437書き物。それからの・・

海洋国家 リムサ・ロミンサ
この街に船で来たことは二度目だが、初めての光景には驚いたものだ。
そして。
「いやあ、マユ。海から来るとすごい景色だったけど、もう本当に声もなかったね。」
「でしょ?あたしも呆然と言うか、開いた口が塞がらなかったわよ。」と笑う。
「まだまだ、面白いというか、スゴイ景色もあるもんだね。」
「そうねイシュガルドのお城とか。」ニヤリ。
「今日のマユは何かと攻撃的だなあ。何かおれが悪いことしたかい?」
「ううん、たまには上から目線で。」
「なんだよそりゃ。 じゃあ、マリーのお土産だけど。この。」と、マユと二人だけのパールの嵌ったリングを見せて、
こんな感じで、おれとマリーだけのパールもあるんだ、と。
「うんうん。」「そのパールに付けれそうなアクセサリがいいんだと。これはさすがにマユに参考意見を聞かねば。だろ?」
「そうね、かわいいのがいいよね。じゃあ、あっちにバザーじゃなく、冒険者さんの露店とかあるし。
リテイナーさんのところは実用的過ぎて使えないから。こっちがいいよ。」と走り出す。

あれこれ会話や、バザーなど見ていたおかげで少し時間が経っていたみたい。

橋から公園広間へ。そしてそこで綺麗な夕焼けに出会う。
「わ・・。綺麗。」「そうだね・・。」少し見とれた後。
公園で露店をしている冒険者からアクセサリを買う。

「さて、第一目標クリア!」とテンションも高い少女。
「マユはほしくないの?」に  「欲しいです・・・。」とうつむく。
「はい。どうぞ。」「・・・・あ、あり・・がと・・。」
そこに。
「見せ付けてくれて、母さんもなんだかくすぐったいわね!」と横から。
「わ!?」「ええええ?母さん?」「さすがに暇をもてあましちゃってね。ぶらぶらしてたら、ね?」と二人を見る。
「あくしゅみー・・・。」と娘。
「とまあ、それは冗談でさ。ビスマルクでメシの用意ができたから、呼びに来たのよ。
先方さんも、急な呼び出しにも関わらず時間にあわせて来てくれたんだから。急いでね。」と、先に向かう。

「ネルケ達、かな?」ウルラの言葉に「ほへ?」とマユ。
もともと観光目的だったので、服装には問題ない・・・。先方がドレスとかではなければ。
その「ビスマルク」にドレスコードがあったら、それはそれで・・。まあ大丈夫だろう。冒険者が鎧着てても入れるだろうから。
「とりあえず、マユ。案内よろしく。」「あ、ああ。はい。」

遅れながら、というか、いきなりというかの登場だが。
「あー!こっちこっちにゃっ!」と手を振るのはオレンジ色の髪のミコッテ、シャン。
こざっぱりとした水色のワンピースで、とても似合っている。その横にはネルケ。
彼はブラウンのシャツにグレーのトラウザだ。わりとシックにまとめてあるのはシャンのセンスだろう。
そして、スウェシーナといえば、これまた普段と違いカジュアルなノースリーブの白いチュニックに、オレンジ色のパンツルック。
「やっほー。」と手を振っている。
翻って自分たちは・・お揃いのベージュのチュニックに、
ウルラは黒の短めのパンツスタイル、マユは同色のミニスカートにベレー帽。「まあ、だいじょうぶ?」とお互い。
ちなみにレティシアは、いつのまにか濃いブルーのインナーの上に水色のシャツ、黒のショートパンツだったりする。「どこのひと?」とは娘の談。

レストラン「ビスマルク」はリムサ・ロミンサにある調理師ギルド直轄の店で、
味には定評があるのはもちろんの事、テラスでの食事はその景色がエオルゼア随一、
と呼べるものである。そして、そろそろ満月がいい位置にやってくる。

テラスにある大きめのテーブルに6人が腰掛け、食事会。
出てくる料理の豪勢さに5人がビビリつつも、一人「食べなきゃソンよ?」と。

そういえばさ、あの時のシャンって・・言わないでにゃっ!それ言うならマユちゃんだって・・あ、それはダメ。
ネルケって、勢いあるよな・・そうですか・・?ウルラはありすぎ?・・いや、そうでも・・。
レティ、今日の食事会って、前もって予定してたの?ううん、なんかノリで。だろうとおもった・・。
でも、そっちの二人もリムサはほとんど知らないでしょ?一緒に散歩がてら、と思ってね。そっか、ありがと。
マユ、明日はみんなでピクニックといこうぜ!
え、母さん、急すぎ!いいじゃないか、マユ案内頼むよ。そうだにゃっ!マユちゃんよろしく!うん、よろしく。んー、じゃあ取っておき・・。
歓声が起こる。

食事も進み、最後のデザートになり女性陣は歓声の後の沈黙。

「なあウルラ。」「ん?」「女の人って甘いものには弱いというか。」「ああ、そうだな。おれは好きだけどな。」
チョコケーキをペロりと食べている。「ネルケは甘いもの苦手か?」
「きらいではないけど。これだけ食べた後には入らない・・・。」「まだまだだな。」「そうかなあ。」

満月が中天に差し掛かる前に、食後のお茶などを愉しみつつ。
「よーし、2次会にいくぞー。」と魔女。
「あー、やっぱりかー。」とは、相方のスウェシーナ。
「まあまあ、スゥ、家族揃って、てのも粋じゃないか。」
「いいけどね。シャン、ネルケ、大丈夫?」
「はいにゃ!行きたいですにゃっ!」と尻尾をフリフリ。
「ぼくも大丈夫だよ。」顔は疲れているが。
「おれも大丈夫だけど・・マユは?」と金髪の少年。
「もちろん平気!」とこの手の修羅場には慣れている少女。
「じゃあ決まりね、テーブルは取ってあるから。そんでもって宿はその酒場からすぐだからツブれても大丈夫よ。」
「ツブす気なのね・・。」あきらめたような鬼哭隊隊長。
「スゥったら。」満面の笑み。
「ま、行きましょう。」ウルラの声に。
「お会計、よろしくね。」魔女のニヤリ。
「え?」顔が固まる。
「冗談よ。済ませてあるから。さて、バデロンと一番面白い絡みができた人にはオマケを用意してあるから、皆がんばってね♪」
「・・・・・・・」
「はいにゃあ!」

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