279書き物。とある双子の日記 fin

深緑の都 グリダニア。
冒険者ギルドも兼ねる、カフェ。カーライン。
ここにはいくつかの名物が。

一つ、女主人のミューヌ。
看板娘から店長にまでなった才女でもある。
「僕」という一人称は、エレゼンの女性としては珍しくファンは多い。

一つ、3人娘。給仕の女の子達だが、どれも個性的。
好みはそれぞれかもしれないが・・。
ヒューランのソバカスの残るイーリスが今のところ一番人気、らしい。
次点で、ミコッテのオーア。最下位に甘んじているが、一番真面目なカナル。だがコアなファンが居るらしい。

一つ、大きなドームのステンドグラス。それと飛空挺の発着場。

一つ、たまにやって来る魔女。


「ん?」
ゆるいウェーブのかかった金髪に手をやり。
ウルラは目を疑った。
「マリー?」

ふわふわした金髪は自身と同じ色合い、背格好も似てはいる。双子。
「へ?お兄ちゃ・・兄さん?」
二人の間では、「お兄ちゃん」だが、皆の前では「兄さん」なんて格好つけた呼びかたの妹。
「で。お前、何でここにいる?」
「なんでって。そりゃあご飯くらい食べに来るわよ。」
「まあ、そりゃそうだが。」
彼女は兄と違い、ここのカフェの上の宿を使っている。
理由としては、兄がお世話になっている家の部屋、一人娘と同室だったのだが・・・。
二人揃って迷惑をかけるのは、どうか?という建前で、この宿に逃げ込んだ。
その同室の相手の恐るべき寝相によって。

「なんか騒がしいな?いつもはこんなじゃないような・・?」
「あ、そうなの。実はね、ちょっとしたお祝いもあるみたいで。」
「お祝い?」
「うん。」
「なんだ?」
「鬼哭隊の、スウェシーナさんが、隊長に任命されてね。」
「ほう。」
「それで、なんかお祝い?というか祭りになってる。」

「はいはい!そこのお二人。お席についてね。」エレゼンの少女カナル。
長めの金髪はサラサラとしていて、マルグリット、ことマリーは密かにうらやましがっている。
(そういえば、あの黒髪。サラサラとしてるのはこの子と同じかな?)
少し前に出会った少女を思い出す。
知らずのうちに、ふわふわした自身の金髪に手をやる。

「そういえば、マリー。」
「え?なに?お兄ちゃん?」不意の質問に素が出る。
「お前、ヘンなヤツと知り合いになってないか?」
「ヘン?」
「ああ、黒髪の女だ。片目が金色の。」
「え。(コレは黙っていたほうがいいのかな・・?)どうかな?」
「もし。だ。もしもその女が何か頼んで来たなら、断れ。」
「えっ!」
「断りきれないようなら、素直に言うコトを聞け。」
「アレは、やばい。」
兄が「やばい」と言う。事は、本当に「やばい」のだ。

席に着き、給仕の少女に注文をする。
そしてエレゼンの少女がオーダーを渡しにいった、
その間の会話。

「よっ!」
ここに割り込んでくる女性。グレイの髪を後ろにまとめ、気さくに声をかけてくるのは。
「レティシアさん!」「あ、どうも。」
「ウルラ君。君にお礼をね。」
「何かしましたか?」
「まあまあ、トボけるなって。娘が世話になったみたいだし。」
「兄さん?」
「まあ、ついで話だよ。情報の速さはさすが、というか親子ですもんね。」
「まあね。」
「はぁ?」ついていけない妹。
「あ。そうだ。恩を売るわけじゃないですが。」と少年。
「どうした?情報か?」
「はい。このバカが「黒髪の女」と接触したみたいなんです。ご存知ですか?」
「ああ・・。神勇隊のアイツだな。」魔女は少し困った顔で。
「なにか?」
「フネラーレ。葬儀屋だよ。」
「物騒な名前、ですね。」
「今んところはおとなしいがな・・。アイツはあたしのコトを目の敵にしてるんだが・・。
ああ、昔あたしがアスタリシアって海賊船を襲撃してね。んで、なんていうかライバルみたいに思ってるらしい。
もちろん当時には居なかったハズだけどね。」
「はた迷惑ですね。」
「いや、まったく。」
「で、このバカがソイツに目をつけられまして・・。」
「そりゃ、あれだ。バカだな。」
「バカバカ・・て・・・。」涙目の少女。

「おまたせしましたー。」と料理が運びこまれ。

「まあ、あれだ。アイツはやばい。あの眼見たか?」
「はい。」
「アレに睨まれると死ぬ。」
「!」
「イージスの眼っていうらしい。せいぜい睨まれない様にするこった。」
「あなたは?」
「あたしは「天魔の魔女」だよ?「眼」を使われる前に、何度も叩き伏せたさ。」

ヒュー。
口笛。

「さ。メシといこうじゃないか。」お気楽な魔女。
「そうだネ。」
「よう。珍しいな。」黒髪の少女に声をかける。

「あ。ああ。その。」金髪の少女は頭が混乱して、言葉が出てこない。
「ご同席、お願いしたつもりはありませんが?」と少年。
「知り合いが揃ってンだ。いいじゃねェか。」
「では。」


----------コメント----------

双子ちゃんおわりなんじゃな~w
新しい主人公のことを書きたくてしょうがないようじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年08月16日 19:11

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>しゃくなげさん、いらっしゃい♪
うーん、双子はまだまだ出番がある、はずw
新キャラのフネラーレはたしかにお気に入り・・・・。
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年08月17日 00:41

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