159書き物。酒場では。

ここはリムサ・ロミンサ。
貿易で財を成す、公に出来る者や、できない者たちの街。

もちろんのコトながら、法に触れるコトは許されないが、それは他国が決めること。
この国では「私掠船」なんてものがある。
「合法的に海賊行為」が許されているのだ。もちろん国家免状、というものが必要だが。
条件としては、「国家に益する海賊行為、および自国の船の安全を図る事」

そして、ソレをクリアした船は少ないが、港に停泊を許される。

オライオン号 船長アルドスキフ。
浅黒い肌のルガディンだ。

酒場にて。
「なあ、バデロン。どうおもうね?」

「あ?」と、グラスにラムを注ぎながら、気のない返事をする。
「あ?じゃないだろう?俺は腹がたっているんだ!」と船長。
「よくある話じゃねえか。」店主はにべもない。

「お前、アスタリシア号に居たんだろ?サベネア島って知ってるか?」
「ああ、なつかしいな。」
「そこの、なんだっけか、ラザ・・ラザナン?だったか?」
「ラザハン、だ。」
「そうそう!それだ。そこにな、小麦を収めてくれって話があってだな。」
「いい話じゃないか。ガッポリ儲けろよ。」
「それなんだがな・・。」
「さっき聞いたぞ?」

「あの野郎、俺の言うコトを聞きやしねえ。」
「お前さん、それもう3回目な。」グラスを磨く。
「あの小麦は、いいものだ。間違いない。」
「そうだな。」
「それをパンにして食わしてみても、まだ文句をいいやがる。」
「そうだな。」
「このままじゃ、期日に間に合わねえ!」
「そうだな。」
「聞いてるのか?」
「そうだな。」
「あの船主め、海賊にビビってるのか?」
「そうだな。」
「アスタリシア号のツテでなんとかならねえのか?」
「そうだな。」
「・・・・・。」

「マスター。」
凜とした声が、横合いのエレゼンの女性からかかる。
「どした?ウルスリ。」
「いえ、グラスを磨いて会話をしながら寝ている、なんていう特技をドコで身につけたのか聞いてみたくなりまして。」
「寝てないぞ?」とウンザリした顔のマスター。
「そうでしたか、秘訣が聞けなくて残念です。」と、場を離れる。
「なあ、バデロン、どうすりゃいい?」ルガディンの船長は困り顔だ。
「まあ、昼間っからラムが飲めるようなら大丈夫じゃねぇか?」
「むぅ・。」
「あっちに居る娘に声かけてみな。ただし、酒が抜けてからな。」
ブルーグレイの髪を肩の辺りにそろえた少女を指差す。
「子供じゃねえか。」
「まあ、あの家系はお墨つきだ。くれぐれも注意しろよ。魔女の後継者、だからな。」
「まじでか・・。」

このあたりでは、最強の私掠海賊船アスタリシア号と僚艦を一人で壊滅寸前まで追い詰めた(多少、尾ひれがついた話だが。)話は有名だ。
「天魔の魔女」の名を知らない者は居ないだろう。
ましてや、たまに本人が来るのだから。生きた伝説、というべきか。




「マスター?よろしいので?」とウルスリ。
「ま、いいんじゃね?」と投げやり気味。
「ところで。」
「ん?」
「こちらに来てください。」と促し、なにやら賑わう一角に。
「おいおい?」
いきなり手を掴まれると引っ張り出されて。

手を繋いだまま、なにか係りの人に話をしていると。
「ありがとうございます。」
「なにしてんだ?」

「はい♪」とともに、チョコレートが渡される。

そして。

投げキス。

チョコの魔法の効果。ハートマークの幻影がふわふわと顔にあたる。

「な!」


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順調に腫れ物扱いのデススパイラル進行中!!
Bob Dalus (Hyperion) 2012年02月14日 20:53

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>ぼび、いらはいw
腫れ物いうなwいちおう、リムサの正式なクエだぞw
Mayuri Rossana (Hyperion) 2012年02月14日 23:20

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