あたし的には・・・・。
目の前の金髪の少年は、とても不思議だった。
まず、最初に逢った時は、妹のマリーにいいようにやられて。
次に逢ったときは、どうしようもない感じだったのに。
ダンジョンで出会った時の彼は、とてつもなく格好よくて。
どの「彼」が本当なのかな・・。
そして、クルザスまで逢いに。
「もう、まったく。なーにがお土産なのよ。そんなの、今すぐくれればいいじゃない。」
キャンプ・グローリーに飛んでから、ぶちぶちと。
「えーっと。この辺かしら?」
目の前に白いモコモコ達。
「うっわ!うう、可愛すぎる・・・。」
「コレは・・・。抱きつけって言うコトかしら!」
「きゃー!なにこれ」
白いモコモコとした羊達は迷惑そうに逃げ惑うが、かえってそれが可愛い。
「あ。」
「ウルラー!どこー!?」
「ここだよ。」
近くの岩場に彼の姿が。
ニヤニヤとしている。
む。あたしがこういうのに弱いと知っていながらの仕打ちか!
大の字に寝転がってる彼に近づき、
はっと気づく。
「ちょっとお!!!」
真下から脚を見上げられる。これは相当に恥ずかしい。
慌てて両手で隠すようにするが、成功したかどうかは分からない。
顔が赤く染まるのがわかる・・。
「似合ってればなんでもいいだろう?」
たしかにそうだ・・・。というより、効率というか・・。ソッチで選んだ装備ではある・・。
少年のもっともな意見にとりあえず抗議。
「見上げられるって、すっごく恥ずかしいんだからね!」
超猛抗議。
「そんなもんか?」
少年は意にも介さず立ち上がる。
あ・・・。
また逃げる前に・・。
腰に両手を回すように抱きしめる。
「ばか。あほ。こんちくしょう。」
ええと、あと何があったかしら・・。
「えーと。」
「ナスのヘタ。カボチャの種。コーンの毛。・・・。」
思いつく限りの役に立たない物を言い出す。
「ええと?」
何だこの野郎。あれだけパールで言葉を送ったのに。
一切返事しないくせに、今朝にいきなりだと!しかも、「ええと。」だと?ふざけんじゃねえ!
「なんで返事してくれないのよ!!!!!!!」
「ごめん。」
うわ、ムカつく!
「ごめん、だけじゃダメ!」
涙がこぼれる。
唇を噛みしめる。
あたしはこれだけ好きなのに。
ウルラもあたしの事を好きだと知っているのに。
どうして・・。
見上げた顔はとても困り果てているようにも見えるし、呆れているようにも見える。
「ふう。どうしたらいいのかな?」
この期に及んで・・・・。
「言わせないで!」
目を瞑る。
コレで分からなければ、こいつの事はもう忘れよう・・・。
次の瞬間、強く抱きしめられ・・。
唇が重ねられる。
「ん・・。」
どのくらい、そうしていたのか分からない時間。
ぽぅっとした時間が過ぎ。
あ、やっぱり、あたし。この人が好き。