255書き物。とある双子の日記XII

むせ返るような。
それでいて、不快感を感じさせない森。
深緑の空気は、湿気を纏いながら、それでいて衣服を濡らすことなく。
ただ、いたるところに存在感だけが感じられる。

「精霊、か。」

自身も精霊に呼びかける術を持ち、かつその術を伸ばすための旅程。
「まいった、な。」
まったく「まいった」という表情も無く、ただ言葉だけ。
しいて言えば、ゆるいウェーブの金髪に手をやり、数回ほど頭をかいたくらい。
目の前には、数体ほどの人。
どちらかと言えば、人ではないのだが、頭が一つ、手が2本、足が2本あればそれっぽくはなる。
例え、それが一体あたりではなくても。



「まずはエメラルド・モス、ですね。わかりました。」
先日に「師」となった赤銅色の肌をもつルガディンからの指示。
とりわけ「導師」とよばれるほどに熟練した術士である彼からは「さらに色々と先にある」といわれ。
「まあ、この程度の旅程なら、自分がついて行くほどでもないだろう。」と。
おおまかな地図と、数枚のカードを渡された。
リーブと呼ばれる契約書だが、「まずは1枚。」とだけ。好きなものを選べ、ということか。
大柄な師はテーブルに並べたカードから1枚抜かれると、自身のポケットに仕舞いなおした。

「ところで、先ほどの女性は?」少しだけ意地悪い顔で聞いてみた。
「む。」師は少しだけ困ったような顔になる。


先日の夕暮れ過ぎに、このカフェで一つの事故らしきものがあった。
そして、その中心人物の中に双子の妹がいると、聞かされたのは夜半を過ぎた頃。
「またあいつ、やらかしたのか・・。」
と、いつものため息。
パールからは、元鬼哭隊の少年、ネルケ。
ゆるゆると服を着替え、まだ陽が昇りきらない暗い部屋に灯りを燈す。
「どうかしたか?」
ドア越しに聞こえてくるのは、この家の主。
「いえ。少し出てきます。」
「そうか。」ひと言だけを残し、気配が消える。

そして、カフェについてみれば。
妹はもちろん、その他の客も居ない。一人を除いて。
「少年、初めて見た顔なのじゃな~。」
「その?」
「いらっしゃいませー!って、金髪さん!」
給仕のヒューランの女の子が、少しばかり給仕らしからぬ発言と共に注文をとりに来る。
「ワシも金髪なんじゃな~。」と、少年のような、老人のような、不思議なララフェル。
ピン、と少しだけ跳ね上がった前髪を、ピンっと弾いて、赤毛の給仕の少女に訴える。
ついでに少女の身体にも触れようとしたが、これはかわされる。
「はい♪紅茶と、白身魚のムニエルですね。ちょっと待っててくださーい。」
給仕の少女が注文を通しに行く。
「で?」目の前のララフェルに目をやる。同時に。
(おれじゃ、勝てない、か。)
「先の事故なんじゃろ~?あれは観ていて楽しかったんじゃよー。」
「そうなんですか・・。妹が、その。関わっていると。」
何の気なしにテーブル席、隣りに。
「いや、あれはじゃな~。」




なんとなく打ち解けあううちに、陽も昇りかけ。
カフェに仕入の搬入が行われる。

「おーまたせーしましたー!」

元気な女性の声が聞こえる。
いろんな野菜や果実や、その他。
そちらを見やる。
ピンク色に近い赤毛のミコッテの女性が、同じく従業員?らしい男性達と木箱を運び込んでいく。
「あー。やっぱり。」
「どうしたんじゃー?少年。」
「いえ。その、あるところには。あるんですねえ。」
「そこらへんはの~。・・・」
無意識に金髪に手が伸びる。


「ああ、そこに居たのか。」師であるルガディン。レーゲンは少年を見つけ、さらにその横にいる昔なじみのララフェルを見つけ。


「おじさまー!」

さっきまで荷物の搬入をしていたミコッテの女性がいきなり師と仰ぐことになったルガディンに抱きつく。

こうして、先の質問となる。
(まあ、どうでもいいんだけど。)




そして、どうでもいい追憶から一日、キャンプまではすぐに着いた。
問題は目の前の、「人」だ。ムントゥイと呼ばれる(発音がややこしいな、この土地は。)醸造所の前で少年はとりとめもなくそんな考えを。

手足の1、2本が無くて腐っていても、立って歩ければ「人」なのかね?
盾と杖を構える。


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ワシのおさわりをかわすとは・・・。
なかなかやるんじゃよ~w
Syakunage Ise (Hyperion) 2012年07月27日 20:13

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>しゃくなげさん、いらっしゃい♪
カフェの人気娘、イーリス嬢は場慣れしてますゆえw
他二人との掛け合いもあるお話も、じつはあるのでサルベージしてくださいw
誰が3人娘の中で一番人気なのかは知りたいところですw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月28日 06:14

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