395書き物。とある日常。

グリダニア。
この、森の街は静謐で、ゆるやかな時間が流れている。

その中でも二つの「隊」

鬼哭隊。街の防衛、治安維持のための隊。最近は隊長が代変わりして、治安維持に一層力を入れている、とのことだ。
清廉潔白な彼女は、いわゆる汚れ仕事など一切許さない。
槍術士ギルドも受け持つ彼女は、スウェシーナ。

翻って、もうひとつの、神勇隊。
こちらは攻撃的な、弓術士がメインの隊で、森の防衛や他国に対する攻撃すら視野に入れた部隊。
そして、その部隊であってもあからさまに攻撃を許されているチームに一人、イレギュラーメンバーがいる。
かつて、リムサ・ロミンサとアラミゴ、ウルダハの3国連合をすら退けた部隊。
この中にあって、たったの一人だけの部隊。


「あー・・・。」
今日はヒマだ。どうしよう?

長い黒髪の少女の一日はとても遅い。
まず、起床が昼前だ。場合によっては昼を過ぎる。
そして。
ぽかーん、と半時ほども寝台の上で過ごす。
上半身をあげて、ぺたん、と座った状態のまま。

長い黒髪が周りに散らされて、黒い泉が溢れたように寝台に落ちるなか、目をこする。
少女の黒髪は、少し不自然ともいえる。
前髪がキッチリと切られているのに、斜めに切りそろえられ、左眼は隠すようになっている。
眼をこすりながら、大きく伸びをする。
白い、白磁のような肢体は、線の細さもあいまって人形のように見える。
「うーン。」
独特のイントネーションはリムサ訛りか。

とりあえず、顔を洗おう。そこからだ。

顔を洗い、水浴びを済ませると、体を拭きながら今日のプランを考える。

まず・・・。

肌身離さずネックレスにつけているパールに伝心する。

「おはヨー、カルヴァラン!」最愛の人。今は航海中で逢うことはかなわない。
「ああ、おはよう。リッラ。しかし、いつも遅いな。どれだけ寝ているんだ?」

下着を身につけるのももどかしく、パールの伝心に熱心になる。
彼との伝心ができるのは、ほんのわずかだからだ。
私掠船、アスタリシア号の副長。彼は多忙を極め、めったにパールで伝心できない。
すなわち、今日は「いい日」なのだ。
気分もよくなる。

「今、何してるの?」
「ああ、あまりにマズイ昼飯に、厨房の責任者を怒鳴りつけた後だよ。」
「確かに、たまーに、恐ろしくマズイのでてくるよね、あの船。」
「まったくだ。今回寄港する町でいい物を仕入させよう。」
「ふうん。任務って後どれくらい?」
「そうだな・・。とりあえず、商船一隻、ウルダハ行きのヤツは終わった。
後は、グリダニア向きのヤツを探し出して、か。コレが長い航路の理由なんだが。」
「そう。実は・・。」
「どうした?」
「イヤな噂を仕入れて。」
「というと?」
「その、海賊船を罠にハメるって。」
「この船、か。」アスタリシア。
「それが本当なら、十分に気をつけて。カルヴァラン。あなたが居ないと・・。僕は気がおかしくなる・・。」
「任せておけ。」
「うん。」
「じゃあ、そろそろ仕事だ。」
「わかった。」

伝心が切れる。


ごんごん。

ん?

「なニ?」
「あ、その、フネラーレ?」
「だかラ、なニ?」
ドアをノックするおそらく棒のようなもの。
「いえ、その、お仕事なんですが・・。」
ドアの向うで恐縮しながら杖かなにかでドアを叩いているのだろう、銀髪の青年。
「タイミング悪いナ、お前。」
「ええええ!!!」
せっかくの会話の後に・・

「まあ、いいヤ。入れヨ。」

ガチャ。

やっぱりか・・。青年はうなだれる事はせず、しっかりと目に焼き付ける。

部屋の中に居たのは黒髪の美少女。その人形めいた姿は何時見ても素晴らしい。
そして。

少女はというと、水浴びの後らしく、全裸だった。後ろ姿だが、十分に眼福に値する。
もしかすれば、こっちの方がいいかもしれない。とか考えながら。

「デ?どういう了見ダ?」
「ええと。」
「今日はオフのハズだろウ?」
「それが・・。ひとつ案件がでてきまして・・。」
形のいいお尻を見ながら、忘れまいと記憶にとどめる、銀髪の青年。

「ペイ、さらに上乗せナ。お前、いますごく僕のお尻を見てルだろ?」
「そ、そ!そんなコトまで判るんですかああ!?」
青年に。
「ほらナ。」
振り向かずに言われた少女の台詞に、引っ掛けられた事がわかる。
「わかりました・・・しっかり拝見しましたので、ペイ、上乗せいたします。」
「よろしク。」

タオルで体を覆う少女を名残惜しそうに見ながら青年は・・。

「海賊船、アスタリシア号を沈めに行きます。そのメンバーとして、フネラーレ。
君も選ばれました。後日、日程を話します。おそらく連中は2週間先には近海にやってくるでしょう。
囮の商船と、軍船の2隻で対応します。その内の軍船のメンバーとして、狙撃担当として働いてもらいます。
拒否はできません。隊にもしも反意があれば、処分もやむなし、となります。」

なんてことだ・・・・。
パールをにぎりしめる。


----------コメント----------

まさかの急展開じゃよ~w
任務をとるか愛をとるか・・・どっちじゃろな~?w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年10月30日 13:29

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ついにこの時が来てしまったか・・・。
Jonathan Jones (Masamune) 2012年10月31日 00:22

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>しゃくなげさん、まいど。
さて、どうなりますやらw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月31日 06:25

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>ジョジョさん、いらはいw
そうですね、あるべくして起こった作戦ですね。
どうなりますやら。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月31日 06:26

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