360書き物。少女達の時間の過ごし方11

森に囲まれた一軒家。

宿舎のひとつだが、隔離という方がただしいのかもしれない、そんな家。

「ふう。」

長い黒髪の少女は、とりあえず入用な物を用意させて、一息。

グリダニアの誇る神勇隊。そのイレギュラーメンバー。
フネラーレ。
「葬儀屋」と名乗るこの少女は、まさしくイレギュラーな暗殺任務を旨としていた。

そろそろ夕刻。もうちょっとか・・。

道具のチェック。
解毒剤。今回は欠かせない。
ポーション、その他、かさばらない程度に必要量。今回もアシストがないから・・。

愛用の大弓。「コフィンメイカー(棺桶製造者)」は今回は置いていく。
なにせ、初心者の冒険者を装うのだ。演技とはいえ、さすがにこの弓はまずいだろう。

短弓を適当に用意させたのだが、どうも弦の調子に納得がいかない。
違う物を適当にみつくろうか・・。
手持ちにもあるのだが、やはり初心者らしくない。

「さテ。」

服は初心者らしさと、少女らしさで相手をつり易く。
かわいい白いチュニック等でまとめている。
後は、演技力だが・・・・。
これが一番難敵だと思われる。

海賊生まれの少女は、この手の街娘など体験したことが無い。
見た目は誰もが振り返るような容貌だが、クチを開けばだれもがそのギャップに驚くのだ。
どうやってもコレばかりは、すぐにはなんともならない。

大きな姿見で、衣装をチェックした後、一応、台詞のチェックなどを・・
「ヨ!こんにちワ!」「あ、森に行こうゼ。」・・・なにか違う・・。
とりあえず、「うン。」「アッチ。」とだけ言えればいいか、とあきらめ・・。
「ンじゃヤッて来るか。」

人気のない場所で、一人の男を見つけ。
符丁で教える。

近づいてくる男に、頷く。

「こっちこいよ。」
に、「アッチ。」とだけ言って、森に促す。

「へ、いいぜ。」と男。

まずは一匹。

「ここでってこたあ、いいんだよな?」と下卑た笑顔。
「うン。」

森の中。

薬を渡され、飲んでみる。

頭がくらくらしてくる・・。
「へへ・・どうだ?」と聞いてくる。

ちょっとマズイ。

「お水、少し飲む・・。」
「ああ。」

解毒剤を飲む。少し和らぐ。確かにこんなのを売るようでは・・。

見えないように、大振りの矢を取り出し。
「そろそろ、いいだろ?」と言い出し、詰め寄った男に。

「死ネ。」
首に矢を突き刺す。

パールを探し出し、大本に連絡をする。

「あの・・なんかいきなり倒れたんですけド・・。見ニきてもらえます?」

「なんだ?だれだお前!?」
「そノ、さっき買いにきたンですけど・・。」
さて、釣れるか・・・。

「わかった。女、どこか教えろ。」
「はイ。森の中・・・どのへんかしラ・・・。近くにキャンプが。あ、ベントブランチ、かナ?」
「よし、わかった。二人で行く。符丁は知ってるな?」
「はイ。」

釣れた。

ただ、二人、ということはどちらかを逃がせばダメだ。
どっちが当たりか分からない以上、狙撃は危険だ。



「ほう、美人な娘じゃないか。」
ララフェルの男が言う。
「ですね。」とルガディン。

珍しいコンビだが、まあ、そういうものだろう。
さて、どうしたものか・・。

「その・・。」刺殺したヒューランの男を指差し。

「いきなり襲い掛かられて・・。」

「ははは!バカなヤツだな、薬のやりすぎだろう!」
笑うララフェル。

こっそり弓に手をかける。

「バカはソッチかナ?」

「な?」「なに?」

矢が3つ。

ルガディンの眉間にまとめて突き刺さる。

音も無く倒れる。

逃げるララフェル。逃げ足だけは負けたことが無い。

しかもあの女は、矢を放った後だ。それだけでも逃げる時間は稼げる。

が。


とす。


足が止まる。


見ると右足のヒザに矢が生えている。

とす。

左足のヒザにも矢が。


激痛と、突然に生えた矢に、意識が混乱してくる。
待て、今はもう夜だ。しかも十分に逃げた。矢が中るハズがない。
これはなにかのジョークだ。そうだ。そうに決まっている。

が。

顔を覆うとした右手のひらに、矢が生えているのを見て、本当になにかのジョークだと思えてきた。
左手を見る。
もちろん矢が手のひらから生えている。

足の激痛もさることながら、ヒザを射抜いた矢が脚を曲げることを許さない。立ち尽くしたまま・・・
ひゅ。

その音と同時に、両耳に矢のピアスができた。続いてもう2本。

「どうかナ?」
後ろからの声。
振り返ることは出来ない。

が。


黒髪を揺らして、覗き込んできた。



暗闇に、金色の一粒の光だけが見える。

「まさか・・。」

「どうかナ?」


「葬儀屋・・。」


「違うネ。グリダニアの発音じゃしにくいかもだけど、フネラーレ、って呼んでくれるかナ?」
「お前・・・。」
「そうそう、ちゃんと棺桶は用意しておいたかナ?」
「な!」
「その後は僕が面倒みてあげるからネ。安心して、死ネ。」
至近距離から、矢が数発。
顔面に突き刺さる。




「依頼終了ー!」

パールで、マネジメント担当のキーファーに連絡をする。
「お疲れ様でした。後の処理はこちらでします。」
「ハイハイ。」
「何か、用意しておきましょうか?」
「そうだネ。美味しいスイーツ。ハズしたら、お前がハリネズミ確定だからナ。」
パールからは悲鳴が。

暗がりの森を帰っていく。


----------コメント----------

危ない仕事ばかりでフネラーレのことが心配だなぁ。
Jonathan Jones (Masamune) 2012年10月06日 15:29

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そんな言ってると巻き込まれますよ?
Eraru Control (Hyperion) 2012年10月06日 19:52

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じゃよ~wきっといろんなところから矢が飛んでくるんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年10月06日 22:12

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>ジョジョさん、いらさいw
フネラーレ、基本的にソロのお仕事なのよねーw
それに汚れ仕事ばっかりだからな~・・・。
色仕掛けでおびき出して、暗殺、なんていつものことw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:10

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>えらっちwwww
巻き込まれるのは・・・えらっちだったり?w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:10

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>王様、どうもw
ブラックリストに登録されてたりw
無銭飲食でw狙われて・・・・
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月07日 01:11

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