401書き物。日常への帰還。

「ううむ。」
とある一軒家。

その寝室で、あられもない格好で寝台に寝転がり、ケーキをつつく黒髪の少女。
枕元にはティーセットが用意され、すこしこぼしたのか、シーツに染みが出来ている。
そして、枕を退けその場所を占拠しているのは大き目の皿に乗ったケーキだった。

「ううむ。」
凜とした声、白磁のように白い肢体、真っ黒な長い髪は、どこか人形めいてさえいる。
加えて、ちいさなおとがいに、パッチリとした夜の色の瞳。
このままどこかで座っていれば、本当に人形と勘違いされそうだ。

が。

「やっぱ、僕はコッチだな。このクリームは捨てがたい。アイツに買いに行かせよう。」

言葉使いだけは、歳相応の少女とは思えないほど悪いのであった。

ごろん、と仰向けになる。長い黒髪が寝台に広がる。
「そろそろ、か。」
先日、帰還した作戦でのおとがめは一切なかった。逆に、このケーキとクッキーの詰め合わせをお礼に、ともらったほどだ。

作戦は失敗。しかし、他のクルー達を自爆の巻き添えから救った、という事でもらったものだ。
「んー、このチョコもいいなあ・・。」
もう一度ぐるん、とうつ伏せになる。
そろそろやって来るであろう、マネジャーの銀髪の冴えない男に、お使いに行かせるため、あえての素っ裸。

ヤツの眼福にペイの上乗せ要求をしてきたが、今回はこのスイーツを買いに走らせよう。
形のいいお尻を見せれば、それでOKなのだ。

寝台の上で、足を交互にふんふん、とタイミングよく上げ下げしながら、ノックを待つ。あの男は時間厳守だ。


ゴンゴン・こん。

仕事の符丁のノックに「どうゾ。」
入って来た男は「うっ!」と一声発したあと、「仕事です。」と言ってきた。
「見タよネ?」「はい・・。」「じゃあ、このケーキ買ってきテ。」
「それは・・・。いいんですけど。今ですか?」

目の前の足をパタパタと振っているうつ伏せの美少女。もちろん全裸。
これは確実に記憶にいれておかないと・・・。

「仕事からダロ?」
「ああ、そうですね。どうにも不埒なヤツが出てきまして。
帰ってきていきなりだったので、今日に持ち越しましたが、案件としては犯罪者の殺害です。」
「それこそ鬼哭隊に持っテ行けヨ。」
「それが・・。」と口ごもる。
「どうしタ?」
「神勇隊のメンバーのようで。」
「はァ?」
「その、どうしても内密に始末したい、ということです。」
「誰だヨ?っていうか、ナニしてんだ?お前ラ。」
「すみません。どうにも内偵調査が進まなくて。」
「ショコラから始末した方がいいンじゃないか?」
「まあ・・。彼女の内偵あっての今回の特定だったので、その件はゆるしてください。」
「で、犯行内容は?」
「連続婦女暴行です。同意があったとは思えない被害に、鬼哭隊がそれこそ必死に探していました。
ですが、こちらの方が一足先に犯行した者を特定できました。この男です。」
「そんくらイ、お前ラで始末しろよ。」
「いえ、それが・・。隊長の親戚筋にあたる男でして、その立場もあって犯行を繰り返したようです。」
「いつカラ?」
「詳しくは・・。ですが、そういった案件があったのは半年以上前から、だと思われます。
似た様な事件はそれこそ鬼哭隊が潰してきたので、今回の案件はかなりデリケートな一件になります。
カヌ・エ・センナ様も戻ってきて、グランドカンパニー設立となった後の組織的な改革も含め、
我々神勇隊の立場も鬼哭隊に発言力で劣るような案件があってはダメなんです。」


「そウ。」
どうでもいいけど。

「でも、まァ、女の敵だネ。ぶっ殺しテやるよ。」
「はい。」
「ふうん。あ。そうダ。僕のお尻見ただロ?このケーキは仕事終わりにはあるようにネ。」しっかりと確認する。

「はい・・。」
うなだれて出て行く銀髪の青年。
「よし、女の敵の討伐、か。燃えるネ。」ニヤリ。

似顔絵と、おおよその位置を頭に入れると、準備を始める。


----------コメント----------

犯行時の詳しい聞取りとかないんでしょうか?。
ちなみに野郎は恥じらいのない全裸は引きますぜw
Bob Dalus (Hyperion) 2012年11月03日 19:37

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>ボビーおひさw
聞き取りはショコラがやってますw
ちなみに、「ペイアップ」の言いがかりのために見せてますゆえw
どうせ払うなら、しっかり見ておこう、という関係ですw
エロ本みたいな感じ?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年11月04日 01:35

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