257書き物。とある双子の日記XIV

御伽噺。

「おとぎばなし、だと。」
子供の頃聞かされた話では、こういう展開は無い。まず、英雄が現れて自身を守ってくれるはずだ。

笑わせてくれる。

「大体だな。」

目の前の「人」らしきものは、到底「人」とは呼ばれない、だろう。
「これだけ臭い連中が、この森に居ること自体がおかしいってのに。」
杖が振るわれる。

風が巻き起こる。

アァアアアァ!

「人」の形をした、かつての「人」は、少年の振るう杖から、そして「森」からの風に薙ぎ払われる。

「この森に悪臭を撒き散らしてるんじゃない。亡者共。かつて受けた恩恵に感謝して、ノフィカ様の元に逝け。」

緑色の宝珠の埋まった、伝承をモチーフにした枝を振るい終え。

「この杖で、この威力、か・・。」
いまだ納得がいかないのか、少年は先ほどの名残の風に金髪をゆだねる。


目の前には、石室。
かつては、良質のワインやエールを提供してきた醸造所。その貯蔵庫が、魔物達の襲撃によって崩壊して間がない、というわけでもない。

グリダニア。

この大きな森、黒衣森の只中にある、街。

その一つの影でもあるのだろう。
農業が盛んなこの街では、いろんな産業の中でもやはり農業のトップ、というものが現われる。たまたま土地を持っていた当時の成功者が、その地にたまたま作り上げた醸造庫。ワインやエールを保管するのに最適だったその地は。

いまや、かつての従業員だった屍や、その臭気をもとに寄り集まった蟲たち、噂によると、小鬼(インプ)と呼ばれる魔物までもが居るという。

「臭うな・・。」
周りの壁につたう、苔やカビ。
そして。
「また、か。」
薄暗い自前のランタンが、レンガを照らす。

アアアアアぁアアアアアぁ

「いい加減、勘弁しろよ。というか、他に冒険者いないのかよ。」
3「人」ほどの「人」の形をしたそれらは。

「いるんですけど。超いるんですけどっ!」
短めのブルーグレイの髪をなびかせ、両手にはめた長爪(バグナウ)で、屍体達を薙ぎ払った少女は。「あ。」
「ああ。」
「んじゃね。あたし、その、別件でね。またねー。」
軽く手を振っていく。
その後に。

「ぎゃああ!やっぱりくさいーーーー!!!!」と絶叫が聞こえ、その後声に反応したのか魔物が少女との戦闘に。

「めんどくせえな。まったく。」悪態をつきながら、少年は先の少女の元に駆けつける。
そして。

その顔には、笑みが浮かぶ。


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こ、このこは麗しのあの子?じゃろか~?w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月29日 15:30

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>しゃくなげさん、いらっさーいw
売るワシかどうかはさておいて。
あ。
麗し。
マユですねw完璧にw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月30日 01:27

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