385書き物。いろいろな事情の6!

「おいおい、勘弁してくれよ・・・。」
銀髪の青年、キーファーはパールから全く反応が無くなり、ため息をつく。

「いいじゃないですか?よくある事ですよ。」

かたわらのミコッテの少女、ショコラが声をかけてくる。

褐色の肌、茶色い髪なのに、フュ・グリューン(緑)などと名づけられた少女は飄々と言ってくる。
「オマエな・・。」
心底ウンザリしながら、事の詳細を思い出す。

各種、暗殺に狙撃と、黒髪の少女を確かに超過労働させたのは、まあ仕方ない。
逃げられたらモトもコも無いのだから。
だが、それに費やした自分の超超超超過労働には、一体どのくらいのペイ(報酬)があるのだろう・・。
すでに、少女の裸身を見る、というか、見さされて(恩恵にはあやかっているが)前借りしてるというのに・・・・。

キーファーは頭をかきむしるようにして、かがみこんだ。
まず眠い。
すでに、徹夜3日目に突入し、さらに4日めが確定した今、傍らの情報屋の部下、
ショコラに当たるしかないのだが、この少女はどこか飄々と受け流す。

「いっそ、寝ないで何日持つか試してみましょうよ。おもしろいかもしれませんよ?」
にこにこ。

「オマエがやれ。」
キンキンと頭の奥底で痛みがうずく。
せめて仮眠の一つ、というか、丸一日寝たいところだが。

やって来た案件はさらにややこしい事になっていた。

園芸師ギルドに端を発した今回の案件は、恐ろしいことにグリダニアの政権内部に黒幕がいるらしい。
もちろん、安易にスナイプ(狙撃)するわけにもいかず、さらにかなりの高官らしい。
こんなユカイな情報をするり、と持ち込んできたショコラの顔を見ると、正直、
キャンプで射殺された二人のララフェルの事件の後始末なぞ、はっきり言って冗談レベルだ。

そして、おまけに。
「スタッブ(暗殺)しろ。」と。
上司の顔が恨めしい。
事件のもみ消しと、死体の始末(表向きは蘇生させるためにウルダハに連れて行く)など、
後は目撃者に多少の金銭で見なかった事にしてくれと。
その後にコレだ。
部下が死体を運びだし、ショコラがこの情報を出したときは、正直倒れそうになった。
「まだやんのかよ・・・。」
葬儀屋こと、フネラーレはとっくに帰り、先の伝心でも突然きれた。

キーファーは、視界が黒く暗転する気がした。

「だーいじょうぶですよ。」こちらも徹夜しているはずだが、元気そのものだ。
銀髪の青年は、この少女を見やり怨嗟の声をあげる。
「せめて・・・。明日にしろよ・・・。こんな情報・・・。お前、この仕事が済んだら、寝台に連れ込むからな!」

「別料金になりますけど?」
さらっと言う。

「いくらだ?」
「2ヶ月分はいただかないと。」

「無理・・・。」
うなだれる。

「で、葬儀屋さんはどうしたんでしょうかね?」
「ああ、彼女はおそらく睡眠を、絶賛お楽しみだろう。この時の彼女を起こすのは、正直、死を覚悟で行かねば。」
「またまたー!裸が見られて嬉しいくせにー。」
「お前、一度行ってみろ。今回起こしに行ったとき、俺の後ろの壁に矢で俺の形のアートができたんだぞ?しかも、撃った本人が覚えてないときた。」

へーぇ

「さらにだ。今回処分した連中のほとんどが眉間に一撃。ひどいのになると顔中に矢が突き刺さって、誰だかわからねえ。
そんな時、寝ぼけ眼で「眉間に矢が欲しい?」って聞かれてみろ。誰だってイヤになるだろ!」
「そんなコトになってるんですねー。ぜひ試してみてください。」
「お前が行け。」
「無理ですよー。だって、彼女と連絡できるの、キーさんだけじゃないですかあ。」
ショコラの言い分はもっともだ。彼女を同伴で行くことも許されていない。

「はぁ・・。」
心労と疲労がたまる中、とりあえずの後始末は済み、グリダニアに帰る。
こんな静かな街だというのに、物騒きわまりない件に携わる自身が恨めしい。
「ショコラ、もうすこし内偵を進めてくれ。もしコレが政争のガセなら、とんでもないことになるからな。」
「はーい。りょうかい。半日あれば多分。」
茶色の少女は駆けていく。どこにあんな元気があるのだろう。

さて、少しは休憩できそうだが・・・。

「ヲい!こら!」

今頃になってパールから、怒り心頭に近い感情の伝心がくる。
「フネラーレ!」
「僕の最高の気分をブチ壊して、さらに寝るタイミングまでぶっ壊してくれたノはどういうつもりダ?」
「もう少し、時間をください。すみませんでした。部下があと少し時間をくれと・・。」
「だったら、あの時間になんでパール使うンだヨ?お前、次見たラ死なない程度に撃ってやる。」
「すみません・・・。ほんと、すみません・・・本当に急だったんです!」
あんな「人形」死なないように場所を選んで頭に矢を突き刺された状態なんてのは、真っ平ごめんだ。それならいっそ殺して欲しい。

「ふン。」と伝心が終わる。


はぁ・・。少し寝よう・・・。
銀髪の青年はベンチをさがす。


----------コメント----------

キーファーさん、、、、がんばれーw
Jonathan Jones (Masamune) 2012年10月23日 00:29

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>ジョジョさん、いらはいw
中間管理職のツラさですよねw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月23日 02:23

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