325書き物。少女の悩みはつづく。

「宿まり木」
グリダニアにあるカフェの2階。

その宿の一室。

「にゃあ・・・。」
パールを握り締めるミコッテの少女。
もう明け方も近い。
昨夜は少女3人でワインを数本あけて。
それでも、酔いは少女を寝かせるほどではない。
「ばか、なのにゃあ。」

オレンジ色の髪を枕に埋め、両手で天井に向けて掲げるように。
普段はうつ伏せで、枕に顔を埋めて、尻尾をゆらゆらさせながら寝るのが好きなのだが・・・。

槍術士、シャン・ズィッティヒは、寝付けない理由は枕に顔を埋めていないからだ、と思い込むことにした。

実家もあるが、最近は宿で仮住まいしている。
母には理由を「独り立ちしたいから。」と話しているのだが、おそらく言い訳なんだろうと、自分では思う。
昨夜、3人で集まる前に壁に投げつけたリンクパールを戻ってきた時に拾い上げ、寝台に寝転がり。

「ばか・・・。」
誰に対してばかなのか。それもあやふやになってきた。
酔いがまわってきたのかにゃ・・・・?
自分に対してなのか、それとも・・。
少年の顔が思い浮かぶが、必死に消そうとする。うまくいかないが・・。
知らずのうちに、両目からは雫があふれ、枕を濡らしている・・・。

「あたい、どうしたいのかにゃ・・・。」
パールをもう一度見る。
左耳に付け直す。

「まんざらでもないんじゃない?」とは、昨夜の友人からのひと言。

そうなのかにゃ・・?

悩みを相談しに行ったのに、さらに悩みが増した気がする。
「ふう・・・・・。」
(おやすみにゃ・・。)
パールで言葉を伝える。
おそらく、相手の少年は寝ているだろう。
(おやすみなさい。)
「!」

もう・・寝れないにゃぁああ・・・。

そろそろ朝日が顔を出す。


うつ伏せになる。いつもの寝るときの姿勢だが。
枕が濡れていて、寝付けない。

枕をひっくり返して、尻尾をゆらゆらと振る。

枕を抱えるようにして、また濡れてくる枕を押さえ切れない。
「ばか・・にゃ・・。」











「ん~・・・おにいちゃん・・・・・。」
金髪の少女は、少しの寝言とヨダレをこぼしながら熟睡していた。








「ウルラ・・・。逢いたいよぅ・・。」
パールを眺めながら、ブルーグレイの髪の少女は小指のリングにつけたパールを包み込むように両手を。
そのまま、眠りに落ちる・・・。

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