318書き物。少女の、これからは・・。

「ふー。」
昨夜は少々、飲みすぎた。

少し頭が痛い。

大きく伸びをする。

健康的な、白い裸身からシーツが滑り落ちる。

頭を振る。

やはり痛い。もう少し寝ようかな。

それよりもまずは水、かな。

頭を振ると、長い黒髪が隣に寝ている褐色の肌のエレゼンの男性の顔にパサパサとかかるが、起きてこない。

それがなんだか楽しくなってきて、髪を一房。顔をくすぐり始める。

「おはよう。リッラ。」
「お、おはよう。よく寝てたじゃンか。」
「とりあえず、最初の髪の攻撃の時点で起きてた。」
「ちぇ。つまンねェ。」
抱きしめて唇を重ねる。「ん。」


二人は服を着ると、部屋を出る。
アスタリシア号の副長室。
二人の関係は皆の知るところではあるが、公にはしていない。



「リッラ。」
「なんだよ、カルヴァラン。」
「船内では副長、と呼んでくれるかな?」
「それを言うなら、僕の事はフネラーレだろ?」
「そうだな。すまない。」
「で、どうかした?」
長い黒髪の少女は、頭ふたつ分くらい背の高いパートナーを振り仰ぐ。
「実は、また航海の予定が決まってね。しばらく戻れない。」
「そっか。僕も行こうか?」
「ダメだ。フネラーレ。君は航海に連れて行けない約束になっている。
前にも言ったが、これは船長との契約でもある。俺と君の関係を続けるための、契約だ。」
「そっか。じゃあ何時出航するンだ?」
「明後日、明け方だな。」
「じゃあ、今日は一日空いてる、ッてコトだよな?」
「そういうことになる。」

船を降りる。
「行ってらっしゃいませ。」船員からかかる声に手を振る。



「なあ。」
ん?この少女にしては珍しく饒舌だ。
「どうした?」
「買い物。行こうゼ。」
「ああん?」
黒いチュニックの裾をピラピラとさせながら、お洒落ってヤツをしないとな。と少女。
「どこまで行く気だ?」
「そりゃ、アレだヨ。ウルダハ。」
「おい。」
「最近になって初めて行ったんだけどサ。やっぱりあの街は盛況だからね。お洒落にも事欠かないンだよ。」
と、言いながらイジワルを画策。
金色の瞳が少しだけ光る。
もちろん、前髪で見えないが。

「そうだな・・。モモディにも久しく逢っていないしな。」
「いきなり浮気かヨ。」
「俺と、あの女将でどうやったら成り立つかは知らないが。気になるのか?」
「そんなワケないし。」プイっと横を向く。そして移動術式を発動させる。
「おいおい、いきなりだな。」
「ウルサイ。」


「あらあらあらー。カルヴァラン、いらっしゃい。おっと。ここじゃあ、カールだったわねー。久しぶりすぎてわすれてたわー。」
濃い桃色の髪を二つに分けてくくった子供のような女将。
ララフェル。
「すごい皮肉だな。」
「まあね。上客さんとは仲良くしないとねー。」
「よく言う。」
「カル・・、カール。その、僕は、初めて逢う。その・・。」
命の恩人、とでもいえる相手に、初対面でどうしたものか。
ウルダハには来た事があるが、顔をさす事が気になり、挨拶はしていない。
「あらー。こちらは噂の彼女ねー。かわいいじゃない。」
「まあ、な。」横では、少女の白磁のような頬が赤く染まり出す。
「な、なンで知って・・。」声もしどろもどろ。
「千里耳(サウザンキーパー)の名はダテではありませんのよー。」
「くぅ・・。」

「あ、そのねー。彼女ー。」
「は、はい?」
「その後、眼の調子はいかが?」
「どうでしょう?順調なのかナ。特には・・。多分。」
「そう。じゃあよかった。」
「おい。何かあるのか?」
「この先は・・。」と言い、指で丸を作る。
「いいだろう。」
「さっすがー!」
「で?」
「その「眼」の持ち主が長生きした、という話がないのね。まあ、二人だけど。三人目のこの子が、
長生きするかどうか知りたい、ってクライアントが居てね。暇な人ねーとか思いながら、こういう情報がありましたよーと。」
「誰だ?それは。」カルヴァランの表情は険もあらわだが。
「こいつは企業秘密。わかるでしょー?」軽く流す。
「僕にどうしろと?」二人の間を割ってはいるフネラーレ。
「さあー?」
「まあ、いい。こいつには無茶はさせない。仮にそうなったとしても、俺がなんとかする。」
「・・・。」
「男前の彼氏が居ていいわねー。それじゃ、お代はまた。」
「ああ。」


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どいつもこいつも浮かれぽんちめ~w!
キーーー!どうにかしてほしいんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月14日 12:56

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>しゃくなげさん、どんまいw
今回のキーワードは「恋愛」なのでw
で、うかれぽんちってw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月14日 13:24

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