422書き物。少女の剣3

「あ、ああああ!」
ミコッテの白魔道士、ルーは目の前の光景に2度驚いた。

まず。

白亜の尖塔の城。リムサ・ロミンサも同じく白い尖塔の建つ街ではあるが、荘厳さでは、やはり軍配はこちらだろう。
イシュガルド。
この城は、いまでは封鎖され、旅人はおろか、誰一人として中には入れてもらえないそうだ。なにせ帝国との最前線でもある。
すでにゼーメル要塞は陥落し、篭城の一手しかない有様だ。
そして篭城するからには、援軍が来なければただのジリ貧で終わる。
それでも篭城するしかないジレンマ。
城内は、見た目ほど綺麗ではなさそうだ。

そして。こっちの方が気にかかる。
先の失言で、メンバーの少女を傷つけてしまった。
今更ながらに、気落ちしてしまう。
「気にしないで、ルー。」と言われたものの・・。
その後の行動に驚いた。
件の少女は、兄からのプレゼントという真っ赤なカチューシャを何よりも大事に、
そして勇気をもらうためか、何かとカチューシャに触れていた。
そのカチューシャを海に投げ込んだのだ。

「マリー?」

「ん?ルー?」
「その・・。カチューシャ・・・。」
「ああ、コレね。って投げたからもう無いか。あはは」
と今までその居場所であった髪をなでる。
「いいの?」
「どうして?」
「えーと、その。大事にしてたんだにゃ?」
「うん、まあね。でも。踏ん切りついたから。今までちょっとお兄ちゃんに頼りすぎだったんだ。
でも、私は自分をしっかり持たないとダメなんだなって。いい機会だったわ。」
「そうかにゃ・・。頑張りすぎないようににゃ。」
「うん、ありがと、ルー。」

「ところで。」黒髪の青年。
「はい。」「にゃ。」
「どうする?もう夕暮れになったけど・・・。」
「そうだなあ、もう一泊するか!」がはは
「俺はかまわないけどな。ルーとマリーは?」

あたしは・・失点があるから、名誉挽回、といきたいにゃ・・。

「私はオッケーですよ。剣の修行にもなりますし。」
「あ、あたしも!ヤル気まんまんですにゃ!」
「了解。じゃあ、さっきの獣相手でも大丈夫かな?」
「おう。」
「任せて。」
「はいにゃあ。」
「暗くなるまで狩り続行で、その後食事休憩かな。」
「はーい!」


「せいれいさんせいれいさん、ちょっと寄り道してくださいにゃあ。」
「せいれいさん、ちょっと助けてくださいな。」

言の葉を紡ぎ、加護を得る。
この呪文という言霊は、基本的に何でもいいのだ。想いを言の葉に載せて、届ける。
応えてくれる精霊達と心を通わせ、その本質さえ解れば。

小石が集まり、盾となり、風の一凪ぎが鎧となる。

ありがとにゃ。

既に戦闘は始まっている。
盾をさばく金髪の剣士に注意しながら、槍の使い手の青年、拳で戦うルガディン。
それぞれに癒しの術を施す。
「せいれいさん、温めて。」

数匹の獣を危なげなく(中にはピンチもあったけどにゃ)狩り、夕食の段取りを始める。

「今夜はなにかにゃー?」
「ん、羊の煮込みだぜ。」「え?」「あ、あの?」「おう、あの、だ。」
「んにゃああ!あたしは食べないにゃー!」
「あ、案外いける・・。」「マリーのうらぎりものおお!」
「まあまあ、そう言わず。食べてあげないと浮かばれないよ?」と。ひょい。
「むぐ。」
(おいしい・・・)
「お、おいしくないにゃあ。」
「またまた、無理しちゃって。尻尾がすごい勢いで振られてるよ?」
「にゃ!」
「ね?」
マリー・・・「うん、これも供養にゃ。」がつがつ。
「ルーはいつも面白いね。」青年がにこやかに。
「にゅう・・・。」耳と尻尾もうなだれる。
「さて、明日は昼くらいに帰ろうか。予定が長引いたからね。
でもまあいい感じに狩りができたし、連携もスムーズだったから、これが一番の成果かな。
じゃあ、また見張りは先の通りでよろしく。」
「はあい。」


最初の見張り番。
透けるような夜気と、散りばめたような星たち。
この夜空を眺めていると、吸い込まれそうになる。
月の位置を確認して、もう一度周りを見渡す。特に何もない。
「んじゃ、マリーと交代してもらうにゃ。」
「マリー、交代の時間にゃ。起きて。」

「ん、ん。おはよ、ルー。そしておやすみ。」
「うん、おやすみにゃ。」

ゆっくりと意識が落ちていく。
明日もいい一日でありますように。ノフィカ様。
言葉に出さずに祈りを唱えて、眠りに着く・・・・。


----------コメント----------

カチューシャを投げたじゃと~?w
進歩したんじゃな~w
せっかくじゃから一皮どころか10皮ぐらい?けてほしいんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年12月04日 13:15

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3次創作その3
ルー「せいれいさん、ちょっと助けてくださいにゃ」
ルー「ぎゃー呪文間違えたら岩に閉じ込められたにゃー」
一同「・・・」
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年12月04日 21:48

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>王様、ひゃほーw
確かに一皮むけたわねーw
10枚は無理じゃね?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年12月05日 02:57

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>三枝師匠、まいどw
そのオチは、意外とつかえそうかもw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年12月05日 02:58

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紅月下でカチューシャゲットしちゃえ!!
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年12月09日 18:28

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>三枝師匠!いまからは㍉ですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年12月10日 03:42

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