193書き物。少女達の一日。ある密偵の場合は?

白い。視界は真っ白。

(さて。)
青いローブのミコッテはざっくりとのばした髪を、つばの広い帽子で覆う。

早朝のグリダニア。一人の少女の監視を仰せつかった彼女は宿に程近い場で少女が出てくるのを待つ。

少し寝不足ではあるが、することはわかっている。

そして。

件の少女が出てくる。
「時間には割りと正確なのね。ボクも助かる。」

薄靄の白い世界の中、ゆっくりとついていく。

「!?」
いきなり立ち止まる少女。慌ててこちらも立ち止まる。距離はそれなりに空けてある筈だ。まさか、感づかれたか?

いきなりかがみこむ少女。ブルーグレイの髪がとても目に付くが、この白い靄の中ではとてもありがたい。
どうやらブーツの紐直しをしているようだが・・。
(ボクはどちらかというと、こういう近接する監視には向いてないんだけどなあ。)
内心そう思いながら、バレたか。とも思う。

ソーサラーとして、幻術、呪術共に学んだのだが、隠密の出来るスキルはほとんど無い。
(グレイフォグのおっさんあたりなら、こういうのが得意なんだろうけど。)
同僚の弓術士の顔を思い出す。


再び少女の追跡をし、約束の場所まで行く。エーテライトまでは特に変わった事もなく。
少女から少し皮肉を言われたが、気にせず返す。
(やはり。仕方ないか。ボクでは少し無理だよ。ミンフィリアさん。)


ヘンな術士を見、そういえばコイツも監視対象だったな。「賢者」
いきなり逃げ出す賢者を注意深く見つめる。次はウルダハか。そしてこういうモノを呼び出せるとは。これは報告せねば。

戦闘中。

(この少女は、本当に無茶をする。)
治癒の術をかけながら、思うのだが(でも思い切りもいいな。)
槍の使い手二人の攻撃もあって、竜族は撃退されたが。
(賢者についてはそれほどの情報は無い、が。あの少女はミンフィリアさんに報告するほどでもないか?)
考えを巡らせながら帰途に着く。

正直、自身が本気で魔法を使えばあの程度の竜族など、物の数ではないのだが。

「反省を兼ねて、食事会でもしようか?」
少女の提案をやわらかく断り。
「私は報告の後・・・」


「あ、ミンフィリアさんですか?ティアラです。」
「ティアラ?あら、トリコロールはヤメたの?」
「ええ、ミッションは済みましたし。今回の報告ですが、ボク的にはあの少女はやはり魔女ほどではないですね。」
グリダニアでのカンパニー報告の後、目に付きにくい場所で。
パールの先の相手は、少し残念そうだ。
「そう。それはそうでしょうね。ただ有望株かしら?」
パールの先の女性の感情は読めない。
(どうかしら?魔女ほどではないけどカンの良さと、観察眼は確かにあるし。有望といえば有望か。あとは経験だけ、かな。)
「そうですね。そういう点でなら。」

報告を終えてミコッテの少女は
「お腹すいたな・・。」
近くの露店に赴く。

<<前の話 目次 次の話>>

マユリさんの元ページ