248書き物。とある双子の日記VI

静寂に包まれた淡い光の中の空間。

初めて訪れた者は、おそらくこう言うだろう。

「幻想的。」だと。

光の室の中、金髪の少年は傍らのエレゼンのソーサラーに目を向ける。
彼は、知り合いなのか、それとも担当なのか、ローブの人物と話を進めている。

「幻想的、ね。安っぽい売り文句じゃあるまいに。あの幻術士も大したことはないな。」
皮肉げに頬を吊り上げる仕草も、なかなかどうして堂に入ったものだ。
故郷を去る際に、いかにも自慢げに語っていた術士を思い出しながら、少年は観察を続ける。

「・・・君・・・きいて・・か?」
「あ、はい。すみません。つい幻想的な景色に気を取られていまして。」
頭を下げる。
いきなりの呼びかけに少し戸惑いながら。
「ウルラ君、だね。よろしく。」
ローブを身に付け、杖を背負った姿はまさしくソーサラーだろう。が。
その温和な喋り口や、仕草。そのどれもが何故だか一致しない。
「は、はい。よろしく、お願いします。」
頭を垂れ、もう一度視線を合わす。
やっぱり、ピンとこない。どうにも、なにが?と問われると、おそらく理解者の一人くらいは得られるだろう。
取りとめも無く、目の前の術士を見上げる。
「自分は、レーゲン。よく友人達からは「レーゲングス(大雨)」の間違いだろう?とか言われているがね。アルの昔からの友達なんだが。」
「腐れ縁、だな。」
「こいつ、こういうヤツだろう?友達が少なくてな。自分ひとりでも友達じゃないと心配で。」

目の前に居る術士。

身長は自分よりもかなり高い。ついでに言えば、横幅も、厚みも何もかもが自分より大きい。
キャンプでは、それなりに背が高い(妹もそうだが。)方だったのだが。
「あの。」
目の前のルガディンは、見た目に反して気さくそうで、どちらかといえば神経質そうなアルフレートよりは接しやすいのかもしれない。
「ん?どうした?ウルラ君。」
「その。正直に言わせていただきます。術士、としての腕前はどのくらいなんでしょう?失礼を承知で伺わせていただきました。
(おれより術が使えない、としたらやはりウルダハで呪術に精を出すしかないか・・。)」
真剣な眼差しでルガディンの術士を見る。

「おお。怖いなあ。いきなりだなあ。」
にこやかな笑みを浮かべ、眦を下げる。が。
その奥の瞳は笑ってはいない。
「坊主。おもいきりがいいな。いいだろう。自分は「導師」レーゲン。
瞑想窟にて、鎮守の森を見守る一人、大地の担い手、稚い者の支え。」
大きな、とても大きな。赤銅色の顔を伏せ、少年に挨拶をあらためて。

どうしていいのか分からない少年に。
「ここ、瞑想窟で「導師」を名乗れるのは最高術者のみ。心配しなくても、君より高い場所にいる。
俺は・・なりそこねたがね。今更ながら修行しているってわけだが。」
アルフレートの言葉にさすがに・・。

「失礼しました。あ、あの。おれは、ウルラ。ウルラ・コリーナ。未だ二つ名を持つ身ではありません。ですが、持てるようにご指導願えますか。」
少年は膝を折り、目の前の「導師」に礼をする。

「こらこら。坊主。ああ、ウルラ。まあ、仲良くやっていこう。堅苦しいのは、そこのヒネくれたヤツだけで十分だしなあ。」

「なんだと・・?」
「ほらな?」

笑いが起こる。


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瞑想窟ってひんやりしてて寝ると気持ちいいのよ・ω・
Crystal Mana (Hyperion) 2012年07月20日 08:50

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クーラーみたいですねw
Sanshi Katsula (Hyperion) 2012年07月20日 19:35

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>まなまな、いらっしゃいw
猛毒飲んで、こってりと寝込むがいいw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年07月21日 10:48

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>サンシさん、いらっしゃーい♪
グリダニアって、基本的に涼しそうw
でも、あの瞑想窟ってどうなってんだろ?w
XIのウィンダスだと、デカイ樹の中だったけど。

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