396書き物。とある日常からの・・・急変。

「海賊船、アスタリシア号を沈めに行きます。そのメンバーとして、フネラーレ。君も選ばれました。」

え?

どういうこと?

話は続く。

「狙撃担当として働いてもらいます。隊にもしも反意があれば処分もやむなし、となります。」

え?

銀髪の青年、キーファーはいつもの通りの静かな口調で告げてくる。

「ああ、それと。失礼。」

青年は近寄ってくると、あっけにとられる黒髪の少女の銀鎖のネックレスの先についているパールを引きちぎった。

「な!」裸身を覆うタオルがほどけ
可憐な人形のような顔を怒りの形相にゆがめた少女がつかみかかる。

「すみません。さすがにコレばっかりは。」と青年。
「おまエ、コロス。絶対に、ダ。」
「かまいませんよ。ただ、俺を殺してもまたすぐに誰かが来るでしょう。
もしくは、その誰かはフネラーレ。君と同じ「イレギュラーメンバー」です。」

だったら!

「なぜソイツをプランに入れナかった?なぜ僕だ?」
「君が、あの船のクルーだったからです。
より効率よく船を撃破するために、元クルーの君が選ばれました。そういうことです。」
少女は荒い息しかだせない。
「パールは作戦終了後にお返しします。それでは後日。」

怒った顔もかわいいな、と、全裸プラスで、ペイの上乗せも気にならない。





「キーさん、えぐいねー、フネラーレ超激怒じゃないのー?」
「そうか?」

全身茶色のミコッテの情報屋、ショコラ。
「まあ、えぐいプランは何度もこなしてきたさ。一番えぐいプランは・・・。」
「ほう?」
「フネラーレの最初のプランだったな。」
「へえ?」
「俺の妻の殺害だ。」
「え?まじ?」
「ああ。幼馴染だった娘を妻にした。が・・。どういうパイプだかわからんが、帝国とつながっていたらしい。
まあ、スパイになっていた。俺もこんな商売だからな。都合がよかったのかもしれない。
俺は本気で惚れていたし、確かにもらしちゃいけない話も少しは出た。
が、その事が発覚してからは、ウソの情報を交えて、なんとか彼女の罪を減らそうとした。だが、ダメだったよ。」
「そう・・。」
「ああ、そしてフネラーレに仕事、最初の仕事、になったわけだ。」
「怒らなかったの?」
「気が狂いそうだった。だが・・。」
「だが?」
「彼女は、夕食の支度中に、ごく細い矢で頭を横から射抜かれたよ。
傷が残らないように、ってな。即死だった。死に顔も穏やかなものだった。今から晩餐だ、といわんばかりのな。」
「キーさん、意外と修羅場だねー。」
「まあ、その恨みつらみを、彼女に言うワケにもいかない。
むしろ苦しまないよう、綺麗なままで逝かせてくれて感謝している。
他のヤツだと見るに耐えない姿になったかもしれんしな。」
「キーさん・・・・今夜は一緒に寝てあげますよー。」
「2ヶ月分、か。」
「もっちろんですー。」
にっこり顔のミコッテ。
「はぁ・・。たまにはソレもいいだろうが・・・カネが無えっての。」
がっくりとなる銀髪の青年。
「またハダカ見たんですかー?」
「ああ、しっかりとな。しかも普段は無表情なのにお怒り顔つきだ。コレでしばらくはいける。」
「変態。」
「お、オマエなあ!!」
「でもまあ、一策あるんでしょー?」
「なんでそう思う?」
「キーさん、人がいいから。」
「そっか。そうだといいな。」    フネラーレ・・。この策に気づいてくれよ。

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