494書き物。エレゼンの少女は・・。

グリダニアにある、一番大手の宿。「とまり木」
カーラインカフェの2階にあるその宿は、主に冒険者ご用達として親しまれている。
広い部屋と寝台、さらには沐浴できる大きな水場。
冒険を、もしくは死線を。
これらを癒してくれる場としては、確かに一番といえよう。

「はふ・・。」
オレンジ色の髪がランプに映えるエレゼンの少女は、すっかりアザだらけになった体を濡れたタオルで拭い。
「あいたたた・・・。」とときおり声をあげる。
陽の光だと燃えるような赤毛に映る彼女だが、こういう灯りだとオレンジ色に見える髪を持つ。
エレゼンとしては、かなり小柄な彼女だが、つい先日「冒険者」としての第一歩を踏み出した。
「大丈夫。うん。絶対。」
相棒としてヒューランの少女とコンビを組み、ルガディンの師と共に修行を始めたはいいのだが。

先日の事。
「剣筋は悪くないなあ。でも、闇雲に振ってるだけではこの先は危ないだけだ。」と指摘され。
「何がダメなんですか?ユパ様。」と
それに応えたのは相棒の少女で、「自分で考えろや。オッサンは単純に剣振り回してるオマエのアタマがオカシイ、って言うてんねん。」
「言うじゃない。」
「ちゃうんか?」
「まあまあ。ケンカもいいが、何がダメなのかを考える、これも大事なことだ。ミーラン。
その事を覚えて明日のリーヴをやってみよう。エレディタは精霊との対話にもう少し丁寧さを身につけよう。
彼らも我等も、命の循環、世界の中のひとつであり、そのひとつが全てでもある。
対等な存在として対話をしなくては、彼らとうまくいかないよお。」
「はい!ユパ様!」「あいよ、オッサン。」

そして今日のリーヴだったのだが・・。
「なーによ、全く。ミーはちゃんとやってたのに。エリってば、すごい適当な構成で術式編んで。
あれならミーだって、や、ミーの方が上手にできるわ。」
寝着を身につける。
唇を尖らせながら。
「エリ!浴場空いたわ!」と部屋に入る。
「おっせー。」
寝台で師から借り受けた「精霊の書」を読んでいた少女は、のろのろと浴場に向かう。
「遅くないわよ。早くしないと灯り消して寝ちゃうから。」
「はいはい。寝るときは寝台使うなよ?アンタの寝相の悪さはそれこそ最悪だからなあ。」
「そ、そんなコトないもん!」
「初日で思い知ったよ。こんなヤツがいるんだなあって。」脱いだ下着を放り投げながら浴場へ。
「ぶー!」
っと、まさしくブー垂れてみたが、相棒には通じないようだ。
「何よ、あいつ。」
とさっきまで彼女が読んでいた書に目を通す。
「え?」
凄まじい文字量。
私塾にも通ってはいたが、教科書ですらこの文字量は無い。
圧倒的な文字の量に、いや、これを半ばまで読んでいた、というのか。あの少女は。
「本気、か・・。」
自分がいかに至らないのかが分かってきた。
その相棒は浴場から盛大な歌声で何かを歌っていたが。
「ミーは。ダメ。このままじゃ。勝てない理由が一つ分かった。」
タオルで髪を乾かしつつ、剣を振るイメージを繰り返す。
「あの時・・そう。こうじゃなく、こうすれば避けれた・・。」
目を閉じ、もう一度イメージを繰り返し。
「明日は。」
「明日は勝てる、って?いつでも来いや。ほな寝るで。」
素っ裸にタオルだけの少女はそのまま寝台に倒れこむ。
「ちょっ!」
なんとも自由というか、なんというか。
しかしながら、少しだけ。
そう。ほんの少し、この少女を見直すことにした。
「悔しいけれど。」と一瞥をし、もう一度イメージで剣を振るう。
寝るのは・・・もう少し・・・後。

深夜になり、睡魔には勝てず・・・。
翌朝には、相棒の少女から散々文句をたまわった。
「ミー、悪くないし。」「阿呆か。」


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うぬ、
泥臭いことを影でやるからこその強さw
見習おう(〃ω〃)
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月07日 17:41

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>フィズさん。そうですねえ。
評価は他人からされるべき。自分でするのはただの自慰です!
そのためにも研鑽に励んでください!(えらそう・・・あたし・・)
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月08日 00:56

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