持ってないと。少なくとも一企業のトップを任されているのだから。
「まいどあり~」の声を背に「早くいきますよ!」と声を荒げる。
「あれ?怒ってる?」
血管が切れそうだ。頭の片隅で何かが音を立てようとしている。
(だめよ、エリス・・・うん。耐えなきゃ・・・・)
なんとか押さえ込むが・・・・
「あ、アレ買って!」今度はお菓子の屋台。そして、制止する間もなくカバンまで放り出すと屋台にかじりついて注文をし始める。

ブチ

なんかが切れた音が聞こえた気がした。
「何やっとんじゃああああああああっ!!」
後ろから尻尾をつかみ、引きずり倒す。
「わ?ビックリした!いきなり尻尾掴んだらダメだよう。」
「うるっさいっ!!さっさと行く!立ちなさいっ!」
屋台の店主に一言あやまり、カバンを持たせると、後ろにまわる。
これ以上の暴走は許されない。
「エリスさんって、気が短いんだね。」
特に怒った風でもなく、にこやかに言われると、なんだかさらに頭に血が昇る。
「いいからっ!」
そこを右、左、と言いながら社員寮までなんとか案内できた。
部屋まで案内すると「ここでしばらく寝泊りするのよ。」となんとか言えた。
「エリスさんの部屋は?」
「何故聞く?」
「えー、遊びにいっちゃダメ?」
「ダメです。わたしは忙しいの。それと、一緒に寝るのもダメ。」
「ふうん、仕方ないなあ。後で探しにいこうっと。」
「ヤメてっ!」確かに、またしても何かが切れる音がした。確実だ。

とりあえず部屋に押し込むと、部下を呼んでドアの外に錠前をつけさせた。
「はぁはぁはぁ・・・しょ、初日からこれか・・・。」

そして。
一時が万事この調子で5日ほどが過ぎ。
心身ともに疲労困憊してきて、ついに一つの手を思いつく。
(そうだ・・・エフィも呼ぼう・・・)
親友をも巻き込んで、この後3日ほど。
エフェメラには「巻き込み料」として、故国グリダニア行きの往復チケットをプレゼントした。大層喜んでくれたので、なんとか面目はたった、と思いたい。

そして、部下に命じて社長の弟エレンを飛空艇乗り場に行かせようとしたら、寮に居なかった。ん?
いぶかしんで、とりあえず社長室にまで行くと、彼がいた。
デスクに。
「なっ!」
「あ、ここでお仕事してるんだね。このハンコ?コレを押すんでしょ?」
すでに書類のいくつかにハンコが押されたようだ。それも何箇所も。
「ちょっ!な!なにしてるのっ!!!!」
重要な契約書なんかも被害にあったようで、デスクから数枚が落ちている。
「がああああっっっ!!!!!!」ぶちぶちぶち。
「え?お仕事の手伝いしてたんだよ?」
「おい!いい加減にしろっ!!!!!」
胸倉を掴んで、部下を呼ぶ。
「さっさと社長の元に送り出せっ!それと、この部屋に入れたのは誰だっ!」

ふーっふーっ・・・・


無残なまでにハンコまみれにされた契約書のいくつかを見て、暗澹たる気持ちになる。

デスクに突っ伏し
「あふ・・・・・。」
秘書から何か言われても、もう何も反応できないかもしれない・・。


----------コメント----------

小説を報告書にみたてて

「ふう、これは・・・。ひどいな。流石にエリスがかわいそうだ。」
パールで
「あ、エリスか?私だマルスだ、今報告書を確認した。何と言うか・・・、ごめん。
あいつがここまでひどいとは思わなかった。
で、今回は特別にエレンの世話に使ったお金を経費として申請して良いぞ、
書類は本社宛に送ってくれ、こっちで私が立替えて払っておく。
それと、少し休んで良いぞ、仕事まで邪魔されたみたいだしな。」


久々にセリフ系ネタ投下w
仕事させるために呼んだのに逆に仕事増えてるw
Marth Lowell (Durandal) 2013年10月23日 19:20

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>マルスCEO,ネタ投下感謝w
ちょっとお話考えとくね。オチとかw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年10月25日 06:33

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