白い。視界は真っ白。
早朝のグリダニア。
ブルーグレイの髪を短くまとめた少女はベッドから出ると、軽く頭を振る。
窓から見える景色は真っ白だ。
寝着を脱ぐと、水浴びにいく。
「冷たいっ!」
ウルダハと違い、この街は水が豊富だ。いつでも水浴びができる。
そして冷たいが目が覚める。
革鎧に身を包むと、荷物のチェック。うん。大丈夫。
「ええと、エーテライトはこっちだったわね。」
宿から出ると、方角を確認する。
「あ、いってらっしゃーい!」とエレゼンの少女。カフェの給仕の少女から声がかかる。
まだ朝早いせいか主人のミューヌは居ないようだ。
「いってきまーす。」
「あ、ちょっと待って。」とエレゼンの少女。「これ、ミューヌさんから。」
野菜を挟んだパンが渡される。
「え?いいの?」
「はい♪がんばってくださいね。」
「ありがとう。」
少し足を止める。
同じく足音が止まる。
靴の紐を直す。歩き出す。
足音がついてくる。
(わざと足音つけてるのかしら?)
エーテライトに近づくにつれ、足音は遠慮が無くなって来る。
「お早いですね。」ブルーのローブのミコッテ。
「そうでもないわよ?」と。とりあえずは気づかない振りだが・・。気づかれてるなあ。
内心、なぜこんな監視があるのか?と考えるが、答えは出ない。
(あ。ネルケ見っけ。まあ、遅刻ってほどじゃないけど。)
「まだみんな来てないのかなあ?」と少年の独り言に。
しっかり先に来てたことをアピールした後。
遅刻してきたミコッテにさりげなくツッコミをいれてみたり。
戦闘では先走って、失敗してしまった・・・。がっくし。
骨が折れるのは初めてじゃないけれど、何度聞いてもいいものじゃない。
ましてや、今回はもう少しで腕ごと持っていかれかけた。反省しなければ。
(皆の前では初めて、と強がってはみたけれど・。折れる音がこんなにハッキリしたのは確かに初めて。)
「ねえ、反省も兼ねてみんなで食事会しない?」と提案。
「私は・・。」とローブのミコッテはそそくさと退散してしまった。
(逃げられたか。まあ仕方ない。今度見かけたら要注意だ。でも悪意があるでもないしなあ?なんだろ?)
カフェでの夕食。
まず各々で好きな注文をする。そしてスープを前にした少年に、先輩のミコッテが口にする台詞に、少年はスープを噴出す。
「な?」
確かに意識したことはないが、真っ向から否定されると少し反論したくもなるものだ。
そこまであたしには魅力がないのか?女としてはこれは譲れない。
例え、相手を男として見ていなくてもだ。
「ネルケ君もらってもいいかにゃ??」
はぁ?いつ誰がアレがあたしのものだって?
「進呈します。」
少し悔しかったのは、多分気のせい。