204書き物。とあるヒューランの日常。

イーリスは自身では早起きだと思っている。

姉と二人暮らしなのだが、姉の方とは少し年が離れていて小さい頃から世話を焼かれっぱなしだったのだが、最近はそうでもない。(はずだ。)

「ちょっと!いつまで寝てるの!」
目覚ましの第一声。

「あ、おねーちゃん。」
「もう私、行くからね。お昼はソコにおいてあるから。」

神勇隊所属の姉は朝が早い。なので起こしてくれるのだが、早すぎる。
明け方前に帰ってきて、陽が昇る時間に起こされても眠いだけだ。

というわけで、寝なおしをする。

両親とは別れて二人で生活することになったのだが、この生活時間帯は以前よりはハードになったかもしれない。
とはいえ、以前より楽しくなったのは事実だけど。
両親とケンカをして、以前から家を出ていた姉の家に転がり込んだはいいんだけど、この朝の早さだけはカンベンしてほしい・・・・・・。

zzzz ZZZZZ

「うーん。」
陽が中天に差し掛かる頃、ベッドにちょうど陽が差す。
「そろそろ、かあ。」

まず、目覚ましのために水浴びをする。冷たい水は目が覚める。
タオルで髪を乾かしながら、姉の用意してくれた昼食を食べ、今日の服を選びながら、友達とパールで会話を始める。
「ねえ、聞いた?あの子、彼にフラれたんだって!」「え、そうなの?」
「うん、なんかリングが欲しい、ってねだったら、「高すぎ」だって!」「えー、ショボーイ。」
「そっからケンカになったみたい。」「でもいくらの値段だったのかな?」
「うーん、エシュテム工房のヤツだったみたいだから、かなりしたんだともうよ?」
「それってねだるほうがどうかしてんじゃない?」「だよね。」「・・・・・。「・・・・・・。」しばらく会話は続き。



「あ、いっけなーい。そろそろ準備しなくっちゃ。」「はーい。がんばってね。また食べに行くわ。ミューヌさんによろしくー。」「はあい。」

陽はすでに傾いている。

うーん。結局どれにしようかな?服選びはまだ終わっていない。
自分の赤い髪に映える白のワンピースにするか、
あえてコントラストの強い緑のチュニックにするか、ボーイッシュな感じでシャツとパンツスタイルにするか・・。

「これでいこう!」と、ワンピースを選ぶ。

外はもう暗い。

「ありゃ、ちょっとマズイかな?」月明かり、カフェまで走るでもなく歩いていく。
パールで連絡してみる。「オーア、大丈夫?」返事は無い。ますますマズそうだ。

カフェに入る。満席。

「おはよーございまーす。」と言うとカウンターに向かい、ミューヌに挨拶。
「まあ、いいけどね。」とは女主人。

「遅いのにゃあああああ!!!!!!」とは、同僚のミコッテの少女。
彼女がミコッテ訛りということは、相当ヤバかったんだろう。

「あ、ごめーん!」
(しっかし、オーアって実はカナルより実戦でスゴいよね。)
的確な指示を出しながら、テキパキとこなして、さらに愛想よく振舞う彼女を見て、わたしも頑張らないとなあ。
なんて思う。年下のミコッテの少女に頭があがらない。

明け方前に「すみません、残り物でいいのでなにかあります?」
姉の朝食のためにいつも余り物を頂いて帰るのが習慣になっていた。
「パンが2つ、あとハムが少しかな。よければ、スープがあるけど飲んでいく?」
「いただきます。ミューヌさん。」
「ところでイーリス?」「はい?」「何時起きてるの?」「お昼、ですけど?」
「ミュ(オーア)のためにも、もうちょっと早く来てあげて。」「そうなのにゃっ!」尻尾が逆立っている。これは相当怒っている。
「はあい。」

パンとハムは袋詰めにして家路に。「疲れたー。」

家に着くと、出来るだけ静かに。姉を起こさないように。そしてテーブルにパンとハムを置いておく。

さて、やっと寝れる。

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