192書き物。少女達の一日。魔女の娘の場合は?

白い。視界は真っ白。

早朝のグリダニア。
ブルーグレイの髪を短くまとめた少女はベッドから出ると、軽く頭を振る。
窓から見える景色は真っ白だ。

寝着を脱ぐと、水浴びにいく。
「冷たいっ!」
ウルダハと違い、この街は水が豊富だ。いつでも水浴びができる。
そして冷たいが目が覚める。

革鎧に身を包むと、荷物のチェック。うん。大丈夫。

「ええと、エーテライトはこっちだったわね。」
宿から出ると、方角を確認する。
「あ、いってらっしゃーい!」とエレゼンの少女。カフェの給仕の少女から声がかかる。
まだ朝早いせいか主人のミューヌは居ないようだ。
「いってきまーす。」
「あ、ちょっと待って。」とエレゼンの少女。「これ、ミューヌさんから。」
野菜を挟んだパンが渡される。
「え?いいの?」
「はい♪がんばってくださいね。」
「ありがとう。」



少し足を止める。
同じく足音が止まる。

靴の紐を直す。歩き出す。
足音がついてくる。
(わざと足音つけてるのかしら?)
エーテライトに近づくにつれ、足音は遠慮が無くなって来る。
「お早いですね。」ブルーのローブのミコッテ。
「そうでもないわよ?」と。とりあえずは気づかない振りだが・・。気づかれてるなあ。
内心、なぜこんな監視があるのか?と考えるが、答えは出ない。


(あ。ネルケ見っけ。まあ、遅刻ってほどじゃないけど。)
「まだみんな来てないのかなあ?」と少年の独り言に。
しっかり先に来てたことをアピールした後。
遅刻してきたミコッテにさりげなくツッコミをいれてみたり。



戦闘では先走って、失敗してしまった・・・。がっくし。

骨が折れるのは初めてじゃないけれど、何度聞いてもいいものじゃない。
ましてや、今回はもう少しで腕ごと持っていかれかけた。反省しなければ。
(皆の前では初めて、と強がってはみたけれど・。折れる音がこんなにハッキリしたのは確かに初めて。)

「ねえ、反省も兼ねてみんなで食事会しない?」と提案。
「私は・・。」とローブのミコッテはそそくさと退散してしまった。
(逃げられたか。まあ仕方ない。今度見かけたら要注意だ。でも悪意があるでもないしなあ?なんだろ?)

カフェでの夕食。
まず各々で好きな注文をする。そしてスープを前にした少年に、先輩のミコッテが口にする台詞に、少年はスープを噴出す。

「な?」

確かに意識したことはないが、真っ向から否定されると少し反論したくもなるものだ。
そこまであたしには魅力がないのか?女としてはこれは譲れない。
例え、相手を男として見ていなくてもだ。

「ネルケ君もらってもいいかにゃ??」

はぁ?いつ誰がアレがあたしのものだって?
「進呈します。」

少し悔しかったのは、多分気のせい。

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