491書き物。そのころ、この女史は・・。

森の都。
その一角にてオフィスを構え。
「ちょっと、ちょっと、ちょっとおおお!」
新しく契約をしたオフィスではある。が。
ワンルーム。
もっと言えば、オフィス用ではなく、居住用というべきか。
わたしって、実は不幸の子なの・・・?

寝台とデスクが同居する、あるいは学徒みたいな部屋に、「社長」という名目と、
ノルマという首輪まで付けられて、先日赴任したばかりの部屋を眺める。

「いやいや、これからよ。レイ・スコイアットロ。うん。わたしは選ばれたんだから!」自身で頬を叩き、叱咤する。
ローウェル家、社長の家名を頂戴するに至るにはかなりの能力を必要とされる。
そして、3人しかいない序列に並んだのだ。これ以上の栄誉はない、と言ってもいい。
だが・・。

デスクの上に山積みにされた書類(先日送られてきた)と、
これからを考えれば、デスクの横にある寝台がとてつもなく「ありがたい」
「エリス先輩、手伝いにきてくれないかしら・・?」
と、無茶な独り言。そのとき某先輩はウルダハにて書類に忙殺されている。

「はあ。何から片付けたものかしら・・。」赤毛を揺らし、とりあえずは書類と向き合う。
「えーなになに・・部屋の更新日と費用ですって・・・。自前・・・ですよね・・。コレ。」
うなだれながらサインと必要経費を確認。
「あー、一枚目から疲れるー!」
二枚目に目を通す。
「ん?広告用の宣伝費?いらない、ての!」とゴミ箱に投げ捨てる。
50枚ほど取捨選択とサイン、及び留意し、「あー疲れた。」と寝台に体を預け。
そういえば、お昼ご飯どうしよう?と。
軽い眠気よりも、空腹の方が先に立ち。
オフィスから出て、新しい空気を吸う。
その時、ドコからとも無く胃を刺激するような、そんな香りが。
「こ、これは!」
行かなくては。と、香りを頼りに行って見れば。
屋台に3人ほどの客がいて、そこからスパイスの利いた香りが漂う。
「おっちゃーん。わたしにも一皿くださーい!」
思わず叫んでしまった。
煮込まれた鶏肉とスパイスの利いたソースがライスと絶妙なハーモニー。ぱくっと一口。あ。
ふと横を見れば、ルガディンと、エレゼン、ヒューランの3人。奇妙な組み合わせだが・・。
これは!
名刺を取り出し(初めての名刺、というか社長なんて・・。)
あ、あの・・言葉に出すのがもどかしく。

「どうかしたかい?お嬢ちゃん?」とルガディンが。
「あ、は、はいっ!その!」
「その名刺とやらを見せていただいてもよろしいかなあ?」

{アリティア護衛サービス株式会社 代表取締役 レイ・ローウェル}
「ほう。どういうサービスなんだい?」
「え、えーとですね。冒険初心者や、一般の方のガイド、及び護衛ですう!」
「そうか、おもしろいなあ。おいらも似たようなことをしてるがなあ。」
「あ、そうなんですか!では、契約冒険者になられませんか?都合の合う時間だけで結構です。
報酬は出来高払いになりますが、ちゃんと保険もお付けいたしますし!」
「はは、ありがたい申し出、だなあ。でも今はこの二人のやんちゃ娘の面倒をみないとなあ。」
「誰がやんちゃやねん。」「エリでしょ。ミーはやんちゃじゃないもん。」
「そうでしたか。お食事中にスミマセンでした。」
「いやいや、教導をすべき身としては、あなたの行動に敬意をもって応えたかったのですがなあ。」
「っっっ!ご教授、でしたかっ!大変失礼を。重ね重ねお詫びいたします。」
「気にするなーって。」
「いえ、そんな。」
「とりあえず、ここの飯はうまいだろう?温かいうちに食べなあ。」
「はい。ありがとうございます。」

「あれ。わっちとしたことが・・・。先客多すぎ。」
褐色のミコッテがちょこんと座ると、大盛りを注文している。
「たいしょー、ココって有名すぎたりしないー?」
「失礼なやつだな、ショコラ。ツブれない程度には繁盛してるさ。」
「ならよし。」「偉そうだな、お前。」「まあねー。」

なんとなく、か。いや。機先を制されて、これを食べ終えたらまた仕事に戻るか。
レイは残り数杯の料理をじっくりと味わいながら。
「ごちそーさま!」
「あいよ、ねーちゃん。また来てくれよ!」
「うん、おいしかった!じゃ、ね。」

さあて。
「社長、か。マルス社長もこんな重圧から始めたんだよね、わたしもやらなきゃ!」


----------コメント----------

レイ・・・、(´;ω;`)ブワッ
エリスが物産で赤字出してるとこ無理やり子会社立てたらこんなことに・・・。

セネリオには給与の増額を脅されたし、エリスの次回給与削って、
セネリオとレイに増額するかぁ。(さすが暴君)

食べ物はチキンカレーなのかな?
Marth Lowell (Durandal) 2013年03月05日 19:12

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>マルスCEO,その通りチキンカレーですw
多分ウルダハって、こういうのが定番じゃないかなあと。
ウルラがウルダハにこっそり修行に行ってる時も好んで食べていましたwマユが作り方を覚えないと、というエピソードが過去にありますw
あたし的にはグリーンカレーが好きなので、ココナッツミルク入り、辛さは十分なカレーのイメージですがw

レイちゃんですが・・・受難ですねw
逆に赤字が出たから融資を受けるために新会社の設立、という運びにw
なので物産の赤字補填のためにサービスの方は少し気の毒なオフィスがw社員も0ですしw
当面は彼女が一人で営業と、実務をこなしていくことでしょう。
まあお給料面に関してはエリス嬢から巻き上げる、のはアリでしょうねーwさすが暴君w
セネリオ女史には何かふたつ名が欲しいかもw
「レディアイス(鉄面皮の女)」とかいかがでしょうかw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月06日 08:40

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これまた中二な二つ名ですねぇw
良いと思いますよw
得た経緯については作中で説明かな?
楽しみにしてます~w
Marth Lowell (Durandal) 2013年03月06日 17:33

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>マルスCEO,じつはw
80年代のバンドユニット、「Living in a box」からの引用w
その名も「Lady ice」
確かそうだったんだよね。ようつべさんには登録されてないけどw
まさに「氷の女」なセネリオ女史にうってつけかとw
ネーミングの経緯は追って書きまするwww
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年03月07日 01:09

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