165書き物。酒場の外では。6

「いつまで寝てるんだよ?」

リムサ・ロミンサの酒場「溺れた海豚亭」のカウンターにて。

(ひでぇ)
そう思わずにはいられない酒場のマスター、バデロン。
なにせ、新作スイーツの(半分以上残ってる)皿に顔面を埋め込まれてしまった女性に対して、この暴言。

この場の誰もが無言であっても致し方ないだろう。

暴言の主、「天魔の魔女」ことレティシアは不思議そうに「おい?」とか言っているが。

「で、あたしの分は?」とさらに。

「あ、今できたみたいだ・・。」と、やや早めの返事をするマスター。
(おい!早くしろ!と指示を出す)

「母さん・・。あたしもちょっともらってもいい?」とはブルーグレイの髪を肩でそろえた娘だ。

「いいわよ。じゃあ、割り勘ね。」
「せこっ!」
「そのくらい稼いでから言いなさい。」
「親子じゃない?」
「・・・・・。」「・・・・・。」「・・・・。」「。。」

皿が出され。

「「おー。」」声がハモる。

そして。

魔女の後頭部に振り下ろされる拳。

さっきまで沈黙していた女性、鬼哭隊次期隊長と名高いスウェシーナの怒りの一撃。


「ねぇマユ、あなたフルーツはオレンジかベリーかどっちがいい?」
お皿ごと娘の方を向いた魔女には拳は届かなかった。

ガっ!


カウンターを全力で殴った音はかなりのもの・・・。

「あ、スゥ起きてたの?」としらじらしく。
「ああ!もう!このっ!」とクリームとパンケーキまみれの顔を涙で濡らす彼女。
「抜け駆けするからよ。」とあっさり。
「あ、すみません、あの・・。なんていうか・・。」と少女。


(俺はもっとたまらんぜ。)

「んじゃ、これ食べたらウルスリんとこ行こうぜ。マユは先に帰れ。」
「えー、あたしも挨拶くらいは・・。」
「う・・。この顔で・・。仮面あったかなあ・・。」


(うわー・・・たまらんな・・。ウルスリ、いらんコト言うなよ。。。。。)


そして酒場に平穏が戻る。

「結局、何しに来たんだ?あの迷惑来訪者共め。」
バデロンは独りごちる。


もちろん、魔女が覗いていないか確認をしてから。

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