493書き物。屋台を攻めるミコッテの一日。

「ふんふ~ん♪」
鼻歌もご機嫌なミコッテの少女、というか年齢的はそろそろ・・。
褐色の肌に、茶色の髪。そして碧い目の少女は。
ここ一番な屋台を目指して、昼食のためにお腹をすかせている。

「にゃんにゃん~♪」
最近見つけた屋台では、かなりのヒットだと思える。
ウルダハ風鳥のスパイス煮込み。そしてライス添え。

ウルダハには行った事がない、というのが一番のポイントだが、ライスを添えるとこうもなるのか。という驚愕もある。
基本的にパンが主食だったため(ライスって野菜だし。)主食を張るような存在感は、突飛でもあり、革新的でもあり。
「楽しみ、だにゃん。」と、ついミコッテ訛りまで出てしまうほど。

屋台めぐりは彼女の趣味にして、情報収集の基本でもある。
なにしろ、屋台なんて場所では、機密だろうがナンだろうが、
わいわいしているため(最近は穴場探しがメインなため、わいわい、は少ないが・・)
情報の出所はさておいて、かなりいろんな情報が集まる。
驚異的な記憶力を誇る彼女にしてみれば、なんとも2度も3度も美味しい場、なのだ。
そして。

目の前の屋台には、すでに4人もの先客が居た。
「うっそー。」
大体において、屋台の定員といえば5~6人。その最後尾を自分が・・。
「大盛りー!」と。
(あれ・・。わっちとしたことが・・。先客多すぎ・・。)
お昼ご飯としては、若干早い時間帯ではあるが。そのために来てみれば。
むう。
「たいしょー、ココって有名すぎたりしないー?」
と、少々失礼な質問も彼女ならでは、か。
「失礼なやつだな、ショコラ。」大将は笑いながらも。「ツブれない程度に繁盛してるさ。」と切り返し。
「ならよし。」と頷くミコッテに、「偉そうだな、お前。」と返す。
「まあねー。」と軽く返すと、出てきた皿に舌鼓。
の。その前に。

(こいつら・・。)ルガディン、エレゼン、ヒューラン。
このエレゼンの少女は知っている。「ハーミット・ダーク(黒髪の隠者)」の娘だ。
最近は若者達・・「サクセサーオブウィッチケイオス(魔女の後継)」や「ブラディナイト(血まみれ騎士)」とも親密なはずだ。
(あちゃあ、これはまた美味しい、って?ん?)
赤毛のヒューランの女性。これは?
(アリティア!)
上等な情報というものは、なにも買ったり探したりするものではない。
ちゃんとした勘があれば、勝手に転がり込んでくるものだ。
そして、それは高額の報酬になりうる。
「欲しいものが居る」この需要に、供給を与えるため、彼女は奮闘しているのだ。
「えへへ、らっきー。」と、鶏肉の煮込みを食べる。
情報屋としても、屋台好きとしても、二度美味しい今日のお昼。

ココナッツミルクをふんだんに使い、青唐辛子で辛味と色合い。
そして各種スパイスを利かせた煮込み料理は、頬を赤くさせ、汗も出てくるが、すがすがしい。

隣を見れば、ルガディン達はすでに席を立ち、どこかに行くのだろう。
だが記憶によれば、あのエレゼンの少女はまだまだ初心者のはずだ。
いいとこ、ベントブランチ止まりだろう。マークするほどでもない。それよりも。
(アリティア、か。)
隣の赤毛の女性は、はふはふ言いながら料理を食べているが。
(これはマーク、っすね。)
わざと食べ終えるのを後にして(本来なら一気にかきこむ)赤毛の女性の動向を。
そして、アパルトマンに入る彼女を確認して、「はい、終了。」と、自分の部屋に戻ってパールで伝心。

「キーさああん。ちょっときいてくださいよお。」
「はあ?俺は今メシ食ってるから!」
「なにそれ、ださ。」
「うるさいなあ、メシくらい食わせろってんだ。」
「美味しい情報。要らないなら他に売っちゃいますよー?」
「まてこら!」
「いくらで買います?」
「質による。」
「そうですねー。重要度ランクとしては、1~2かなあ。」
「なんだそりゃ。3にも満たないならヨソに売れよ。」
「でもですねえ。知名度でいえばちょとばっかり。3~4くらいですよお。」
「出し渋りやがるな。まずは1000ギルだ。」
「じゃあ。最近暴れちゃった「社長」の子飼いがグリダニアにきましたあ。くらいかな。」
「ショコラ。おい。それって重要度ランク3にいくぞ?」
「で?おいくらあ?」
「わかった。1万ギル、だ。」
「どうもお。キーさんだいすき!」
「つまんねえお世辞なんかいらん。そんで?」
「赤毛のヒューランの女性。会社名はアリティア護衛サービス。業務自体はまだしてない、とおもうねー。
具体的な障害にはならない、けど知名度はそれなり。「家」の仕事とかぶる事は無いとおもうけどー。
でも、やり手社長と、フネラーレがケンカしてるもんね。衝突があったら、あの教授が出てくるかも。と、いうところでーす。」
「なんだか、軽いんだか重いんだか測りかねる案件だな・・。」
「それと追加情報もあったり。」
「なんだ?」
「いくら追加報酬頂けますかなあ?」
「一万。」
「ムリ。」
「5万。」
「安くみられたものなのね、わっちも。」
「足元見やがって。こちとら公務員なんだぞ!」
「じゃあ、お安くして10万ギル。」
「その価値、本当なんだろうな?」
「キーさん、うたぐり深い~。本当なら50万くらい欲しいのにい。」
「で?その交渉には請ける。で?」
「せっかちはモテないよお。」
「いいから言えよ。」
「あの事件で、わっちの兄「黒猫」がかんでる。そして、「銃」の密輸。それと関連して、今回のアリティアの出店。
社長はレイ・ローウェル。ローウェル家を名乗る以上、腕前は折り紙つき。
ただ会社としては「一般人、及び冒険初心者を対称とした」と言ってるから、それほど頑張った企業ではないかも。
ペーパーカンパニーになるかも?と思ったら子飼いが社長だし。どうかなあ?10万だと安い情報でしょお?」
「ああ。もう少し申請しておこう。さすがに50は出せんが。」
「さっすがキーさん。」
「じゃあな。」


ふう。一仕事終えると気分もいいにゃあ・・。
安宿の寝台に身を預け、ひと時の休みを。


----------コメント----------

今厳しく言われている守秘義務とかもそうですが
情報は大事ですよねぇ大きい影響力を持つものもありますから。

しっかし・・・ボロいなw
Fizz Delight (Hyperion) 2013年03月06日 13:56

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先日リムサから赴任したばかりのレイ、すでに知られてるのね・・・w
Marth Lowell (Durandal) 2013年03月06日 17:27

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>フィズさん、どうもんw
情報社会において、一番重要なのは「情報の鮮度」ですよんw
このエオルゼアにおいて、情報発信が時間がかかる中、情報屋はかなりの稼ぎを得るにいたりますw
「買った」情報を、誰が買ったのか?すらが、情報になっちゃいますから。このあたりがモモディ達との駆け引きになるんですねw
この次期の情報戦も、じつはかなり高度な戦略が必要なのですw
そういう意味で、ショコラはかなり上手に立ち回っていますw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月07日 00:36

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>マルスCEO!情報の鮮度はナメたらいけませんw
情報屋たちは常に新鮮な情報を待っています。
出し抜かれないために、あちこちと網を張り、有益な情報提供者と密なやりとりをし、できるだけ大きなターゲットを搾り出し、その有用な情報を漁ります。
そういう意味では、ショコラはかなり有用な情報屋でしょう。
そして、兄のクォは、その情報を元に色々と戦略を増やしていく。ある意味、最強タッグですけどねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月07日 00:43

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