302書き物。少年と少女の始点。9

「なあ。ウルスリ?」
「どうかしましたか?マスター。」

どうにかなっている少年を目の前に、ヒゲのマスターは。
「なんだって、こんなバカでかいプディングを?」
「それはもちろん、ご褒美ですが?」
「このプディングに頭突っ込んでる坊主に、ちゃんと説明してやれよ?」
「名前も知らない坊ちゃんに、なんの説明を?」
「そりゃ・・。そうだが。少なくともウチの営業に支障が出るからな。」
「以前の少女の件じゃあるまいし、私の部屋はダメです。」
褐色のエレゼンの女性、ウルスリ。
言うコトはかなりシビアではあるが・・。

「誰も部屋にいれろ、とは言ってないだろう?」
「当然です。」
「まあ、とりあえずプディングで溺れ死ぬ前になんとかしてやらんとな。」
「そうですね。」
手直にいる海賊の男を呼び寄せて、皿に頭から突っ込んでいる少年を救い出す。


「・・。これなら斬り殺された方がマシだったな・・。」
「命があっただけいいじゃねぇか。坊主。死んじまったら、プディングだろうが泥沼だろうが大して変わらんぜ?」
「不本意だけど、そうだね。それと。改めまして。おれは、ウルラ。アラミゴの出だよ。さっきの子とは、腐れ縁なのかな?」
「それはお気の毒。」ウルスリからのひと言。

「で、とりあえず、今のお代と。出来ればあちこち洗える宿はあるかな?」
「まかせろ、少年。ミズンマストの宿がある。あっちで受付に行って来いよ。」
「そりゃどうも・・。」






「ふう。」
身体を拭き終え。

遅めの朝食をとりに。

少女はまだ水気の残る髪を気にしながら、階段を降りる。
(なんだってのよ・・。まったく。)

「あ、いらっしゃーい。」
エレゼンの少女が出迎える。
「あ、カナル。なんだろう?こう、アレ。なんだか朝から甘いのが欲しい。」
「え?マユちゃん、珍しい。」
淡い金髪が印象に残る少女は、振り向きざまにそう告げる。
「うん、ちょっとね。」


「ふふーーーん。そういうことなのにゃ?」
クセっ毛のショートのミコッテの少女、オーアがドコからとも無くやって来て、ブルーグレイの髪の少女の脇をつつく。

「イーリスが居なくてよかったわ。」カナルはため息。

「な!なんでオーアがいるのよ!この時間、寝てるんじゃ!?」
「恋の予感リターンず、にゃーん。」

「あほか・・。」
「マユちゃーん?ちゃんと白状するにゃー。」
完全にミコッテ訛り。目もキラキラさせている。

「う・・・。カナル。このうっとおしい生き物、どこかに捨ててきて・・。」
「ムリ。わたしですら手に余るの。」

「ミューヌさんは?」
「まだ。あきらめるのね・・。」

「あー・・。マユちゃん。その。」ふわふわした金髪の少女マリー。
「ん?ナントカしてくれる?マリー。その剣で。」
「物騒なのにゃー。」絡み付いてくるミコッテの少女を振り払いながら。
「その・・。兄さんから連絡ないし・・。こっちからも・・。」
「あ。うん。その件はもうちょっと待って!コイツをなんとかしないと!」

「うん・・・。」少し沈んだ表情の少女。

「いい加減、空気読め。」カナルの投げたトレイがミコッテの顔面に突き刺さる。

「ひどいのにゃあ、カナルぅ・・。」
「ふん。」エレゼンの少女は、できるだけ話に関わらないように遠くに歩いていく。


----------コメント----------

トレイを投げて当てるとは・・・。
なかなかの腕前じゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月04日 18:49

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>しゃくなげさん、いらっしゃいw
あれよ、フリスビーみたいにw当たるとかなりイタそうだけどw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月04日 23:49

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余談じゃがパイを焼いていたお皿がフリスビーの原型じゃったような・・・?
ということはじゃよ~wリアルでも最初に投げて当てた人がいるってことじゃな~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年09月07日 15:39

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>しゃくなげさん、20へぇ。
ブーメランもけっこう起源が面白いですよw
オーストラリアの原住民、アボリジニの方々の狩猟用で、投げて戻ってくるのは、けっこう近代になってからですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年09月08日 00:59

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