260書き物。とある双子の日記XVI

苔むした、そしてカビの匂い。

その中に異臭が混じる。

じっとりとした湿気と空気の中、鉄の錆びたような。
そして、この仄暗い、石から切り出したレンガの石室。

涼しげ、と人は言うかもしれない。が。実際に入ってみればわかる。

こういう空気は、人の棲む所ではない。


びしゃ。

少女の振るう長爪は、一体の魔物を確実に葬っていた。

代わりに。

「いったー・・。この。」回復術式ケアルの準備をしようとするが、いかんせん敵の数が多すぎる。
土の加護もとうに切れ、格闘術の気合をもってしてもさすがにこの負傷は看過できないほどだ。

魔物と、自身が撒き散らした液体は、壁におかしなインパクトを与えている。
「こりゃ・・。ちょっとヤバイかしら・・。」
そろそろ自身で張った防御術式も切れそうだ。回復すらままならないなか、
目指す相手はニヤニヤとした笑いを浮かべ、小さな羽根をパタパタさせている。

小鬼(インプ)

ノートリアスモンスター、と呼ばれるその一体は「悪名高い魔物」として(まさしく読んで字の如し)の割りに。

「なに、アイツ!」と、名前を呼んで貰えない。
ブルーグレイの髪を肩までで切りそろえた少女は、まずは手前の魔物から相手をする。
が、いつ何時あの小鬼が魔法をぶっ放してくるか分かったもんじゃない。

淡い青みがかった光りが少女から消えていく。
光の粒を散らしながら。

そして。

さらに輝きの強い青い光が、円を描くように少女の周りに展開され、収束していく。

「お邪魔、だったかな?レディ?」
「いいえ、ダーリン! ナイスタイミング!」

ローブを纏った金髪の少年は、伝承をモチーフにした緑色の宝珠のついた杖を振るい終え。

少女の後衛として、他の魔物達に目を向ける。
「なあ。いっつもこんなムチャしてるのか?」
「え?なに!?今忙しいの!ちょっと後にして!」

「いいけどな・・。」

ばうん。

先日振るわれた、カフェでの暴風ほどではないが、金髪の少年の振るう杖から、風が巻き起こる。
突風でなぎ倒され、まとめて吹き飛ばされた魔物達がゴロゴロと少女の足元に転がっていく。

そしてまだ動いている。

「ちょおおおっと!」
目の前の魔物に集中していた少女は、足元に転がり込んできたでっかい蟲や、魚めいたもの、複数の魔物に目を丸くする。
「やるならちゃんとしなさいよー!」
「なんだ。ちゃんと会話できるじゃないか。」
「アンタ、鬼かっ!」少女の猛抗議。

少年は、しれっとした表情でこの場に来た際に投げ捨てたランタンを拾い上げる。
「ああ。壊れてしまったな。まあ、しょうがない。」
中には淡い灯りを燈した芯が残ってはいるが、風から灯りを守るためのガラスは砕けてしまっている。
ガラスはそれなりに貴重品で、リトルアラミゴでは重宝されていた。
しかし。

目の前で奮闘している少女に加勢するためだ。安い買い物といえる。

「なあ?今のはちょっと叙情詩に出てくるような英雄っぽい出方じゃなかったな?ああ、御伽噺でもいいんだけどな。」
目の前の少女は、ブルーグレイの髪を振り乱すようにしながら。
「プロテスまではねっ!たあっ!つか、あ。このっ!えいっ!なんていうの、あ。まだこいつ!」
杖を腰にしまいながら、ケアルだけは切らさない少年。
「忙しそうだね。」
「おかげさまでね!」
振り返りもせず、ひたすら長爪を振るう少女に、ウルラは。
「じゃあ。」

盾は構えたまま。腰から取り出したのは、濃い青の短剣。
長いローブを翻し、少女の横に出て短剣を振るう。
そして、周囲の魔物を駆逐すると、少女に回復を。

目の前の小鬼はニヤニヤしている。

その小鬼を見据えながら、金髪の少年は。
「こういうのは英雄っぽい、と言うのかな?」
あまりのことに、動けなくなっていたマユは。
「知らないわよ。」と。


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この少年はいずれなにが「足りなくなる」んじゃろか~?w
今のところなんでもできそうじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月30日 18:09

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>しゃくなげっちー、いらっしゃいwww
そうねえ、この子は。
「ようこそグリダニア」編からの登場ながら、いまだにムッツリが抜けてないからそこらへんかしら?w
剣術は45くらいの設定で、ソーサラーとしては30を越えたくらい。
マリーの方は剣術が35くらいか。なw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月30日 21:00

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