686セブンス。二人。

「ミー。」
黒髪を短めに刈った女性。
相棒であるところの、オレンジの髪のエレゼン。
前は長かったのだが、最近は短くしている。
あと、頬の蝶のマーキングなんか施して。
(なーにお洒落してるつもりなんだか。)
冒険者などやっていると、異性と関わる事も多い。
だが、その関係を作る事はなかなかない。
いっちょまえに「らしさ」を出してる相棒が、そんなに?とか。
自分は。
恋仲だった、チームのリーダーを叩き出し。
理由は。
ヒューランの女性、エレディタは思い返し。
ただ。
単なる。
そう。
どうでもいい。
そう、思い込んだ。その先にあったのが、彼を追い出す、という事。
理由は。

「ミー、そっちやれ!」
騎士である相棒は、今ではとても頼れる。
ナックルで敵を打ち倒しながら、その姿にちょっと。いや、かなり。
同性ながら、この娘に惚れないオトコはいないだろう、とか思う。
翻って自分は・・・。
「はいよ!」と、拳を。

ちょっとした嫉妬。
それを意識した時。
とてもイヤな自分に気がついた。
ただ、抜け出せない。
この気持ちは。
エレディタはこの感情を目の前に居る魔物にたたきつける。


「ミー、お疲れ。」
「うん、エリお疲れ様。」
「ミー?」
「うん?」
カーラインカフェでのやり取り。
「その・・・オトコって?」
「はぁ?エリ、どうしたの?」
「いや、そのあれやな。そろそろ、かな?なんて。」
「エリ?わたし、そういう経験無いんですけど?エリの方は?」
しまった。やぶ蛇だったか。
「あ、いやあ、まあ。過去にね。」
「ふうん、あるんだあ?どうなの?ねえ?」
「あ、いや。その。ロクでもない経験だった、ね。」正直に。
「そう。」労わる表情に偽りは無い。
「あ、でもさ。ミーなら上手くできるって。」
「うーん。」
「大丈夫だって。」
「エリ、なんかわたしと誰かをくっつける気?」
「違う!うちは失敗したから。」うなだれる。
「あ、ゴメン、エリっ!」
「大丈夫。気にせんといてや。」

相棒であり、親友と呼んでもいいパートナー。
お互いに気遣い、肩を並べる。
そんな仲。

「エリも・・・・いい人ができるといいね。」
「ありがとな。」
(その前にお前やろ)とは、心の中に。

二人の女性冒険者は、あらためて杯を打ち合わす。

チン、と音がするとそのまま。
ワインを飲みあかす。

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