364書き物。Suburbia(ここは郊外・・・。)

「なァ。ヲイ?」

「はい・・。」

「なんでコッチ見ねェんだよ?」

「見れば、またペイ(給料)上乗せって言ってくるからです。」


とある一軒家。

二人の男女は、奇妙な関係でつながっていて。

グリダニアの、特区。
普段ならありえない地図の場所にその家はある。

銀髪の青年、キーファーは冴えないながらも、任務というか、仕事というか。こなしている。

任務というのは・・・。

「ヲイ、コッチ向けよ!コラ。」

この乱暴な言葉の少女、フネラーレの相手だ。

先の任務の後、この少女は十分な休息を取った・・ハズだ。あの量のケーキを食べたのだから。
しかも、フルーツはこの仕事の後だという。
バスケットに入った量は尋常じゃない。

しかも。

この少女の悪癖として、自分と会うときは常に下着だ。
最初はとまどったが・・。
「下着みたナ?給料アップ。」などと言い出す。
つい前回など、全裸まで披露してくれた。見たが、見てないと言い返したが、ムリだった・・。

「はぁ・・・。」見た目は誰もが振り返るくらいの少女なのに・・。


一仕事終えた後の休憩、その後仕入れた(気の毒な男がハリネズミになるまで聞き続けたらしい。)情報で、
襲撃をする、と作戦を彼女がまとめた。

こんな彼女だが、戦略、戦術に関しては、ひとかどのものがある。

「っというわけデ。給料あげろ、には反対なんだな?」

今。後ろを向くと、綺麗な肢体が見れる代わりに、
上司にボロカスに言われ、結局自分の給料から持っていかれる・・。

「すんません・・・もう、今月は限界です・・。」

「チ。」

衣擦れの音がする。ああ、やっと服を着てくれたか。
振り返る。
下着どころか、素っ裸の少女が、布をいじっている。
「あ・・。」

「アップ、確定な。」少女はにやりとする。

キーファーは、眼福と引き換えに、前借りする勢いの給料のために、
せめてでもと、少女を見るが、すぐにタオルで隠される。
(あんまりだ・・。)






ここ、ネ。

どんな街にだって、郊外というのはある。
特にグリダニアの郊外は、あちこちにあるが、それほど治安が悪いわけでもない。
鬼哭隊もいれば、森の加護もある。

が。

だからと言って、すべてがそうでもないらしい。


ゆるやかな丘の上から、その家を調べる。
「ふうン。」
「やってくれるじゃなイ。」
尋問したときには一人、と言っていたが。
3人ほど居る。

しかも、薬の犠牲者らしき女性が数人。

「ヲイヲイ。ここからか・・。角度が悪ィナ。」
金色の眼が光る。

「ターゲット、終わり。」左眼を瞑っても、もう3人は逃げれない。

愛用の大弓「コフィンメイカー」を担いで、どこから襲撃するか作戦を練る。
窓から狙撃できる人数は最大で二人。
取り逃がしてもダメだし、もしかすればもっと居るかもしれない。
さらに人質にされかねない女性達もいる。


「あの・・すミませーン。」
ドアをノックする。
男が返事をする。「なんだ?」
「いえ、その・・。ココでいい物が買えるって・・。」
「あ?ちょっと待て、お前、符丁知ってたな・・。」

ガチャ。

開いた瞬間。

「お、美人じゃねえか。いい・・」
顔面に3発、至近距離からの矢が埋まる。声もない。
倒れる体を足でいったん蹴り、音がしないようにする。

「まず、一匹。」
黒髪を揺らす。

「オイ、キーファー。」パールで連絡。
「被害者の女どもがいる。鬼哭隊に言ってやレ。」
「僕は、ここのヤツを殲滅する。」

中に入る。

先の騒動に顔を出したヤツにの眉間に撃ちこみ。走りこみ、ヒザで体を受ける。

「あと一人、ってワケないよネ・・。」

音は極力出さないように暗殺しているんだけどネ。

「ま、追加のペイ(給料)でガマンしようかナ。」


ここは郊外。多少の荒事もあるだろう場所・・・。

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