180書き物。ある日常の一コマ。あるいは少女の悩み。

緑生い茂る街。グリダニア。

燦々と降りしきる陽光に、街は活気付いている。

その中にあるカフェ、カーライン。冒険者ギルドもあるこのカフェは、今日も午後のお茶を楽しむため、常連客で賑わっている。

「うー。あー。」
目の前のジュースを飲み干した少女は一人、カウンターに突っ伏している。
ブルーグレイの髪を肩までで切りそろえ、いつもの革鎧ではなく普段着?のチュニック。暖かいせいで素足に靴、という軽装だが。

「どうしたの?マユちゃん。」
とは、カフェのマスターのエレゼンの女性。やや色白だが、凜とした態度や、口ぶりにファンは多い
(最近、意中の男性ができたと噂だが・・。ファンは認めないらしい。)

「あー。ミューヌさん。どうじよう?」と少女。
「だから、なにがどうしたんだい?」
「最近さ。ほらグランド・カンパニーって、軍をやるからって。」
エレゼンの女性は小首をかしげて、「そういえばやってるね。」
「でね、あたしさ。入ってみようかしら?とか、考えてみて。」
「ふんふん。」
「母さんに相談したんだけど、「好きにしな。」で終わって、父さんからは「やめておくれ!」って言われて。」
「あはははは!」
「兄貴からは、「え?そうなの?」で終わった・・・。」とうなだれる少女。
「目に見えるようだね。」と女マスター。目が笑っている。
「笑い事じゃないんです!」と食ってかかるが、相手が違う。
「すみません。それ以外にも。」
「まだあるの?」
「あたし、ザナラーン生まれなんですけど、ウルダハってそれほど愛着というか、なんというか。」
「わかるよ。」
「で、ですね、せっかくなんでグリダニアが母の生まれなんで、こっちに参加しようかなって。」
「そう。」(レティさんはアラミゴ生まれだそうだけど・・。その後の話は一回だけ聞いたけど・・・。
あの時はかなり酔ってたから聞けたのかしら・・・?この子に言う必要が無いってコトだよね。)あの壮絶な過去は。

「でも、これがまたねぇー・・・。」と頭を抱える少女。
「まだ何かあるの?」
「いや、ネルケも入団するって言ってて・・。」
「あー。(そういやスゥさん、異様にあの家系に拘るもんね・・。)」
「じゃあ、いっそリムサにしたら?」
「それは父さんが猛反対してた・・。なんでも提督?が大嫌いだったみたい。」
少女はジュースのおかわりを注文すると、また突っ伏す。
「ほんと、どうしようかしら?」
「演説は聞いたの?毎週やってるでしょ?」
「うん・・。カヌ・エ・センナさんの演説が一番よかったかなあ・・。ウルダハのオッサンは、汗臭くて途中で抜け出して。。。」
ソレを聞いて苦笑するミューヌ。(まさにレティさんとこのお国だよ。)
「リムサのは、格好よかったんだけどなあ・・。父さんキレたら怖いし。」
(聞いた話だと、娘かわいさに甘やかしすぎだと、レティさんからクギが刺されたとか・・。)
「で、マユちゃんとしては、どうしたしわけ?」
「せっかくグリダニアまで来たんだし。双蛇党に入隊します!」
「いいんじゃない?応援するよ。」
「ありがとうございますっ!」
「いいのよ。」



カフェを出て、入隊申し込み所に行く。
「あ、マユちゃん。君もここに?」と二つ上くらいの少年が。

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