461書き物。それからの後。10

くすくすくすくすくすくす。

長い黒髪を揺らし、白磁のような美貌を笑顔に変え。
フネラーレは笑いが収まらない。

必殺の矢を5本。
確かに「眼」で視たのだ。
それを。

あっさりと薙ぎ払われた。ありえない出来事、というべきか。
これは心してかからねばなるまい。さすがは「教授」いや、敬意を評し「暴君」と呼ぶべきか。

先ほどの自己紹介?の後。
とんでもない提案、というか。なんというか。
まず、鉱物関連ならアリティアなんたらをとか。

「はァ?」としか答えられなくて、ひどく落ち込みそうになった。
何のことだか判らない、ワケでもない。鏃やその他、確かにその名は聞いている。
それでもって、なんで今ここで?
いや、そんなコトよりも。
最初の挨拶代わりの狙撃を打ち落としたり、今の狙撃も打ち落とされた。
これは非常にマズイ。
もう場所は特定されてしまっている、と思って間違いない。
二射目はやはり必中でなければ。
スナイピングの定石。


二択。
逃げるか。
撃つか。

相手は「教授」クラス。歯が立つとかどうかではなく、歯を立てるしかない。
フ。
「アハハハハ!!」
高らかに笑う。
「いいネ。最高だヨ。」

木々を縫って、ミコッテの女社長の前に出る。
「初めましてかな?僕がフネラーレ。先の挨拶をさせてもらった者だヨ。」

「あらどうも。ご丁寧に。」
黒髪の社長は短めのローブの端をつまんで挨拶。

10歩ほどの距離。

速射。


折った腰をそのままに、いきなり。
赤い、そして仄暗い剣がその矢を叩き落し、燃えカスにしてしまう。
目にも留まらない抜刀。

「楽しいネ!」黒髪を翻し、矢をつがえながら。

「そう?あなた、実は踊らされているのを知っている?」
(まずはここから。)
「ア?」
一度動きが止まる。怒りによるものか、思考によるものか。

「ナニ言ってるンだか、わかンねえナ。殺ルかどうか?だロ?」

矢を射る。

赤黒い剣が薙ぎ払う。

「楽しいネ!ほんと!スゴイよ!僕の眼ですらこんな有様なんだかラ。」
「楽しく、はないですよ?そんなことより、取引。しませんか?」
ミコッテは剣を納める。

「あン?」
「取引。ですよ。こう見えても商売人ですからね。どう?」
「・・・(踊らされている・・確かにさっきこの女はそう言った。ハッタリだろうか?)じゃァ。
さっきの踊らされてる、ッテのを説明してもらおうか。上手にデキれば話は聞くヨ。」

(乗ってきた。)社長は心の中で喝采を。

(口八丁、手八丁とはよく言ったものだ、首尾よくこの黒髪の少女を納得させるに足る鍵を思いつく。
要は時間稼ぎなのだ。彼らを逃がすための。それさえできて、かつ、自分も逃げれば万々歳で。)
とりあえず言い募る。

だが、女社長は少しの誤算を。

「ショコラ!」
突然の少女の悲鳴めいた、うろたえた声。

「チ・・。なァ。おい。アンタ。次は絶対に仕留めル。チェックシックス(後ろにも気をつけろ)ダ。忘れるナ。」

淡い光に包まれ・・・・


「おい!キーファー!出て来イ!」
「あー、さっきから連絡してたじゃないですか。全然相手にされないからショコラに頼んだんですよ。」
「ルっせェ!ちゃんと伝心しやがれッ!」
「してましたよう・・。」
「まあイイ・・・。で。やっぱり「かませ犬」カ?」
「いえ、生贄のヤギ(スケープゴート)ですね。もう少し悲惨です。かませ犬よりは。」
「結局、どういう事なンだ?」
「詰まるところ、御家騒動なんですがね。この「家」にも声だしできるくらいの富豪なんですが。
跡取り息子の保護、とかいいながら抹殺なんですよね。しかもこの息子達、そう二人なんですよ。
しかもその二人目はリムサに居ましてね。情報によれば「弟」らしいんですけど。
そっちは普通に殺せ、だそうで・・・。ただ入れ替わりで兄になってたり、かなりややこしいんです。」
「今のは?」
「おそらく、「兄」かと。」
「どうしテ?」
「 たぶん、ですが「弟」がリムサに居るのは確認済みだからです。
たぶん、なんて言いましたが、間違いないでしょう。ショコラの情報ですし。
今回ベッキィの情報は集まらなかったので、たぶん、としか。」
「使えねえェ。全くもって使えねェ。じゃァアレか?あのいけ好かない社長に「踊らされてる」ッてのは、ホントか・・・。」
パールを投げそうに、いや、投げた。

「あー、もうアレだ。もう寝よう。」
エーテライトから程近い場所から「家」に向かう。


まずは睡眠。明け方からの仕事だったのだから。

そして。

愉快な踊りを提案してきた相手に「愉快な踊り」を提案させるべく。

「ふふ。」

「騙された支払いは必ず償わせる。」
これが、海賊の流儀だ。


----------コメント----------

飛来物をCIWSで撃ち落して・・・、違うか。

とりあえず、フネラーレ嬢にはお帰りいただけたけど、
あの様子だと個人的に遊びに来るかも知れないなぁ・・・。
まぁ、普段はセネリオも居るし、何とかなるかな?w
プロ相手に並みの護衛じゃ意味無いだろうしw
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月06日 17:32

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>マルスさんいらはーいw
フネラーレはそれなりに「しつこい」ですw
セネリオVSフネラーレかあ、それはそれで楽しそうw
あと、フネラーレは「仕事」でしか襲いにいきませぬ。個人的には、な。
でも仕事ならドコにでも張り込んで仕留める、GRG13みたいな子ですけど。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月07日 07:06

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