341書き物。少女の時間。

あたし的には・・・・。

目の前の金髪の少年は、とても不思議だった。

まず、最初に逢った時は、妹のマリーにいいようにやられて。

次に逢ったときは、どうしようもない感じだったのに。

ダンジョンで出会った時の彼は、とてつもなく格好よくて。

どの「彼」が本当なのかな・・。


そして、クルザスまで逢いに。

「もう、まったく。なーにがお土産なのよ。そんなの、今すぐくれればいいじゃない。」
キャンプ・グローリーに飛んでから、ぶちぶちと。

「えーっと。この辺かしら?」

目の前に白いモコモコ達。

「うっわ!うう、可愛すぎる・・・。」

「コレは・・・。抱きつけって言うコトかしら!」

「きゃー!なにこれ」
白いモコモコとした羊達は迷惑そうに逃げ惑うが、かえってそれが可愛い。
「あ。」

「ウルラー!どこー!?」
「ここだよ。」

近くの岩場に彼の姿が。

ニヤニヤとしている。

む。あたしがこういうのに弱いと知っていながらの仕打ちか!

大の字に寝転がってる彼に近づき、
はっと気づく。
「ちょっとお!!!」

真下から脚を見上げられる。これは相当に恥ずかしい。
慌てて両手で隠すようにするが、成功したかどうかは分からない。
顔が赤く染まるのがわかる・・。


「似合ってればなんでもいいだろう?」


たしかにそうだ・・・。というより、効率というか・・。ソッチで選んだ装備ではある・・。

少年のもっともな意見にとりあえず抗議。

「見上げられるって、すっごく恥ずかしいんだからね!」
超猛抗議。

「そんなもんか?」
少年は意にも介さず立ち上がる。

あ・・・。

また逃げる前に・・。

腰に両手を回すように抱きしめる。


「ばか。あほ。こんちくしょう。」
ええと、あと何があったかしら・・。
「えーと。」
「ナスのヘタ。カボチャの種。コーンの毛。・・・。」
思いつく限りの役に立たない物を言い出す。

「ええと?」

何だこの野郎。あれだけパールで言葉を送ったのに。
一切返事しないくせに、今朝にいきなりだと!しかも、「ええと。」だと?ふざけんじゃねえ!

「なんで返事してくれないのよ!!!!!!!」

「ごめん。」

うわ、ムカつく!

「ごめん、だけじゃダメ!」
涙がこぼれる。
唇を噛みしめる。
あたしはこれだけ好きなのに。
ウルラもあたしの事を好きだと知っているのに。

どうして・・。

見上げた顔はとても困り果てているようにも見えるし、呆れているようにも見える。

「ふう。どうしたらいいのかな?」
この期に及んで・・・・。

「言わせないで!」
目を瞑る。

コレで分からなければ、こいつの事はもう忘れよう・・・。

次の瞬間、強く抱きしめられ・・。

唇が重ねられる。

「ん・・。」


どのくらい、そうしていたのか分からない時間。

ぽぅっとした時間が過ぎ。


あ、やっぱり、あたし。この人が好き。

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