304書き物。少年と少女の始点。11

宿「ミズンマスト」
リムサ・ロミンサの名だたる宿。
海兵や、海賊らしき人物や冒険者などが利用する宿の共同浴場に、甘ったるい香りが残る。

「なんだったんだ?あの坊主。」一人が言う。
「だな。」
「この香り・・。プリンか?」
「あはは、汗臭えてめえにゃもってこいの臭いだぜ?」
「ま、坊主にはお似合いの臭いだな。」
「まったくだ。」がっはっはっは!!


「あー、たりい。」
濡れた金髪をそのままに、少年はぼやく。
昼下がり、食事に行こうかと思ったが、なんせあの騒ぎの後。
どういう顔して階下の酒場に行けばいいのかわからない。
とりあえずの方針は決まったものの、動くに動けない心境。

「あー・・。たりぃ。」
寝台に腰をかける。
先ほどのパールの念話での会話が思い出される。
「心配。ね。」
一人の少女を思い出す。
「どっちがだか。」
常にムチャをしでかしているようにしか思えない少女。
その少女の泣き顔を連想してみようとして、やめる。
「似合わんな。」
ブルーグレイの髪を肩までに切りそろえて、いつも活発な娘が、自分のために泣いている、などと到底考えたくない。
いつも笑っていて欲しい。

「まずは・・。腹ごしらえと、鎧の修繕か。いつまでも閉じこもるワケにもいかないからな。」
路銀はそれなりにあるのだが、無駄遣いできるほどでもない。修理を頼むのなら職人にそれなりに必要でもある。

「あ。」
よくよく考えてみたら、今回の件はトバッチリ以外の何者でもない。ましてや、修理費用や、
宿代、そして忌まわしきプディング代金も、何もかもが不要だったはずだ。
しかもシャツ1枚が使い物にならなくなっているし、その分も含めるとかなりの損失。
「ち、あの女・・。今度会ったら請求してやる・・。」
黒髪の少女。
「呪眼」と恐れられ、その名前も「葬儀屋(フネラーレ)」
しかし。
そんな忌まわしい呼び名がついて回る少女は、自身が死に掛けたときに、
わき目も振らずに「こいつを助けてくれ!」と泣き叫んでいたのだ。

「まあ。いいか。おれ自身が納得の上で死に掛けたんだしな。」
故郷、アラミゴを占領したガレマール帝国の将軍。その暗殺に一役買ったわけだが、見事に返り討ち。
失敗に終わった今、あの少女はどうしているのか。

「・・・あー・・・腹へったな。」
適当に着替えをし、部屋を出ようとする。
ドアの前に立つと、一度振り返り、部屋の端の血まみれの鎧を見る。
「腹が減る、てのは生きている証って、誰の言葉だったかな・・。」






エーテライト。
移動術式の基点となる不思議な蒼い石。宙に浮き、周りに小さな蒼い石が取り巻くように浮かんで回っている。
都市にはもちろん、各地のキャンプや簡易エーテライトといわれる、石の形を保っていない青い光の柱など。

「着いちゃった。」
少女の独り言。しかし、着いて当然の術式なのだから、着かない方がおかしい。
蒼く光る石の柱を見て。
「ここも、そういえば久しぶりね。」
大きなレンガと岩壁に包まれた部屋。
リムサ・ロミンサ。
港町そして、海賊のねぐら。
銃術士「バラクーダ騎士団」も存在しているが、取締りには圧倒的に人手が足らない。
そして、国家としても「海賊」を認めているところがある。
本音と建前、といったところか。

昼下がり。
グリダニアのカフェでスイーツパーティーを大盤振る舞いした後。
ブルーグレイの髪の少女、マユは来たはいいが、どうしようかと悩んでいた。

普段着のまま来てしまったが・・・。
周りの冒険者達との差も何か居心地が悪い。

「うー。」
久しぶりでもある上に、この温度差のような、違和感。
自身が浮ついている、とはまだ気がついてないようだが・・。

「どうしようかな。とりあえず酒場に挨拶に行こうかしら・・。母さんが居たらイヤだけど・・。」
それよりも、あの少年が居たらどんな顔をすればいいのかが分からない。
何よりも考えがまとまらない。
勢いで来てしまっただからだが・・。

酒場に行くと決めたはいいが、普段のように走るわけでもなく。
とぼとぼと。
「あー。うー。」と声に出るのは単語にならない。
しかし、酒場はもう目の前・・。


----------コメント----------

相変わらずすごい文量だねえ。文量に俺の読速がついていけないw(←こら)
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年09月06日 11:46

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ところで、巴術士は召喚士になるんだったっけ?
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年09月06日 17:05

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>三枝師匠、いらっしゃーいw
それほどでもwww
巴術士>召喚市は確定みたいね。カー君が呼べるってところまでは誰かが言ってたような・・・。
ちなみに。
文量はこれでも控えめ・・・文字数制限にひっかかるのでSSに・・w
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月07日 04:25

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うあ。召喚市。市場かよ。召喚士。
わかってよ。わかるよね・・。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月07日 05:22

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