363書き物。Being boring(あたしの軌跡)

物心ついたのは。

潮風のある村。名前があるのかは知らない。

近くにあるフェリードックという、港町で漁をしては、冒険者や商人に卸す、そんな。

そこで生を受けたあたしは、特に何を気にするでもなく、過ごしたんだと思う。

そして、母の少し頼りない家事。さらに、頼りない父の仕事の手伝いをするに至って。
家事や、給仕に精をだし。

村では、他の女子が、男子どもにからかわれたり。それを追い払い。
なんだか、少し、疲れていたかも・・。そんな、日々。


転機が訪れたのは、そんな父の仕事(露店)の手伝いの時だった。
一人の冒険者?
赤いローブのミコッテ。
ものすごく柔らかい笑みで、見てくれた。
年は・・。おそらく、母さんよりもかなり上だろう。
その柔和な笑みに、鋭さは無い。
 
ああ・・。この人は冒険を終えたんだな・・。そんな気がした。
しかし、纏うオーラ?気?がすごい。
おそらく、とても大きな冒険を果たした、ということだろう。

そんな時に、同じく給仕の仕事をしてる近所の少女から言われた、何気ないかもしれない、でもあたしには堪えた言葉。
次の日に。
家を出る。

その後は・・・・。ウルダハに行き、右も左もわからず、まさしく右往左往。


ヘンな事に巻き込まれ・・。首を突っ込み・・。気がつけば、冒険者として、それなりになっていた。

もう帰らない、と置手紙までしたのに、実家に帰るハメになったり、その後、リムサ・ロミンサまで船旅(兄同伴・・)

振り返ると、まだ15、あ、この夏で16か。

我ながら大したものだ。

いろいろ死に掛けたり。

イタズラにあったり。

実は、両親がとんでもなく有名な冒険者だったり。



色々あった、なあ・・。そして。


目の前に運命?とかそういうのかどうか?
最愛の人がいる。
抱きしめる腕に少し力が入る。

「強すぎるよ・・。」
金髪の少年。
「これぐらいしないと、あなた、どっか行っちゃう。」
「そんなわけないだろ、マユ。それに、そろそろ行かないとダメじゃないか?いつまでもこうしてたいのは山々だけどね。」
ブルーグレイの髪の少女は、腕を解くと、相手の顔を両手で優しく持つと、唇をねだる。

重なる唇。


「じゃあ、行こうか。」ゲートを越えればフェリードックだ。

実家まで行かずとも、少女の両親には会えるだろう。
そして、船旅をすれば、兄にも会えるだろう。少年は気楽に歩を進める。
少女はそれについて行く。

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