280書き物。バトル。

黒い衣を纏った闇。その名を冠した森。黒衣森。

月明かりが照らす中。

その恩恵にあやかれない場所もある。

「あー。また、やるのかい?」
グレイの髪を後ろにまとめ、革鎧に身を包む女性。
「天魔の魔女(ウィッチ・ケイオス)」と名を馳せ、少女時代から活躍している生きた伝説。
彼女は正面にいる少女にあくびをかみ殺しながら、そう言った。

「僕に二言は無い。「呪眼(オッドアイ)」の名は、ダテじゃないンだ。」
黒髪の少女。
夜の空を切り取ったような少女は、そう告げる。

「ああ、そうかい。」と魔女。



事の発端は、カフェにて。
食事の最中に、
「そういや、ウルラ君?この子といっぺん戦ってみない?」
なんぞと持ち出し。
「ちょっ!待って下さい!おれだと、手に余ります!」
「手に余るンだ?」
「じゃじゃ馬だってよ。乗りこなせればご褒美があるんじゃないか?」
「好き放題言い過ぎでしょう?」「お兄ちゃん?」
「僕は別にかまわないンだけどね。」
「男の見せ所じゃないのか?マユ、どう思う?」
「え?」
いきなりの振り。
隣りのテーブルから娘を引きずり出す。
「あ・・。がんばれ。」ブルーグレイの髪を肩までに揃えた少女はそうとしか言いようが無い。
「ち・・。できるだけやってみるさ・・。」「お兄ちゃん・・。」「お前は観てろ。」


暗闇の森の中、信じられない物を確認する。
「なんだってんだ、アイツ、本当に化け物か・・。」
金髪の少年は相手にした少女の事が未だに理解できない。
実戦仕様とはいえ、矢は鏃がツブしてあるし、自身の剣も練習用、しかも軽いから扱いやすい。にも関わらず。
一方的に攻め立てられ、戦術的な逃げ場をことごとく潰されていく。
「間合いさえ取れれば。」このひと言も、矢を盾で防いでいる最中。
一旦、間合いに入れば、勝てなくても一太刀が・・。
二人の少女が見守る中、少年は徐々に追い詰められていく。

「やるわねー。あの子。アイツ相手にここまで持ったのは初めてみるかも。」
「母さん、あの、その、どうしたら終わるの?」
「その・・。お兄ちゃん、負けて当然なわけ?」
「そうね。」
「・・・!」「・・・。」
「ま、敢闘賞くらいは。ここまでやるとはね。上出来上出来!」


練習用の矢とはいえ、かなりの打撃。ヘタをすれば死ぬこともありえる。
「で、サ?もうちょっと僕と遊んでみる?」
黒髪の下に金色が映える。
「いや、ご勘弁。」
「あら、つれないンだね。僕じゃ相手にならない?」
「いや・・君の相手は「魔女」だろう?そのためのダシにされたんだ。このくらいで勘弁してほしい。」
「おや。ご名答。後、そのために手を抜いてた、ってところはどういうコトかナ?」
「本気で女性に剣を向ける、ってのはおれの流儀に反する、ってところでどうかな?」
「ムカつくね。」
「じゃあ、本音だ。正直勝てる気がしなかった。後は魔女に任せよう。」
「いい返事。」

暗闇の木陰から出てきた黒い少女は、前髪をかき上げ、「本命」との対戦に臨む。
その左目は金色に・・。

準備をした魔女。
「アイツ、本気出したらマジで死ぬからな・・。」
長爪を腰に、森を駆けていく。グレイの髪の女性。
「まあ、アレをやらかすと本人も死ぬ、ね・・。」

ヒュカッ。

矢を斬り飛ばす。
落ちた矢は練習用の矢ではない。実戦の矢。

「ま、いつもどーり、か。」不敵な笑み。

この先は・・・・。
飛んできた矢の方角から、暗闇の中の木を搾り出す。
もう一本。
打ち落とす。
先とは全く別の方角。
「そーきたか。」


「魔女・・。こういうのはどうかナ?」
3本の矢をつがえ、撃ち放し。さらに矢をつがえながら、素早く移動する。そして射撃。

暗闇の森の中、何がなんだか分からない戦闘。
「ワケがわからない。」時折聞こえる戦闘音。
「お兄ちゃん・・。」
「あー・・。二人とも。あの黒髪の人はよく知らないけど・・。母さんは、かなり尋常じゃないから心配はいらないかなあ、と。」


飛び来る矢を蹴散らしながら。
「もうちょっと遊びが足らないな?」挑発する。

「目ン玉ひっくり返してやンぜ!この魔女!」

「そいつは楽しみだ。さっさとかかって来いっての!」
(矢の位置で、居場所がバレてるのがなんでわかんないかな?そろそろオイタの時間かね。)


矢をつがえる。
左目には、バカ面の女。
丸見えだ。
しかも、ご丁寧に後ろ向き。こっちには気づいていないはず。
「逝け。」
矢を放つ。

すっ。

「な!」

いきなり消えて無くなるような動きに矢は明後日の方向に。

「はいはい、ごくろーさんね。今回もあたしの勝ちでいいよね?フネラーレちゃん?」
目の前には長い爪。これで切り裂かれれば命の保障は無い、だろう。

「ち。負けてやルよ・・。」
「可愛げがないわね、そんなんじゃカルヴァランにも愛想つかされるわよ?」
「うっせェ。」


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レーザービームが火をふいてるんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年08月16日 19:11

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>しゃくなげさん、いらっさいw
レーザーでピンポイント狙いのサイトw
死ぬ気でやれば、戦艦一隻くらいなら落とせそうだけどw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年08月17日 00:50

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