455書き物。それからの後。8

あははハ!
楽しいネ。まさかプロフェッサー(教授)クラスがあのメンバーに居ようとは。
キャンプ・ベントブランチから、ナインアイビーまでの東に至る道すがら。

黒髪の少女は、明け方前の黒衣森の東に抜ける場所で一人、正確には6人の中の一人を見つけてしまった。にやり、と獰猛な笑みを浮かべる。

教授。ほとんどの技能を修得し、蛮神クラスの敵などと互角以上の戦いをし、新規メンバーに教導する者たち。
あんな剣を持っているなど、それ以外にありえない。
(おい?フネラーレ?)
パールから伝心が届くが気にもならない。
「うふフ。」

こんな獲物、そうそう居ない。スタッブしてやろう。
それ以外のメンバーは逃げる算段をし始めたようだが、ハッキリ言えばもうどうでもいい。
それに見知った少女も混じっていたようだ。さすがに寝覚めも悪いかもしれない。
翌朝起きれば忘れているだろうが。

大きな古い弓、コフィンメイカーの弦の張りを確かめる。
左眼に集中する。暗がりなど関係が無い。
音を立てずに木々の間に身を潜めていく。
「次に見た時ガ終わりだネ。」
「ターゲット」はすでに済ませた。急所を5点。同時に射る事ができる。
フフフ・・・・。
黒い少女は、黒衣森の闇からひっそりと狙いを澄ます。



半日前。
カフェにて二人のミコッテが顔をつき合わせて相談をしていた。

「あの、じつは・・。」
「ええ。」
銀髪の少女、ルーは目の前の黒髪の女性にどうしたものかと意見を。
「あのお。正直、その。失礼かと思いますが、お手並みってどのくらいなんでしょうかにゃ?」

ひょんな事から一般人の保護、というか逃走を手伝って欲しいと、見るからに?冒険者の彼女にお願いを申し出たのだ。
後ろではそわそわとLSメンバーの金髪の少女。「え?ルー?その人は?」彼女の部屋には、今その「一般人」がいる。心配げだが。
ただ、目の前に居た、というだけでいきなりこのミコッテの女性を誘ったのではあるが・・・。実力は聞くまでもなさそうだが・・。ルーは自信はあった。

「ほほう。わたしにも出番、あるかな?」と、こちらのバタバタに巻き込むことを快諾されたのだが。
実力の程は知っておきたい。

そして。彼女がほとんど全ての技能を身につけた「教授」であると知るに至り、ルーはコレは勝った。と。こんな「切り札」そうそう無い。
だが。
とても申し訳なさそうに。
「その。わたしは確かに技能を身につけ、知識もある。が・・。」

「はぇっ!?」ミコッテの白魔道士、ルーは戦略、戦術に大幅な修正を加えることになる。

「ええ。わたしはアリティア産業株式会社の、その・・。」言いよどみ。
少し頬を赤らめ。
「その、代表を・・。つまりは社長をしてまして・・。鉱物関連に関しては、採掘、加工、輸出、など経営ばかりなのです。
ですが、危険の伴う現場ゆえ、それなりにはと。その過程で「教授」などと呼ばれるクラスに。」

「まるすさん・・・。」顎が落ちそうなルー。
「あ、いえ。たしかにそうなんですが、もちろんいっぱしの冒険者でもあります。
ですが、過大な期待は難しいかと・・。社員も呼べればいいのですが・・。
時間もないでしょうしね。エリスあたりだと、呼べば仕事ほったらかしで来るでしょうが。」
言い出しながら、段々申し訳ない、という顔になっていくマルス社長。

まてまてまてまて・・・。るー、おちつけ。る・しゅぺひと。
わたしはこのりんくしぇるのさんぼうでいままでしっぱいらしいしっぱいはしていない。

気持ちを落ち着ける。

ルー。落ち着け。そう。私はル・シュペヒト。参謀。必要なことは?
対象の安全。LSメンバー(マルスさん含め)の安全。時間。脱出経路。
現在位置。敵の勢力。依頼の完遂条件。 このくらいか。優先順位を付けていく。
まずは。戦力分析だったのだが・・。いや。これは。うん。使える。

グリュック、ごめん。死ネ。一枚目のカード。時間稼ぎ。まあ、本当に死ぬワケではない。
現在イレギュラーなこの社長は敵にも「戦力外」だ。彼女に蘇生を頼み、後詰を。

まずは囮だ。コレには本人とマリーをあてがう。本人がいなければ、そもそも囮にすらならない。
マリーは盾役として上達しているので、死ぬ気でカバーしてもらおう。

その後に追撃してくるものを自分とベルで追いかけ、場合によれば挟み撃ち、
そして後詰の二人が来ればほぼ確実に仕留めるか、
歯がたたなければ逃走経路に修正を加えながら全員で逃走。
時間さえ稼げばいいのだから、勝つ必要はない。

次いで、マルス女史についてだが、かの社長は実戦経験は最近でこそ無い、
みたいな話だが少なくとも、そこらのザコでは相手にならない強さだろう。
なので、二枚目のカードに使わせてもらう。強敵の足止め。

そして、時間だが、二日半。追撃が来るなら迅速な。
だということは恐らく、最初の一晩から、明け方、夕暮れまでにはケリが付いている。
それ以上時間をかければ、こちらが何とでもできるからだ。例えば移動術式。
ぶっちゃけ、今テレポをして飛んでもいいのだが、恐らく飛んだ先のエーテライトには待ち伏せがいる。
飛べる選択肢が少ないのはお互い様だろうが、そういう意味では少数で複数のエーテを張り込むより、
手勢を増やしピンポイントで待っているだろう。
やはり走るしかない。

そして、最後のカード。
切り札。
この、依頼をしてきた青年。
彼の素性。
実は見当がついている。そしてその情報源も間違いがない。親友の少女から先ほどパールで気をつけろ、と言われた。
コレを上手に使えば、状況をひっくり返せるはずだ。
が、ジョーカーは常に有利ではない。必ず「負け」を内包しているものだ。
使い方は・・。
「ふふ」



昏がりから。
「なァ。僕はフネラーレ、葬儀屋って呼ばれてンだけどサ。アンタ、何か呼ばれてなイ?」

「そうね、部下からは「暴君(カリギュラ)」って呼ばれています。」

「面白いネ。」

「そうですか。」


5人を逃がし、作戦通りならこのまま逃走だが、そうは行かないだろう。
目の前に落ちた、いや、落とした5本の矢。
これで彼女に完全に火がついたようだ。
「蛮神の剣」を振るい。
眉間、両目、心臓、腰、五ヶ所同時に飛来した闇の中からの矢を全て切り落とし。
マルスは安心する。これで足止めは成功、と。あとは自分が逃げるだけだ。
こんな暗殺者の相手など、まぐれでもない限り防ぎきるのは不可能だ。
いくら技能を極めた、としても、コレだけ局地戦闘に特化した者相手に立ち回るには限界が必ずくる。
「そうそう。鉱物関係の商いなら、我がアリティア産業株式会社をよろしくね。」
どんな返事が来るかな?
社長というのは「人」と話す「会社の窓口」だ。当然その応対や、相手が解る。





黒髪の少女は「はァ?」


(素直な子、かな。)


----------コメント----------

リムサ出身なのを考えてもエオルゼア外への輸出はありえますねw
あと、
「時間もないでしょうしね。"エルス"あたりだと」
はエリス ローウェルの誤字ですかね?
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月01日 10:18

----------------------------

>マルスさ・・・。も・・
う、ごふ・・。
誤字・・・です。。。ホシは・・あ・・っち・・に
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月01日 10:49

----------------------------

まゆりさん!、どうされた!?w
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月01日 10:57

----------------------------

>マルスさん・・・
誤字は・・・訂・正を・・。
後は・・あとは・・・。

がく。_/乙(,ン、)ノ
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月01日 11:10

----------------------------

まゆりさーん!
あなたが倒れたら楽しみにしてる読者はどうなるんですかーーー!
Marth Lowell (Durandal) 2013年02月01日 11:14

----------------------------

>
  (・ω)ノ  もっと・・光を・・・ 
_/」 )



ぱた。_/│・・・○ コロコロ
Mayuri Rossana (Hyperion) 2013年02月02日 06:59

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ