321書き物。少女達の一幕。

「うー。」

ブルーグレイの髪の少女は一通り悩んでみては、笑みをこぼすという。

グリダニアのカフェ、カーライン。
食べかけのシチューはそのままに・・。

二人の給仕の少女達の冷たい視線そっちのけ。

さらに、その少女達の雇い主であるところのエレゼンの女性も、
実は似たような状況で、「んふー・・。」とか「ふふふっ」とかを繰り返している。


「ウザいよねー・・。」
「イーリスはまだいいじゃない・・。」
「オーアはこう、自分から行かないからよ。」
「にゅー。」
唇をとがらせる、ミコッテの少女オーア。
対して、ソバカスの残る赤毛の少女は「ふふーん。」という表情。



夕暮れも過ぎ。
「んーにゃ・・。」身支度を整え、階下のカフェに行く。
「マユちゃん、いる、よにゃあ?」
オレンジ色の髪は少しボサボサしているが、気にしない。
目的の相手は、彼氏であるところのネルケではなく。
「うーん、お昼スギからどっかにでかけていたしにゃあ・・。」
同じ宿を使っているので、夕暮れにノックしてみたのだが・・。
居なかった。
同じく宿仲間としては、マルグリットという少女がいるのだが、今回はマユに相談したかった、というか。
まず、ネルケという少年をマリーはそれほど知らない、というのがその理由ではあるのだが。

階段を中ほどまで降りると、目当ての少女を見つける。

「やー!マユちゃん!やっぱりいたにゃ!」

「いらっしゃいませ!」
二人の少女が出迎える。

「え!シャンちゃん!久しぶり!」
同じテーブルに着くと、マユが出迎えてくれる。
「何が久しぶりなのにゃ!」
と、少しふくれっ面。3日ぶり。

「あの、ご注文は?」
赤毛の少女に。
「特大サンドイッチ!」
「はい、お飲み物は?」
「ワイン。ボトルにゃー。」
「ありがとうございます。オーダーはいりまーす!」
少女は準備のためにカウンターへ向かう。
女主人のミューヌは今日は使い物にならないのをすでに確認しているので、オーアと連携をしなければ。


「シャンちゃん?」
「どうかしたにゃ?」
「その・・・。いきなりボトルなの?」
「飲む、よにゃ?」
「シャンちゃん・・母さんみたいになってる・・・。」
「まあ、聞いてよにゃ。」
「ハイ。」
歳で言えば2つ上の先輩でもある。(最近自分が16になったから)
この指令には逆らうことが難しい。
「ネルケ君、どうにゃ?要るにゃ?要らないにゃ?」
「あ・・・・。その・・・あたし・・・。」顔が赤くなる。
「ふーん。やーっぱり、にゃ。」
「え?えええ?あ、その、なんていうか、あれだよ?その、なんていうか。その。ほんと。
まだ、その、あれ、ええっと。あー・・。あの・・。キスだけだよ?
ああ!あたし何言ってるんだー!!!いや、待って。ウルラとはその・・。まだ・・。」
「呼び捨てにしてる時点でわかったにゃー。」
冷静なツッコミと、冷ややかな眼。
「ほんと、キスだけなんだってばー!」叫び声が店内に響き。

「へーぇ。」「いいにゃー・・・。」
他の客もざわつく。(おい・・。)(ああ。あの・・。)(俺のマユが・・・)(今、口説いて来いよ・・。)



「マユちゃん・・・。」階段からふわふわした金髪の少女が・・。

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