705セブンス。Sixの・・・

「やめろぉっ!」
悪夢。
そして目が覚める。
シックス、と名乗るミコッテの少女。
いや、そろそろ女性と呼ばれてもいい年頃か。
小麦色の肌に金髪で蒼い瞳。
彼女には家名は無い。
アラミゴ出身だが、帝国兵が侵攻してきたときに、彼女は両親に売られた。
自分たちが逃げ出すために、娘を差し出したのだ。
まだ幼い少女は帝国兵に連れられ、まだ幼いから、と娼婦にはならなかった。
が、兵士達は少女を蹂躙してから・・・
そうして工房に送られた。
その時から少女の頭の中には少し変わった思考と知識が。
もはや、自分を売った親の家名など名乗るまい。と。
元の名、ラァ・フォンテの名は永久に始末する。
その代わりに。
帝国の工房で休憩時間に戯れている遊び「ダイス」に、自分の名を改めてかぶせた。
「シックス」
ダイス遊びでは一番の数字「6」
本来であれば、必ずしも最強ではないのだが、出目としては最高だ。
そして、最低である「1」の裏側。
これ以上のものはない。
以降、彼女は「シックス」と名乗り続ける。

数年。
そして彼女にとっての転機。
工房に一人の男性が。
今までは帝国の要?ともいえる航空兵器のパーツを作っていたのだが。
そんなものではなく、個人の武器として使えるもの。
「銃」
そして、やってきた男は「シド」と名乗り、自作の銃を披露してみせた。
その映像は、あまりにも衝撃で、まだ年端も行かない自分でも作りたい、と。強く願って。
2年ほどで銃作りの3番手になることが。

パァン!!
ブローバック、と呼ばれる機構の短銃の製造に成功し、シドから褒められて。
割り当てられた部屋の壁に幾つもの痕をつけては、同僚に文句を・・・
その後、改良を重ね、シドも面白そうに付き合ってくれる。

結果としては、いろんなタイプの銃を量産できる、と。
ただ。
自国アラミゴを侵攻した帝国を。自分を売り渡した両親を。
決して許すわけにはいかない。
幼いながら、兵士達に犯され、工房に放り込まれて。
この恨み、はらさずにはいられない。
どんな手段であれ。だ。

そして、恨みを晴らす一つを得た。
「銃」
この製造技術に関しては、シドの助けもあり、かなりのものだろう。
十分な知識と、裏ではこの知識に基づく製造をしてくれるコネを得た。
知識と引き換えに、量産してくれるメンバー。
シドにも内緒だが、自分のために動いてくれる。
そして。
「機」はやって来る。
シドが3国のどこかに亡命する、と。
これは、転機だ。ダイスを振る。
「1」だと、失敗するだろう。だが「6」だと?
出目は「6」
(やったあ!)心の中で快哉を。
シドの一団に混じるのは難しい。
だが、なんとでもなる。
もう一度ダイスを。「5」
悪くない。
今度は二つ振る。
「5」「5」ぞろ目だ。
やるしかない。
密航のための準備を整え、自慢の商品をトランクに。
最後にもう一回ダイスを。

「6」

「ようし、やるしかない、ってね。」


密航は成功し、彼女はリムサ・ロミンサに。
そして事前に聞いていた豪商のもとに。


帝国の製造ラインも使いつつ、その名を売りに。



「わたしはシックス、っていうの。いい商売ができると思うんだけどね?どうかな?」

帝国と両親に復讐を果たすべく、ミコッテの少女は動き出す。

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