531書き物。黒衣。

「なァ?」
黒髪を、そのまま流し。
白磁のような面貌を、それこそ人形のような。
声だけを聞いていれば、まさしく人形が喋りかけてきた、そう思える。
「どいツからぶっ殺したラいい?」
この物言いと。
迫力のある笑み。
どう見ても年頃の少女とは思えない。
だが。
「フネラーレ。少し落ち着け。君の能力を評価しないわけじゃない。ただ、少しだけ状況を見よう。
場合によっては俺も左翼に参加するかもしれん。もしかすれば遊撃にも。その際には君にも同席してもらう。覚悟はいいか?」
黒髪の術士は穏やかに。もしも拒否されても自分が全てを。このうら若い少女を戦場に押しとどめるなど、できるはずも無い。
「ミーラン。」
娘は今。どうしているのだろうか?ユパやレーゲンに師事しているのだろうか?
いや、今は考えまい。
しかし。
「おっさああン?もしかシて僕をナメてル?」
「そう見えたのなら、君の慧眼に感服する。」
「ほっほウ。なメちゃってくれテンだ。いいヨ。いいゼ。・・・・ブっ殺してやル!」
大弓に矢が。
古いが丁寧に手入れされ、黒い弓はその名に等しく存在感を見せ付ける。
そして普通であれば対人用の矢のはずなのだが、対魔物用の巨大な矢がつがえられる。
「くたばレ!」
普段、彼女は狙撃の時には特に言葉を口にしない。もちろん気づかれないためだが、この時は。感情が揺れ動いた。

控えめな大きさのワンドを片手に。エレゼンの男性はひと言。
「燃えろ。」
必殺の矢を火炎で。それも風を巻き込む上級術式で。
「落ち着いたか?」
くすぶり、焼け落ちた矢を見ながら。
「・・・・。」
無言を是、とし、移動を再開する。

「なにもンだ?てめェ。」
「しがない昼行灯だよ。」

黒髪のエレゼンの術士は本当に情けないような。
そんな笑顔で「おとなしくいう事聞いてくれるかな?」と。


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おじ様~~v きゃー(≧∇≦*)v
Fizz Delight (Hyperion) 2013年04月01日 23:29

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>フィズさん、昼行灯のおじ様w
渋いところを魅せたかったのでありますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年04月02日 02:20

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