197書き物。幕間。(カフェでは)

夕暮れを過ぎ、夜の気配がしたカフェ。

大きなステンドグラスは陽光ではなく、月明かりで照らし出され。
ランプに灯が燈され始める。

「ねぇ?今の聞いた?」

グリダニアの冒険者ギルド兼、カフェ。カーライン。

「きいたー!」
二人の給仕の少女は顔を見合わせていた。

「ちょっと、どうでもいいけどまず仕事しよ?」エレゼンの少女。

カフェとはいえ、ギルドもあるこの店では昼夜を問わず来客がある。
しかも夕食時ともなると、当然のように忙しい。

ミコッテの少女、オーア(本名はミュ・アハート。だが常に浮ついているので、猫ミミ頭と呼ばれている)は、
3人組の席に料理を運んだ際に聞いてしまったのだ。

「ネルケ君、もらってもいいかにゃ?」「どうぞ、進呈します。」

これは大ニュースだ!同僚のヒューランの少女、イーリスも近くにいたので聞こえたか?と訊ねたところ。が、先ほどの内容。

「ちょっと、アンタ達?」エレゼンの少女、カナーリエンフォーゲルがさらに雑談を続ける二人に注意をする。
「あ、カナル。聞いてよ。」赤毛にソバカスの残るヒューランの少女、イーリス。

「後でね。」カフェの給仕としてはリーダー格のエレゼンの少女は、二人に指示を飛ばす。

女主人ミューヌがついさっきこの雑談を聞いた後、いきなり緊張が解けたのを見てしまったが。。。。
何かあったのだろうか?カナルは考えてみるが、イマイチ繋がらない。
忙しい最中、なんの注意も二人にしなかったのは、このせいか?
まあ、いい。とりあえずは。

「オーア!そっちのテーブルに!」「イーリス!そこの食器下げて!」
指示を出しながら自身も動く。

まずはスープを噴出した少年にタオルを持っていくことだ。
まったく。料理はちゃんと食べて欲しい。

「あ、今朝はどうも。」とブルーグレイの髪を肩でそろえた少女。
「いえいえ。私じゃなく、ミューヌさんに。」
空いた食器を片付けながら。





仕事あがりに二人から話を聞く。
「え!?本当?」
「うん、マジ。」とイーリス。
まさか。
「実は三角関係だったんだねー。」とオーア。
「そっかー。私も彼氏が欲しいなあ。」とカナル。
「鬼哭隊もいいけど、神勇隊もいいとおもうけどなあ?」
赤毛の少女に、「いやいや、冒険者がいい!ここにいれば、そういう出会いってあるし!」
クセっ毛の黒髪から出ている耳をピコピコさせながら、オーア。
「そんな理由で居るのか!」と、二人は突っ込む。

「はいはい、雑談はそのあたりでね。」とミューヌ。

「はーい。お疲れ様でした。」とカナル。

「おっつー!」居残りの二人は挨拶をした後、仕事に戻る。


「うまくいけばいいよね。」と。


グリダニアの夜は心地いい。

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