355書き物。ある家庭の事情。

チュンチュン。

小鳥のさえずる声。

「ん・・・・・。」

おーい、いまから狩りにいくぞーー

遠くで声が聞こえる。

「ん。」

ゆっくり眼を開ける。

ん・・・どこだっけ・・・?

着衣に乱れは無い、が、多少着崩れはしている。

暴漢に寝込みを襲われた、ということはなさそうだ。

ようやっと意識がしっかりしてくる。
「あ。」
前日の二人での飲み会。もしくは、親友の慰めを。
「スゥ、へこんでなけりゃあいいけどなあ。」
途中で酔いつぶれた親友のことを思う。

あいつ、あんなに酒弱かったっけ・・。って、まあ仕方ないか。
意識がしっかりしてくる。
仮眠室の中においてある桶で、とりあえず顔を洗う。
窓からは、明るい光りが覗いている。この角度からでは何時かは判断できないが、恐らく昼にはなっていないだろう。

シーツも無い簡易寝台だが、寝場所に文句のつけようも無い。
「家に帰るか。」
ぽりぽり、と、うしろ頭をかきながら、据え置きの鏡がない事に落胆する。
手櫛で髪を整えなおし。


ドアを開け、外に出ると昨夜の隊長が。
「レティシア様。これをどうぞ。」
と、パンとりんごをくれた。

「ありがと。悪いわね。」
「いえ!是非とも、またお越しください!」敬礼。

そんなに偉いのかね?あたしは・・。

パンをかじりつつ、走るでもなく適当に流し家路に。
グレイの髪が尻尾のように揺れる程度な速さ。

さーて・・・。サンドロはなんて言うかなあ?
娘の恋愛に対して、恐らくは猛抗議するだろう。夫の顔を想像しながら。
パンを食べ終え、りんごをかじり出したときには、そろそろ我が家が見えてきた。
この辺りで速度を緩め空を仰ぎ見る。
そろそろ中天に差し掛かる太陽と、赤い月。

「あんなのが落っこちてきたら、どうなるんだろうね・・。」
それと、ネール。今回の事件の首謀者。
「あの野郎・・。」
帝国の中でも根回し、策謀、陰謀が大好きな将軍。あの赤い月もヤツの仕業、
という噂くらい出てきて、まことしやかにささやかれている。

ま・・あたし一人じゃ勝てないからね・・。アイツ。

「それよりは・・。」
愛娘の今後。もしも世界に終焉をもたらす月が墜ちてくるなら、
せめて最愛の相手と添い遂げてからにしてやりたい。

「サンドロ、なんつーかなあ・・。」

まあ、反対したら殴り倒してしまえばいいか。


家に着くが、夫は仕事に行ったみたいだ・・。
「ま。・・。」
たまりまくった洗濯物の片付けからか・・・。


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新生までに話一区切り付くのかな?
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年10月03日 11:23

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>三枝師匠、どうもw
とりあえず、マユの一区切りはしたいなあw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年10月03日 11:27

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