410書き物。Wild boys

「楽しかったね。」
金髪の少年、ウルラ。
寝台の横には妻の少女、マユ。

「うん。でも・・。」
「でも?」
ブルーグレイの髪の少女は複雑な表情で。
「まず、第一に。」
「第一に?」
「あなた、今日の婚儀知ってたでしょ?」
と唸る。
「いや、それはさすがに聞いて無かったよ。おれらをビックリさせるのも一応の目的だったみたいだし。」
「ほんとー?」にらみ付ける。
「さすがに、おれら以外の全員は知ってたみたいだけどね。ただまあ、なんとなくそうじゃないかな?くらいには。」
と笑顔。
「う。言ってくれればいいのに・・。」
にらむ視線をさらに強める。
「それこそ言ってしまったら彼らの思惑からハズれちゃうから。ソコは黙っておこうと。」ニコッと笑う。
「むー。」少女は、この夫のカンの鋭さと、裏技にあらためて驚く。
こんな笑顔をされたら、文句の言いようが無い。
「それじゃ、寝ようか。おやすみ。」
「うん、おやすみ。」

パーティも終わり、宿で一泊する二人。


だが。

おれも、なんだかんだで、娶るところまで来たんだな。

思索にふける少年。

アラミゴから脱出するときまでの少年時代は、どちらかと言えばヤンチャばっかりしていた。
だが、時勢が時勢だけに、いい加減にしろと父からは殴られてばかりいた。
そして、アラミゴから脱出してウルダハに向かう途中、あまりにも大きな犠牲者たちが出た。
必死で妹をかばいながら先行しているキャンプに向かった。
途中で一緒に遊んでいた友達連中が、魔物の餌食になっていく中、なんとかキャンプにたどり着き、泣けなかった。
もうそんな次元ではなく、泣くことが彼らへの追悼にはならない。

そう思った。妹を守る。そうして彼らを見殺しにした。

強く、そう。強くならなければ。

一振りの剣を譲ってもらい、キャンプの外に出ては素振りを繰り返し。
そして、何度か死に掛けながらもあの魔物達の目をかいくぐる手段も覚えた。
ウルダハについてからは、剣術ギルドに加入し、呪術もそれなりに身につけた。

それからは、度々エーテライトを使い、「野良」と呼ばれるPTに参加して、腕を磨いてきた。
今ではキャンプの手前に居る魔物など、よほどの数じゃなければ相手にならないくらいには。

妹にも「お兄ちゃん、わたしも剣おしえて。」
そう言われて今まで隠していた剣術がバレていたのだな、と思いながら。
「きびしいぞ?」と言いながら仕込んできた。それなりにスジはいいが・・。

ふと横を見る。ブルーグレイの髪の少女は、すぅすぅ、と寝息を。
「そういや、君は死にかけてまでキャンプまで来たんだよね。すごいなあ。」
頭をかるくなでる。
「さすがの母さんの血統なのかな。おれたちにもそういう子ができればいいね。」
うつ伏せで眠る妻の少女に優しく呼びかける。

もう一度思索にふける・・。


そうして、いつのまにか眠りについていた。


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主人公(マユそうよね?w)の影がドンドン薄くなっている気がw
Jonathan Jones (Masamune) 2012年11月14日 23:09

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>ジョジョさん、ソレは言わないで。w
一応、主人公としては影が薄いけど、その分幸せはガッツリとw
中盤から後半の主人公で言えば、マリー、フネラーレあたりが活躍しそう。あたし的には、フネラーレがイチオシで書いてますけどw
マリーのまったり感も捨てがたいw
あ、ちなみに男性のキャラが主人公と言うのはたぶん、ウルラくらい?wたぶん、だけどw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年11月15日 00:48

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