312書き物。幻術師の・・。もっと。

緑の濃い世界。

濃淡はあるものの、緑が支配する行程。

「ふんふんふ~ん。」

鼻歌まじりの少女。

「サ・ヴィントさん。少しは控えめにしてください。」

エレゼンの青年と、ルガディンの壮年の、槍術士。

「だってー。」
答える少女は銀髪の、それも10をいくつか越えた年頃のミコッテ。

「その。失礼ながら。今回はアラミゴまで、貴女をお送りするのが我々の役目ではありますが。できるだけ、危険は避けたいのです。」
エレゼンの男性。
鬼哭隊の隊員で、腕は十分だというが。
「と、いうことですな。」
壮年のルガディンも同じく。
「唄ったらダメなの?」
くりくり、っとした目が愛らしい。ミコッテの少女。
「そうですね。できれば。」

「つまんないなー。」銀髪の少女は足元の石を転がしながら。
代わりに、といわんばかりに尻尾を揺らし続ける。

その尻尾をいきなり後ろから掴まれ、コケそうになる。

「にゃああ!!」
さらに、引きずり倒される。

「失礼する!」

ルガディンの巨漢が掴んでいた尻尾を離し、少女に牙を立てようとしていた狼に槍の一閃。
さらに突き入れる。
エレゼンの青年は、後ろ、そして周りの警戒に集中している。


「もうちょっと、レディの対応にちゃんとするべきだとおもうの。」


もっともな課題に、二人の槍術士はなんとも苦い顔しかできない。
(こっちは、子守りなんだぞ・・。)

少しの沈黙。

「ありがと。」
銀髪の少女からの感謝。

「いや。」
こうなると、男二人は声もない。
  


「少し休もう。」携帯していたパンと水を取り出す。

「もう少しでアラミゴに着くはずだ。遠目に城砦が見える。あれがそうだな。」
「へー。」
木々の間、よく見えるものだ。
「オレも行った事はないな。」エレゼンの青年が答える。
「帝国、ガレマール帝国とも十分渡り合える城砦だと言っていたな。」
「ドコそれ?」少女は興味がなさそうだ。
「北方の大きな国だ。今、大きな戦争を始めようとしている。」
「そうなん・・だっていうか、危ない!」

少女の声が届く前。

目の前のルガディンがなぎ倒される。

「きゃあああ!」悲鳴。
「後ろに下がれ。」槍を構えたエレゼン。


目玉に羽根の生えた魔物は、2匹の小鬼を引き連れたまたま通りがかった一行を襲った、という、そういうことだったのだが。

「皆に誠意を!」少女は回復術式を唱えあげる。
「皆に真意を!」つづいて防御術式。
この間にも、二人の槍術士は果敢に戦っている。
自分のできることは、今はこれだけ。
どうしても次の術式を組み上げるためには時間がかかる。

「どうして・・。わたしにはチカラがないの。」
尻尾が萎える。

「皆に誠意を!」回復術式。

二人では押さえ切れない小鬼がこちらを向く。

「おい、小娘!」ルガディンが叫ぶ。

「待って、回復術式が追いつかないの!」

「そうじゃねえ!走れ!この先だ。死ぬ気で走れ!」
「ああ、そうだな。俺たちが死ぬ気で踏ん張る!」
「走れ!」



一回、目を閉じる。
「皆に誠意を!!!!」回復術式。
「助かる!」
「さっさと行け!バカ!」


「ゴメン!」
全力で走りすぎる。
こっちを向いた子鬼に、槍の一撃がそれを阻止する。


城門の前、力尽きて座り込む。
「ここがアラミゴ・・。」

「あら?どうしちゃったの?」
グレイの髪の女性は目の前の。
自分の娘と歳もそれほど変わらないミコッテの少女に声をかける。


----------コメント----------

独り立ちしていくんじゃな~w
わんぱくでもいい。たくましく育って欲しい。
って言うハムのCMが昔あったんじゃが、それを思い出すんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月10日 23:32

----------------------------

>しゃくなげさん、いらっしゃいw
そのCMはわかりませんがwww
すこし、やんちゃw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月10日 23:43

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ