414書き物。悪運。

頭が痛い。

どうにも痛飲したようだ。

寝台から起き上がり、まず下着を探しに行く。
黒髪の少女は、白磁のような顔をさらに白くさせながら、フラフラと頭痛に悩まされながら、タンスまで行く。

一軒家。

このグリダニアにある特区の家は、彼女に与えられた褒賞であると共に、
「グリダニア」との接触点を最小限に抑えるための、カゴでもある。

彼女が二重スパイであるがゆえの。

「あー、いてて。ショコラには謝らないと、ん?礼か?」独り言。
彼女はリムサの海賊船の生まれだ。
少しその訛りがここ、グリダニアでは奇異に思われている。
しかし、独り言としては普通に海賊訛りだ。

たしか、夕べはあの茶色いミコッテ、ショコラと飲んでいたのだが、
途中で意識が混濁してきて、気が付いたら寝台に寝かされていた。
乱暴されるはずも無い状況、大体この家に入れるのは、自分とマネジャーの銀髪の青年だけなのだ。
そもそも、この家が地図に無い場所にある時点で、青年キーファーくらいしか。
が、彼は夕べは全く接触していない。
と、いうことは。
ショコラ。
彼女しかいない。カギは二人しか持っていないが、
ピッキング(錠開け)を成功させ、寝台に連れて行った、ということか。
「やるな・・。」
頭痛に悩みながら、下着を身につけ、水を飲み、もう一度寝台で寝ころがる。

そこに。

「ああ、キーファーだ。たぶん、また仕事が来そうだ。数日、は休暇が取れるハズだが、その後にな。」
冴えない上司。
このパールからの伝心には適当に相槌を打っておく。

ただ。
「悪運?」

ヘンなキーワード。   うーむ・・。

とにかく頭が痛い。いったん寝る。




夜も差し迫った中、ようやく頭痛も治まり、寝台から起きる。

ふう。

「悪運、か。なんだろ?」

パールでキーファーを呼び出す。
「なア、さっきの悪運ってなンだ?」
「ああ。フリーランスの情報屋だ。「悪運(バッドラック)ベッキィ」本名は・・。
ショコラの情報だと、ベリキート・ラピスラズリ、と言うらしい。エレゼンの女性だよ。」
「で?ドうしろと?」
「簡単にいえば篭絡だ。仲間にいれちまえ。って話だ。ただ、ショコラとは少し因縁があるみたいでね。」
「お前ラ、そのための情報屋だろうガ。」
黒髪の少女は憤懣やるかたない。
「いや、申し訳ない。この悪運ベッキィは、俺達と違って、格闘技術がすごいんだよ。
だもんで、ネゴシエーションに君が選ばれた。というわけだ。」
「ショコラが居て、まだ要るのカ?」
「残念ながら。彼女一人で情報収集してるわけじゃないし、イレギュラーメンバーも君だけじゃない。フネラーレ。」
「それでスカウトか。」
「このベッキィは、他の街、例えばイシュガルドあたりなんかもツテがあるらしい。
腕前があるからね。ただ、なにかしらやらかしてしまうところは、ショコラと同じなんだが・・。」
「いらねエンじゃねの?」
「その代わり、デカイ情報を持って帰る、とその筋じゃ有名でね。今はウルダハのモモディもお得意様だと。」
「まあ、そんなノ、どうやって?」
「お友達になって・・・。」
「お前、バカ?」
「いや、人なつっこい性格みたいだし・・。」
「ソレを僕に要求すル?」
「・・・。」
「あとでショコラにパール渡しとけヨ。ショコラに聞く。」
「はい・・。」




「はあ。めんどくせえ。」
もう一度寝台に寝転がって、ネックレスのパールを触る。
「カルヴァラン・・・。」
黒髪の少女は無理やり寝ることにした。
「おやすみ・・・。」

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